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稲わらは大事なへそくり

稲刈りが終わり、秋の仕事はもう一段落かなと、
少し寂しい気持ちでいたところに、また新たな仕事が入る。
今度は畜産農家の方を手伝うことに。

島では人間の暮らしの中に牛がいたようで、家屋の平面図をみると「牛小屋」という記載があるほどに、寝食を共にしていたのだ。

今では島全体が放牧地のようになっていて、
牛たちが森から顔を出して草を食む姿が見られる。
こんなに自由な管理でいいのかと考えてしまうが、
それでも成立する牛と人間の関係があるのだろう。

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畜産農家のご自宅の前に集合がかかり、「ほな行こか」のひと声だけで軽トラ車の運転席での仕事が始まる。久々のクラッチ操作と普段通らない道にドキドキしてしまう。

10分ほどで森に囲まれた田んぼにたどり着き、さっそく作業が始まる。
小さな機械が稲わらのうえを通過すると、ぽこぽこと稲わらロールが生まれてきて、生まれたばかりのロールを、軽トラに積み込み倉庫へと運び段積みしていく。

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倉庫の天井が突き抜けそうなくらいに、せっせと稲わらを所狭しと詰め込んでいくうちに、冬眠前の動物のような感覚になったが、その感覚は間違いでもなかった。倉庫に蓄えられた稲わらは、草が少なくなる冬の間の牛の餌や寝床に使われるのだ。

作業が終わると、稲わらを詰め込んだ倉庫はシャッターが閉じられ、何事もなかったように道端に佇む。自分だけが知っている、へそくりの隠し場所。

藁に負けた肌が痒くて仕方ない。
冬になったら、またこの痒さを思い出す。

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