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週刊金融日記 第323号 ネットのキ◯ガイに殺られてしまったHagexさんの『闇ウェブ』は名著だった、ビットコインさらに暴落、ボホール島に行ってきました、ばかばかしいほど小さくて失敗すらできない毎日の目標を立てよう、他

// 週刊金融日記
// 2018年6月25日 第323号
// ネットのキ◯ガイに殺られてしまったHagexさんの『闇ウェブ』は名著だった
// ビットコインさらに暴落
// ボホール島に行ってきました
// ばかばかしいほど小さくて失敗すらできない毎日の目標を立てよう
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 いまこのメルマガの原稿を飛行機の中で書いています。先週はボホール島の持続可能な観光資源の開発などについてリサーチしてきました。今週号にレポートが掲載されていますので、興味のある方は読んでみてください。
 さて、ロシアで開催されているワールドカップで、日本がまさかの大健闘をしており、盛り上がってきましたね。第1戦の対コロンビアでは、開始早々、ペナルティエリアで相手選手が故意のハンドでシュートを止めたため一発退場になりました。ここで得たPKを冷静に決め、試合のほとんどを11対10で戦えたため、やや幸運に助けられたな、と言う感じがしました。しかし、第2戦でも格上のセネガルに対して堂々とした試合運びで2-2で引き分けです。勝ち点でセネガルと並び、得失点差でも同じですが、フェアプレイに関する評価で日本が上回り、いまのところグループHの首位です。FIFAのランキングが一番高かったポーランドはコロンビアに大敗して、早々と予選敗退が決定しました。日本の予選最後の試合は対ポーランドで勝ちか引き分けで決勝リーグ進出決定です。負けても、コロンビアvsセネガルの展開次第でトーナメントに進めます。

 1位 日本    勝ち点=4 (61位)
 2位 セネガル  勝ち点=4 (28位)
 3位 コロンビア 勝ち点=3 (16位)
 4位 ポーランド 勝ち点=0 ( 8位)←敗退決定

●日本、セネガルに二度追いつき2-2のドロー
http://www.bbc.com/japanese/44598151

●ポーランド戦引き分け以上で決勝T/日本の進出条件
https://www.nikkansports.com/soccer/russia2018/news/201806250000097.html

 そして、残念なニュースです。ブロガーでありセキュリティの専門家のHagex氏が福岡で開催していたセミナーの後に、無職の中年でネットで誹謗中傷を繰り返していた人物に刺殺されてしまいました。犯人は主にはてな村で、ブロガーなどに低能、低能と誹謗中傷を繰り返していたので、界隈で「低能先生」と呼ばれていました。Hagex氏はこの人物のIDを通報することなどをブログで呼びかけていました。その後、低能先生が、はてな村のネット住民にネット弁慶などと煽られ、ネットだけじゃないことを証明するために凶行に及んだようです。
 これはキ◯ガイの犯行という他なく、Hagexさんは不運だったとしか言いようがありません。とても惜しい人を亡くしたと思います。

●著名ブロガーHagex氏刺殺「ネット上で恨んでいた」「増田」に犯行声明か
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1806/25/news070.html

●無題
http://ezkay.com/archives/3076

 今週も興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-ばかばかしいほど小さくて失敗すらできない毎日の目標を立てよう
-セブに語学留学しているアラサー女ですが勉強のやり方を変えうまくいきそうです
-フルコミットしようとした女性がヤリマンだったことを知り深く思い悩んでいます
-結婚となると安心感のある非モテ誠実タイプの方が強いのでしょうか

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.ネットのキ◯ガイに殺られてしまったHagexさんの『闇ウェブ』は名著だった

 ネットウォッチャーとして炎上や釣り記事の批評が面白かったHagex氏だが、セキュリティの専門家として共著で本を書いていた。違法薬物や偽造パスポート、盗難されたクレジットカード情報、偽札などが売買されているダークウェブに関しての本だ。こうした本や、暴力団についての記事も書いていたため、一時は反社会的勢力に見せしめで殺されたのではないか、という憶測が広がったが、事実は失うものがないどうしようもない人物による場当たり的な凶行だったようだ。
 それにしても、いつどういうキ◯ガイに目を付けられるかわからず、メディアの運営は命がけである。僕もある意味で有名人であり、残念ながらネットストーカーにはたびたびつきまとわれている。だから、この事件はまったく他人事ではない。

『闇ウェブ』 セキュリティ集団スプラウト
http://amzn.to/2tCmRGz

 さて、Hagex氏の本を読んでみたのだが、いま読むととても面白かった。亡くなった人物について悪く言う人はほとんどいない。だから、僕もこの悲劇的な事件に乗じて、彼の専門家としての著作を褒め称えよう、としていると思われるかもしれないが、この『闇ウェブ』という本は事件とは関係なく、純粋にとてもいい本だった。
 2015年5月、闇のアマゾンと呼ばれるダークウェブの闇市場「シルクロード」を作ったウルブリヒトという青年に、ニューヨークの連邦地方裁判所が終身刑を言い渡した。テキサス州に住む逮捕当時29歳の青年に掛けられた容疑は、麻薬売買の共謀、コンピューター・ハッキング、 マネーロンダリング共謀など全部で7件で、その全てに有罪判決が下され、死刑が事実上ないニューヨークで連続殺人犯並の刑が決まった。
 ウルブリヒト氏は、掛けられた大変な容疑からは想像できないような、聡明でハンサムな青年であった。彼はアメリカの大学で物理学のPhDを取得し、しばらく研究者をしていたが、後にこの匿名であらゆるものが売買される闇市場を作りあげた。そして、そこで多くのおぞましい取引が行われていたことは事実である。しかし、そのあまりにも重い刑については、いまでも賛否両論となっている。
 彼のLinkedInはいまでも残っており、そこには「かつては研究者として人類の知識のフロンティアを拡大することをゴールとしていたが、人々に対する政府の圧力と暴力の行使を廃絶するための手段として経済理論を活用し、社会制度や政府の力に頼らない生活を人々に直接的に体験させることにいまは注力している」と書かれている。経済理論とはおそらくビットコインのことであり、政府の力に頼らない生活とは彼が作ったシルクロードのことだ。
 裁判では、彼はこうした匿名で利用可能なマーケットプレイスを作っただけであり、そこでどんなものが売買されているかについては関与していない、と主張し続けたが、事実上の極刑が言い渡された。

●Ross Ulbricht
https://www.linkedin.com/in/rossulbricht

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