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週刊金融日記 第536号 もうすぐ海外出羽守さんたちの日本帰国ラッシュがはじまります、アジアで大規模な人身売買か、魚介を愛する日本の食文化がイカで英語圏に負けた話、モテたいというのはごく普通の欲求、他

// 週刊金融日記
// 2022年8月23日 第536号
// もうすぐ海外出羽守さんたちの日本帰国ラッシュがはじまります
// アジアで大規模な人身売買か
// 魚介を愛する日本の食文化がイカで英語圏に負けた話
// モテたいというのはごく普通の欲求
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 まだ、日本ではあまり騒がれていませんが(統一教会で忙しすぎる?)、ここ数日、台湾のメディアでは、カンボジアに渡航した台湾人2000人以上が帰ってきていなかったり、現地の犯罪シンジケートに拉致されたりしている事件で大騒ぎしております。それから、香港人もかなり失踪しており、現地で暴行を受けていたり、身代金を要求されたりしていることが判明し、香港メディアも大騒ぎです。
 カンボジアとタイとラオスの国境付近には、中華系の犯罪組織の拠点があり、麻薬栽培や違法ドラッグの製造、仮想通貨詐欺、オンライン詐欺、誘拐、強制労働、臓器売買、人身売買等を組織的に行っているようです。最近、SNSでカンボジアでの法外な報酬の仕事のオファーを中国語と英語で流し、それに引っかかってきた人たちをカンボジアで捕まえているようで、かなりの規模になるようです。
 日本でも、情報商材セミナーや仮想通貨投資なんかで、あまりにも美味しい話を餌にして、騙されやすい人を集めていろいろ悪どい商売をしている悪い方々がいますが、彼らはおバカな人たちから金を奪っていくだけですから、こうやって見ると、とても可愛いものですね。

★台湾や香港のローカルのニュースソースでは、かなりおぞましいことまで報じられていますが、日本や欧米の大きい大手メディアはまだそうした詳細は報じていないので、事実確認中かもしれません。

●Taiwan Frets for "Thousands" Trafficked Into Cambodia
https://thediplomat.com/2022/08/taiwan-frets-for-thousands-trafficked-into-cambodia/

●Hong Kong police arrest 5 for allegedly luring at least 36 residents into forced labour in Southeast Asia
https://bit.ly/3pV2AtL

●「カンボジアで好条件の仕事」と誘われ 台湾や香港の住民らが監禁・人身売買の被害
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220821-OYT1T50096/

●Cambodia says it's helping foreigners scammed by traffickers
https://wapo.st/3Kccjou

 2012年に僕はベトナムから陸路でカンボジアに行き、メコン川をフェリーで渡りましたが、いま思い出してもあれは人生の旅ベスト5には入るなかなか素晴らしい旅でした。カンボジアがあまりにもいいところだったので、2019年にシェムリアップに再訪しました。アンコール・ワット遺跡群はマジですごいです。まるでゼルダの伝説のダンジョンみたいな感じで、子供といっしょに家族旅行なんかでは特にオススメです。日本円が弱くなったとはいえ、さすがにカンボジアの物価は安く、ちょっとお金を出せば、豪邸のようなホテルに泊まれます。
 やばい犯罪シンジケートがあるのかもしれませんが、香港でのコロナ検疫がなくなったら、また、カンボジアには遊びに行きたいですね。

●ベトナム・カンボジアの旅 その2:サルでも分かるカンボジアの歴史と経済
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51938521.html

★カンボジアのアンコール・ワットは素晴らしいところで、再訪したいですね。

 ロシアで、この戦争を扇動したひとりとされる極右思想家であるドゥーギン氏が、自動車に爆弾を仕掛けられるという、いつものやつで暗殺されそうになりました。しかし、最初にこの自動車に乗ったのは、彼の娘の方で、娘が爆殺されてしまいました。ドゥーギン氏のウクライナ併合論がプーチン大統領に影響を与えたと言われています。しかし、最近では、思い切った都市の絨毯爆撃や、場合によっては核攻撃などに踏み切らない大変に弱腰のプーチン大統領にイライラしており、テレビなどでもっと激しくウクライナを攻撃しろ!と批判的でした。ロシア情勢に詳しい専門家の方たちの意見を見ていると、この暗殺計画はロシアの諜報機関がやっている可能性が高いとのことです。仮にそうなら、戦争を煽っているドゥーギン氏を片付けて、停戦に向けて動き出そうとしているのかもしれず、そうだといいですね。
 ジャーナリストがいろいろ書いている、モスクワの高層マンションでのテロ工作や、さまざまな都合の悪い人物の暗殺など、それって陰謀論か、というようなにわかに信じられないことが多かったのですが、ウクライナへの侵略戦争の様子がリアルタイムで伝わってくるようになって、ロシアなんかでは、こういうことがこれまで行われてきたし、いまでもごく当たり前に行われるんだな、と理解できます。

●プーチン氏の盟友ドゥーギン氏の娘、モスクワ近郊で車が爆発し死亡
https://www.bbc.com/japanese/62621385

週刊金融日記 第512号 プーチンの血塗られたチェチェンやシリアでの過去が凄まじい

 さて、ロシアと国境を接しているフィンランドのマリン首相のパーティー動画が何者かにより流出してしまい、フィンランド国民の顰蹙を買っているようです。36歳の女性首相ですが、戦火の中のキーウを訪問したり、NATO加盟を決断したりしており、もしロシア軍と一戦交えることになれば、銃を持って立ち上がり、最後まで戦ってくれそうな勇猛な首相ですね。頼もしいです。

★ホームパーティーで著名人やアーティストらとノリノリで踊っているマリン首相の動画が流出して、こんな大変な時に何をやっているんだ!とメディアに叩かれています。

★堂々と記者会見にも答えて、薬物検査も受けました。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- 反ワクチンになってしまった祖母に3回目ワクチンを打たせたい
- 高学歴の親はなぜ子供に無意味な大学進学をさせたがるのか
- 転職して証券アナリストになることを考えています
- iPhoneが高すぎるのでAndroidスマホに乗り換えようと思っていますがどうでしょうか
- 大学院生ですがルックスAクラスなのにとてもメンヘラな彼女に苦慮しています
- 8年前に恋愛工学に出会い人生が変わり最近入籍いたしました
- 巻末に【Cakes対談記事「モテたい」というのはごく普通の欲求ですよね? 二村ヒトシ】掲載

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.もうすぐ海外出羽守さんたちの日本帰国ラッシュがはじまります

 日本で育った日本人というのは、本当に日本が好きで、海外に住んでいる日本人のほとんどがいずれ日本に帰りたい、特に大企業から派遣されている駐在員とか、海外の大学で研究者なんかやっているエリートほどずっと海外にいたいとは思っていない、みたいな話をしました。海外の方が肌に合う日本人というのは、良くも悪くも、日本社会の中ではハブられがちなパーソナリティを持った人たちが多いです。なお、アメリカなどは、スポーツ界でトップクラスだったり、研究者でもノーベル賞クラスなんかだと、金銭的にも市民からの尊敬みたいなものでもめちゃくちゃ恵まれるので、こういう人たちは、日本でハブられない性格であったとしても(日本は嫉妬文化なので突出してる人はだいたいハブられますが)、海外、特にアメリカのほうが住みやすいです。しかし、そんなレベルの日本人は、海外在住日本人の中でも0.1%もいないわけで、ほとんどのふつうのエリートには何の関係もありません。
 なぜそんなに日本人にとって日本が住みやすいのかですが、何と言ってもまずは言葉でしょう。日本人は、日本語が特殊過ぎる言語なのか、教育が悪いのかはよくわかりませんが、エリートであっても外国語が得意ではありません。次に食事です。外国の食事が口に合わない日本人は多いです。日本は、治安が良く、環境汚染も少なく、どこに行っても綺麗なウォシュレット付きのトイレがあり、ほぼ無料で良い教育が受けられ、食事も美味しく、物価がとても安い国です。行政手続きも、綺麗な区役所に行けば、優秀な公務員がテキパキと間違えずに処理してくれます。

週刊金融日記 第497号 ほとんどの海外在住日本人がいずれ日本に帰りたい理由

 日本人が日本から離れて長期に渡って暮らすことがいかに困難か、ということについて、文化的側面からたびたび解説しましたが、そんな、ふわっとした文化的な話どころではないマクロ経済環境の大きな変化が海外出羽守さんたちをいま襲っている、という話を今週は書きたいと思います。ちなみに、出羽守(でわのかみ)とは、海外と比較して日本をいつも批判している人たちのことを指すインターネットスラングです。海外在住の日本人が何かにつけTwitterで「欧米では~、日本では~」などと外国と比べた日本の後進性を批判するので、「では」の部分が重なる歴史用語を当てて、親しみを込めてこう呼ばれています。

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