見出し画像

週刊金融日記 第444号 日本人はそろそろ欧米コンプレックスを卒業したほうがいい、大統領選挙後もアメリカは大混乱か、レストラン紹介コーナーは自粛中、ニューヨーク駐在中ですがコロナ禍で大変です、他

// 週刊金融日記
// 2020年11月3日 第444号
// 日本人はそろそろ欧米コンプレックスを卒業したほうがいい
// 大統領選挙後もアメリカは大混乱か
// レストラン紹介コーナーは自粛中
// ニューヨーク駐在中ですがコロナ禍で大変です
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 日本に帰る準備をしているのですが、香港から日本に帰る際は新型コロナウイルス検査がなくなりました。外務省が世界各国に対する感染症危険情報を見直し、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国(香港、マカオ含む)、ブルネイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの9ヶ国を対象に、レベル2(不要不急の渡航は止めてください)に引き下げたからです。とはいえ、まだ隔離の要請などは残るそうです。日本より、これらの地域ははるかに人口当たりの感染者が少ないかゼロなので、これは妥当な判断だと思います。
 また、この国・地域の選び方から、日本の外務省は的確に世界の新型コロナウイルス禍の状況を把握している、ということがわかりました。ご存知のように、僕は新型コロナウイルス禍は最初期から追っており、世界全体を俯瞰している点では多くの各分野の専門家よりも詳しいわけですが、各国の感染状況の把握というのは、そう簡単ではありません。しかし、各国の感染者数や死者数の時系列データがネットで簡単に手に入ることから、素人が自分の主義主張を正当化するためにこれらのデータを恣意的に使って、科学風味の記事をたくさん書いていますが、物事はそう単純ではありません。各国の検査体制や、ロックダウンなどの対策をいつどのように行ったのか、その厳しさはどうだったのか、などがだいたい頭に入っていないとわからないし、その上で、実際にその国や地域で暮らしている人たちがどのような様子なのかもわかっていないとよく間違えます。
 その点で、外務省は、各国で外交官が暮らしており、こうした統計データやニュースなどの他にも、実際に市民の暮らしはどうなのか、検査はどのように行っているかなどの情報が集まってきますから、いろいろ的確に状況を把握できているのだと思います。

★日本の外務省は世界の感染状況を的確に把握していると思われます。

 香港ですが、まだまだ新型コロナウイルスを警戒しないといけませんが、市中感染はゼロの日が多く、たまにポツポツ出てくるという感じで、どんどん制限は取り払われています。いまのところ域内撲滅には向かっているようですね。

★バーやクラブなどは午前2時まで営業できるようになったので、週末のランカイフォンは賑わっておりました。

★涼しくなってきたのですが、やはり香港は南国なんでまだ海はギリギリ楽しめますね。もうすこしすると寒くなるようですが。

 日本のニュースですが、大阪では大阪市を廃止して大阪府に東京のような特別区を作り大阪市と大阪府の無駄な二重行政を廃止していろいろ盛り上げていこう、ということで週末に行われていた大阪都構想の住民投票ですが、微差で否決されました。やはり日本人は大きな変化を好まないのかもしれません。

●なんで!?都構想が必要なん? 大阪維新の会
https://oneosaka.jp/tokoso/question.php

●大阪都構想、「住民投票否決」で菅首相の大打撃 維新は党勢失速、松井市長の政界引退が痛手に
https://toyokeizai.net/articles/-/386095

 いよいよ世紀の米大統領選挙です。下馬評通りに行けばバイデン大統領の誕生ということになりそうですが、そもそも郵送投票の有効性や再集計などで法廷闘争になり、誰が大統領になるのかなかなか決まらない、というリスクがありそうで、市場はそちらを心配しているようですね。

★トランプ支持者たちの運転するトラックの一団がバイデン候補の選挙スタッフのバスを高速道路で包囲するなど、さながらアメリカは北斗の拳の世紀末のような様相を呈してきました。

★香港の人たちに話を聞くと、大半の人が欧米との新コロ禍被害の差を市民がマスクを付けるかどうかと、手洗いなどの衛生の常識の有無が原因だと考えているようです。

★欧州の主要国はフルロックダウンに突入していますが、不満を持つ一部の市民が暴徒化しています。

★アメリカでは選挙後に暴動や略奪が起こることが予想されており、店舗などは板を打って備えています。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- バイデン当選を見越した場合どのようなポジションを取るべきですか
- 福島原発の処理水の海洋放出と菅首相の2050年温室効果ガスゼロ宣言から今後予想されること
- 金融の基礎がわかるバックナンバーを教えてください
- インデックス投資ブームで仮想通貨を思い出し怖いです
- 中学入試に英語は加わらなさそうですが英語の教育の指針をご教示ください
- ニューヨーク駐在中ですがコロナ禍で現地の女性と知り合うことがむずかしいです

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.日本人はそろそろ欧米コンプレックスを卒業したほうがいい

 香港に住んでいて気づいたことのひとつは、香港など日本以外のアジアの国は日本のような「欧米コンプレックス」がないことである。その理由は歴史的な背景や語学の問題などいろいろあると思われる。日本だとテレビCMやファッション誌などは、なぜか欧米の白人モデルが起用されることが多いのだが、香港の広告を見ていて、そうしたものは見たことがない。

★日本の私立の学校のパンフレットを見ても、英会話の先生のモデルはなぜか白人である。

★インバウンドを謳う旅行関係の広告も外国人観光客はなぜか欧米人だ。不思議である。

 新型コロナ禍を見ていても、1月には中国のよく知らない街(=実際には武漢は人口1000万人以上の巨大都市)で流行っている伝染病で完全に日本では他人事であったが、イタリアをはじめ、欧米で被害が広がって一気に警戒感が高まった。その後も、感染をうまくコントロールできたのは中国や韓国などのアジアの国なのだが、日本はそれらから学ぶこともせず、ひたすら対策を失敗して被害が拡大していく欧米のほうばかり向いていた。

 僕自身はリベラルなグローバルシティズンであり、国籍や人種で人を差別するようなことがあってはならない、と考えているし、実際のところ、僕は確かにそんなことを気にしていないように思える。

週刊金融日記 第137号 インバウンドでやってくる外国人プレイヤーに日本の恋愛市場が荒らされています 大円安時代を生き抜くための恋愛工学

 しかし、かつて僕自身も欧米(この括り方はあまりにも多くの国や文化がありいろいろ怒られるが……)にあこがれ、実際に留学し、その後もずっと外資系の金融機関で働いていたのだから、日本人が欧米にあこがれる、あるいはコンプレックスを持つのもよくわかる。というのも、僕たち(メルマガのコア読者層である20代、30代・40代)の上の世代は戦後世代である。とてつもなく豊かな欧米、特にアメリカに何とか追いつこうとがんばっていた世代だし、また、敗戦国という歴史もあり、アメリカが日本の宗主国のようになっていた。日本の政治家など見ても、アメリカの意向をうかがい必死で忖度する姿は、まるで日本の大企業における上司と部下の関係である。さらに、何度もこのメルマガで取り上げているが、語学の問題がある。日本人は高学歴でも英会話が苦手なので(アジアを含めて諸外国のエリートは英語はふつうにできる。なぜ日本人ができないのかの理由については諸説ある)、この点でもコンプレックス(コンプレックスは和製英語で英語ではinferiority complex)を感じやすい。

ここから先は

11,466字

¥ 220

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?