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ついに決まったプロデビュー戦!

晴れの舞台は広島です。
広島のジムとは交流があり、アマチュアの試合でも何度かお世話になっていました。
その広島のジムが主催のプロ興業。

対戦相手はなんと!

プロ戦歴4戦、僕からみるとかなり格上の選手でした。

実はこの試合の2ヶ月前にもプロデビュー戦の話があったのですが、試合に向けて練習はしていたものの直前になっても相手が決まらずもどかしい気持ちで日々を過ごしていました。

そんな心境もあって、1度は落ち込んだ気持ちを奮い立たせて試合へと臨んだのです。

試合が決まってからというもの、練習はさらに過酷になっていきました。それでも仕事は変わらずありましたので、昼間は仕事、夜は練習と自分との闘いでした。
正直練習をサボりたかった、少し遅めに練習に参加した日もありました。

ただその時、自分の心の支えだったのは同期の仲間やジムの会長をはじめ、先輩方の存在でした。いざリングに上がれば闘うのは自分ですが、仲間の存在なしには決して成り立たないとつくづく感じます。

試合までには減量もあり、僕は6キロの減量でした。プロボクサーからすれば6キロは少ない方だと思いますが、減量に慣れていない僕は飲食できないという苦痛にもだえました。

軽量は試合当日にあり、早朝に兵庫を出発して4、5時間かけて広島に向かいました。
その車内でのことはよく覚えています。

減量が過酷で規定の体重まであと少し足りなかった選手は、少しでも軽くしようと道中ずっとペットボトルに唾を出し続けていました。水も飲んでいないので、ほとんど出るはずのない唾液を搾り出して今出来ることを懸命にやっていました。

試合が決まってから軽量が終わるまでは、肉体的にも精神的にもかなり苦痛がともないます。そして、それがプロの世界なのだと僕は痛感します。

ピリピリとした空気のまま、会場入りしてまず先に軽量を済ませました。
たまに会場の周りを厚着して走っている人を見かけたら、きっとそれは軽量をクリアできなかった選手が汗をかいて体重を落とそうとしているところです。

軽量が終われば、試合までは好きに食べても飲んでもいいので控え室に入るとホッと一息です。とはいえ、ほとんど飲食してないので胃が小さくなっていて、いきなりそんなに食べれません。

さて、そうこうしていると開会式が始まり客席の熱も上がってきます。僕の試合は4試合目です。

軽く走り、シャドー、ミット打ちなど今までやった練習を思い出しながら動きを確認していきます。もうここまできたら、やるしかない!

応援に地元の鳥取の仲間や、遠くは九州から母が観戦に来てくれていました。来てくれた皆のためにも絶対に勝つ!そう気合いを入れてリングへ上がります。


次回 「ゴング!開始の合図」へ続く

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