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週刊金融日記 第346号 ゴーンが吊るされパリが燃えて大衆の感情の非合理性から群淘汰仮説を考えた、マクロン大統領がゴーン氏逮捕で安倍首相に文句、目黒で女子ウケのいい高級約肉、美女をナンパでゲットしまくった香港→深セン→香港旅行記、他

// 週刊金融日記
// 2018年12月4日 第346号
// ゴーンが吊るされパリが燃えて大衆の感情の非合理性から群淘汰仮説を考えた
// マクロン大統領がゴーン氏逮捕で安倍首相に文句
// 目黒で女子ウケのいい高級約肉
// 美女をナンパでゲットしまくった香港→深セン→香港旅行記
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 12月に入り、ぐっと寒くなってきましたね。みなさん風邪を引かないように気をつけてください。僕はオセアニア視察旅行に行っていたのですが、オーストラリア、ニュージーランドはUberとAirbnbがめちゃくちゃ流行っているというか、ふつうに社会に溶け込んでいますね。ロンドンやニューヨークなどではUberがいろいろ政治的軋轢を起こしているようなので、ある意味で世界で一番UberとAirbnbが普及している地域かも知れません。Uberドライバーはやはり圧倒的に移民の人が多いです。気楽にはじめられる仕事なんでしょう。Airbnbのほうは、僕がちょっと高い価格帯(それでも日本のビジネスホテルぐらい)を見ているからかもしれませんが、素人が空き家を貸すとかではなく、ほとんどがセミプロですね。Airbnb用に不動産開発しています。余った家を貸してる人も、Airbnb用にリフォームして、清掃業者雇って、ちゃんとビジネスとして回しています。鍵は暗証番号などになっていて、いちいち鍵を渡しにいかなくてもいいようになっていて、洗練された民間ホテルビジネスになっています。
 こういうUberやAirbnbが行き渡った地域で、タクシー会社やホテルはどうなるかというと、タクシー会社なんかはふつうに営業していますね。スマホ大好きな人と、そうでない人で住み分けされているのでしょう。ホテルのほうは、ネットで予約して決済すると、暗証番号を渡されて勝手に部屋に入るサービスアパートメントのようなホテルがたくさんあって、ある意味で、Expediaで予約しようと、Airbnbで予約しようと、あまり変わらなかったりします。ロビーがあって、そこにちゃんと人がいて、みたいなサービスが欲しい人は、ちょっと高めの料金を払ってちゃんとしたホテルに泊まっています。こちらも住み分けできています。
 それで、実験してみたいことというか興味があることは、銀行からお金を借りてAirbnb用の不動産を買って、それを清掃業者やアルバイトを雇って回して、余っている時間で燃費のいい中古のプリウス買ってUberの運転手をやり続けると、いったい年収いくらぐらいになるんだろうか、ということです。家族が養えるぐらい稼げるんですかね。オーストラリアもニュージーランドも物価が高く、移民のドライバーはUberでは生活が苦しいなどと言っていましたが……。

★オークランドからホエール・ウォッチングに行ってきました。詳細はまた次回にまとめます。

 ビジネス経済誌週刊SPA!で映画評を書いているのですが、今回紹介する作品はなかなか面白かったです。まあ、しんみりする家族モノです。いま日本や世界のリベラル派が「多様な性」だとか「多様な家族のあり方」みたいなものを美談とともに猛プッシュしていて、そういういつもの押し付けがましいリベラル論壇に保守派がうんざりしている、みたいな感じにまでなっていますね。それで、そういう欧米からよく出てくる「多様性」美談が、こんなこってこての和風で、そして、美しく描かれていて、思わず意表を突かれいい映画でした。
 ちなみに、僕は個人的には「多様性」プッシュ派です。というか、他人のことは放っておけ派ですね。

●多様な家族のあり方を切なくも美しく描く/映画『かぞくいろ』
https://nikkan-spa.jp/1529565

 いつものように読者からの興味深い投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。

-Perceptionのゲームに勝つ方法を教えてください
-続・18歳でふつうの容姿でしかない女性が確実に年収1000万円を実現する方法
-結婚を考えている彼女から過去のレイプ被害を告白されました
-20代前半は仕事のみに集中すべきか恋愛もすべきか
-美女をナンパでゲットしまくった香港→深セン→香港旅行記

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.ゴーンが吊るされパリが燃えて大衆の感情の非合理性から群淘汰仮説を考えた

 すでに多くの報道がなされていますが、フランスでのマクロン大統領の燃料税の引き上げなどに反発するデモが各地で暴徒化しています。パリでは路上に駐車されている車がひっくり返され、次々に火をつけられています。商店はガラスが割られ、中に置いてあったものは暴徒たちに盗まれています。機動隊とデモ隊が衝突を繰り返し、まさに世紀末のような様相を呈しています。

●【映像】燃えるシャンゼリゼ大通り 燃料税引き上げに抗議のデモ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181126-00010001-aptsushinv-eurp

 フランスの若年層失業率は恒常的に20%を超えており、その原因のひとつが解雇規制などの労働規制が非常に強いことだ、と多くの経済学者に指摘されています。この失業率を改善するため、若者が就職しやすいように長い試用期間を設けて、企業が大きなリスクを背負い込むことなくお試しで未経験者の若者を雇いやすくして、労働者と企業のマッチングを促進しようとしたことがありました。しかし、政府は強欲な資本家の手先になった!と失業して暇な若者たちが怒ってデモ行進を繰り広げたことなど、僕の経済学の本でも紹介しました。今回のデモもその伝統が生きているように思います。

『グローバル資本主義を生き抜く経済学入門』 https://amzn.to/2KRCRNb

 マクロン大統領がやろうとしていることは、いまや世界最高水準になってしまったフランスの法人税率を下げて、ガソリン代に課す燃料税を引き上げようとするものです。これはどこまでも正しい政策です。特にフランスは原子力比率が8割以上で、ガソリン車にペナルティを課せば、来たるべき電気自動車時代に覇権を取れる可能性があります。原子力なしで電気自動車でエコという話は、すこし考えれば茶番劇だということがわかります。この観点から、真の意味で電気自動車時代に移行できるのは中国とフランスだけです。

『反原発の不都合な真実』 https://amzn.to/2G82yKC

 法人税にせよ、欧州などは企業も人も簡単に国境を超えられますから、こんな高くしては逆に税収は減ることになります。また、企業が他の欧州の国に簡単に出ていくので、雇用も減ります。しかし、このようなロジックは大衆には難しいので理解されません。それよりも、強欲な大企業の手先となった、いけ好かないエリートのマクロン大統領が庶民たちから搾取している、というようなストーリーはスッと大衆の心に入ってきます。

●愛すべき非合理な人々
https://diamond.jp/articles/-/79214

 このように大衆の感情はぜんぜん合理的ではありません。それらは自傷行為と言ってもいいぐらいです。おそらくは旧石器時代の環境に最適化された「感情」に大衆は振り回されています。
 第345号でも、部族同士の戦争がない現代社会では合理的なはずの女系家族や、ある意味でひとりの男性を仲の良い女性同士で「シェア」するタイプの、自由や人権が重んじられる先進国でも可能な一夫多妻の家族など、なぜかあまり広がらないことを議論しました。日本では、政治家や芸能人などが不倫すると、フルボッコされますから、一夫一妻という社会規範を守らせようとする力がとても強いように思います。欧米も欧米で、キリスト教の考え方が根底にありますから、一夫一妻からはみ出す人はなかなか社会の高い地位に就けません。トランプ大統領は「実質的には」一夫多妻ですが、時間差であくまで一回一回は一夫一妻ということで、この辺は欧米社会でもギリギリセーフになったようです。
 拙著『損する結婚 儲かる離婚』などでも議論したように、世界の人間社会を社会の数、たとえばアマゾンなんかの小さな共同体もひとつと数えると、人間社会は一夫多妻制が非常に多いことがわかります。逆に、多夫一妻は、中国の山奥など辺境の地などにポツポツと見られる程度です。おそらくは、辺境の地では、戦争による淘汰圧が働かなかったため、このような女系家族が生き延びたのだと思われます。
 しかし、GDPで見ると、数の上では少数派の一夫一妻制は、キリスト教先進国が世界が制しているので、この地球上では勝者になっています。やはり一夫一妻は、セックスを社会の男性の末端にまで分配するという意味で、社会が安定し、発展していく原動力になっているようです。
 
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