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週刊金融日記 第626号 ChatGPTなどのAIはどこまで行っても面接だけやたら上手いおバカ帰国子女、アベノミクスが成就し日本企業が続々と過去最高益、ドバイで西洋式ホテル文化を初めて理解した件と久々のAirbnb、数字に出ない広告の価値をどう伝えるか、他

// 週刊金融日記
// 2024年5月17日 第626号
// ChatGPTなどのAIはどこまで行っても面接だけやたら上手いおバカ帰国子女
// アベノミクスが成就し日本企業が続々と過去最高益
// ドバイで西洋式ホテル文化を初めて理解した件と久々のAirbnb
// 数字に出ない広告の価値をどう伝えるか
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 海外旅行から帰ってきた後、税務申告やら会社の決算やら日本でいろいろ登記の仕事があったり、香港の方のビザ更新の時期がやってきて、いろいろ書類を書かなければいけなかったり、パンクしておりました。最大限にメルマガ配信が遅れてしまい、申し訳ございません。

★お前、なんかたくさんXでつぶやいていたじゃないか、と思うかも知れませんが、こういうことです。追い込まれてテンパっているからこそ、Xやっちゃうんですよ!

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 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-広告会社経営者ですが数字に出ない広告の価値をどう伝えるか
-今年1月からデスクワークのアルバイトを始めましたがもう辞めたいです
-既婚子持ちですがもうひとつの家庭を持とうかと…

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.ChatGPTなどのAIはどこまで行っても面接だけやたら上手いおバカ帰国子女

 OpenAI社がChatGPTの新モデルを発表しました。GPT-4oです。oはomniのoでラテン語で「すべて」とか「あまねく」という意味だそうです。中二病ですね。

●Live demo of GPT-4o realtime translation

 このバージョンアップで反応速度が大幅に改善され、音声関係の入出力が強化されました。これで、まるで人間の通訳のように、ChatGPTが外国語を翻訳しており、さまざまなメディアで、すごい!すごい!と言われています。人間とリアルタイムで音声対話ができるようになったわけですが、OpenAIの中の人たちが、人工知能とプラトニックな恋に落ちていく(体がありませんからね)様子を描いた映画の「her」からインスピレーションを得ていることは僕には明らかでした。

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 何か、AI分野にはプロの驚き屋さんマーケターみたいな人たちがいるんかと疑いたくなりますが、相変わらず、これで世界が変わるとかどうのこうの言っています。
 かなり高性能なテキスト生成AIのChatGPTや画像生成AIのStableDiffusionなどが出てきて、AI界隈で注目され出してからかれこれ2年近く経ちました。また、株式市場など、一般層にも注目されはじめて、世界的なAI株バブルが始まったわけですが、それもすでに1年以上経ちました。
 ChatGPTに追いつけ、追い越せ、とイーロン・マスクさんやGoogleなども巨額の投資をして(要はNVIDIAの専用GPUを大量に購入して)、ChatGPTと似たような生成AIを発表しています。
 さて、こうしたAIがこれまでにどのように世界を変えてきたのでしょうか?
 驚くことに、実際に何か商業ベースで成功しているアプリケーションは何もありません。まあ、あえて言えば投資詐欺広告ぐらいですかね。

★生成AIの技術は、Meta社のFacebookやInstagramで有名人の写真や動画を使った投資詐欺広告で積極的に使われました。これらの広告からLINEなどに誘導され、そこでの会話もChatGPTのAPIなどが使われているようです。こうした投資詐欺広告が最初のマネタイズの成功例でしょうか。ド犯罪ですけど。

 僕はこうしたAIがすごい、すごい、と言っているテック系インフルエンサーや経済評論家、著名人たちより、圧倒的にChatGPTを使い込んでいると思われます。冒頭で今週のメルマガの配信が遅れてしまった理由をいろいろ書きましたが、香港でのビザ更新のための英文書類など、ChatGPTを何度も回して作りました。

★ChatGPTはこのような英語のドキュメントを作る際はとても便利ですね。Google翻訳などより、さらにもう一段階便利なツールになっていると思います。

★音声認識についてはかなり強力になったような気がします。まだ詳しく見ていませんが。

 メルマガ原稿を書くのにはあまり使えませんが、それでも原稿の校正には毎週使っています。あと、僕はいま、中学受験を題材にした小説を執筆しており、行き詰まった時とかChatGPTを回していますし、いい表現がないか聞いたり、クラスメートの名前を考えてもらったりとか、本当にChatGPTのヘビーユーザーなんですよ。だから、ちょっとGPT-4oを使ってみて、プロンプトを何個か入れて試しただけで、これはすごい!とか紹介している薄っぺらいインフルエンサーたちとはテクノロジーに対する理解の深さがまるで違います。お台場ビーチと南海トラフぐらい違うんですよね。深さがね。
 ふだんから使っていたらわかると思いますが、テキスト生成に関しては、GPT-4oは以前のGPT-4よりだいぶ劣っていますね。通訳ができたり、人間と会話できるようにするために、音声の入出力を強化し、速度を出すためにモデルを相当に軽量化しています。これは計算量を大幅に減らしたわけで、それでGPT-4oも無料で使えるようにできたんだと思います(時間当たりのプロンプト数には制限がありますが)。
 さて、こうした生成AIについての僕の見解については、昨年の9月に書いた記事からさほど変わっておりません。

「まあ、それなりに使える分野はいろいろ出てくると思いますが、何か非連続的な技術革新が起きたと言うのとはぜんぜん違うでしょうね。機械翻訳の性能が上がって、英語の書類を書くのが楽になったとか、そういうレベルの便利ツールがいくつかできておしまいでしょう。あと、プログラミングのヘルプ機能としては、まあまあ、いい線行っていますね。情報工学で、今後も重要な研究分野のひとつであろうとは思います。
 しかし、です。世界中の人たちのこの高すぎる期待に応えながら、ナスダックをまた史上最高値に吊り上げるほどのもんではぜんぜんないな、というのが僕の考えです。
 というわけで、AIバブルは早くもはじけます。」
-- 週刊金融日記 第593号 AIバブルはそろそろ崩壊します

 答え合わせの時間ですが、僕の株価に関する予想はハズレて、AIバブルはその後も荒ぶり続け、ナスダックをまた史上最高値にまで吊り上げました(笑)。申し訳ございません。ただ、AIの技術的な部分については、概ね想定通りに進んでいるように思います。あと、たびたびつぶやいていましたが、Microsoft株とGoogle株は僕のトップウエイトの銘柄たちでずっと持っていて、AIバブルの恩恵をそれなりには受けましたが、NVIDIAは最初から最後まで買えておりません。とほほ。
 ちなみに、僕はChatGPTはずっとフル課金して使っていますし、XにGrokというイーロン・マスクさんの肝いりのテキスト生成AIがあるのですが、これもちょっと使ってみて、まあまあちゃんとテキストを生成するんだな、と思いました。Googleの肝いりのGeminiは、ChatGPTに匹敵する性能らしいのですが、無料版を使ってみたところ、ふだん使っていた有料のOpenAIのGPT-4と比べて、あまりにもおバカだったので課金しておりません。Geminiの有料版の方は賢いのかもしれませんが、課金していないのでわかりません。
 このように、生成AIはテキスト系だけでも、すでにいろいろあるのですが、業界トップと認識されているChatGPTについて、それがどの程度のものなのか、今週号では赤裸々に解説するとともに、今後の生成AIの展望について論じたいと思います。また、株式市場のAIバブルは今後どうなるのか予想します。

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