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週刊金融日記 第195号 金と愛の隠れた真実、反転しはじめたアベノミクス、プラチナ通りで生パスタ、レーシックとコンタクト、他

// 週刊金融日記
// 2016年1月6日 第195号
// 金と愛の隠れた真実
// 反転しはじめたアベノミクス
// プラチナ通りで生パスタ
// レーシックとコンタクト
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 そろそろお正月休みも終わりで、みなさん働きはじめていますね。僕は、新年早々、すこし志の高い記事を書きました。無料会員登録しないと読めないようですが、興味があったら読んでみてください。

●歴史の悲劇から学び、偏見のない正義と平等の社会の実現に向けて
http://www.gentosha.jp/articles/-/4732

 今年は、とうとう相場関係の情報を充実させようと、他の仕事を片付けているところです。とりあえず、2月末ぐらいまでに株価指数と為替の方向を当てる簡単なモデルを作って、僕も実際にお金を入れて、文字通りのポジション・トークでもするコーナーにしようかと思っています。楽しみにしていてください。

 年末年始も、読者から面白い投稿が多数ありました。

―ナンパ友だちができて人生が好転しはじめました
―花粉症対策について
―レストランでの女性のエスコート方法やマナー
―角膜内皮細胞が死ぬためコンタクトを使い続けることはできない
―ゲットばかりではなくリリースの恋愛工学を
―彼の特別であることだけは決して譲れません

 それでは、新年あけまして、おめでとうございます!
 今年も、よろしくお願いします。

1.金と愛の隠れた真実

 外資系の金融機関で働いていたとき、有給休暇は2週間連続で取ることができた。外資系企業では、ひとりの社員が抜けても仕事が回る体制になっていることを確かめるため、また、万が一に社員が不正行為をしていた場合にそれを見つけ出す機会を作るために、1年に1回は2週間以上の連続した休暇(ブロックリーブ)を取ることを義務付けていることが多い。逆にいえば、新人がまとまった休暇を取れるのは、こうした義務があるときだけである。
 入社して1年目か2年目だったと思う。僕はこのブロックリーブを使って海外旅行をするためのプランを入念に立てていた。その頃、額面では僕の年収は新人とは思えないほど高かったけど、税金やなんやかんやで、残っているお金は大したことはなかった。そして、僕はそのブロックリーブのうちの1日か2日を使って、しばらく会っていなかった親戚を訪ねた。僕は熾烈な競争を勝ち抜いてキャリアを築いており、これから唸るような金を稼ぎだすことになるエリートだと思っていた。
 親戚の家には、僕よりすこし年下の従兄弟がいた。週に3日か4日だけサーバー管理の契約社員をしていた。サーバー管理といっても、たまに落ちるサーバーをマニュアル通りに再起動したり、PCの壊れた部品を交換したりするだけの簡単な仕事である。彼は、中学受験に失敗し、当然のように大学受験にも失敗していた。就職活動は失敗というか、そもそもしたのかどうかわからない。親の家に居候しながら、月に20万円ちょっとの雀の涙ほどの金を稼いでいた。
 僕は、はっきりと彼を哀れんでいた。そして、彼みたいな人生の敗残者は、僕みたいないい暮らしは決してできないだろう、と思っていた。

 ところがである。僕がようやく手に入れた海外旅行を、彼は3ヶ月に1回は楽しんでいた。上司に気兼ねすることなく。オフシーズンの平日に格安航空券で行けばひとり10万円もしない。それどころか、たまに京都の料亭にご飯を食べに行ったりしていた。暇なときは、デイトレをして、勝ったり負けたりして遊んでいた。仕事はまるでプレッシャーが無さそうだった。
 客観的に見れば、彼は明らかに僕より豊かな暮らしをしているように見えた。

 高校のときにものすごく成績が良かった同級生は、大学病院の勤務医となり、安月給でボロボロになるまで働いていた。東大に行って官僚になった同級生は、もっと酷い暮らしをしていた。しかし、彼らはずっとマシだった。なぜならば、それでも安定した仕事があったからだ。勉強が好きで大学院に進み、博士号を取った、学校の中での勝者たちは、2年契約のポスドクを転々としながらいつも失業の恐怖に怯えていた。僕は研究者を辞めて、外資系の証券会社に転職していたので、若くしてそこそこは金で報われるという点で、昔の同級生たちよりは恵まれていた。

 受験勉強をがんばっていい大学に行き、大企業に就職したり、難関資格を取っても、まとまった金を稼げないのはもちろん、まったくゆとりのある生活を送れないということだ。金に関する隠れた真実は、みんなと同じことをやって競争し、ちょっとばかり勝ったからといっても報われないということだった。そして、もらえる金は、需要と供給で決まるのだ。いい大学の学生で、こういう世間体のいい仕事に就きたい人は毎年、文字通りにごまんといる。だったら、雇う方は買い叩くだけだ。なんせ替えはいくらでもいるのだから。
 需要があるのに、自分しか供給できないサービスを持つことによって、はじめてボロ儲けができる。金持ちは競争に勝ったから金持ちになったのではなく、競争しなくていい独占的な何かを持っているから金持ちになるのだ。
 人のサラリーは、学校の成績や就職活動での巧拙で決まるのではない。ましてや人間性では決まらない。女にモテるどうかと人間性がまるで関係ないように。人のサラリーは、単に需要と供給で決まる。これはピーター・ティールの言葉*を借りれば「多くの人が気づいていない、隠れた真実」だろう。この需要と供給の意味を正確に理解するのはとても大切だ。たとえば、ヨーロッパのサッカー選手の給料がなぜ高いのかを考えてみよう。サッカー選手になりたい人があれほどたくさんいるじゃないか、と思った人は、まだ、需要と供給のことを正確に理解していない。凡百のサッカー選手ならいくらでも供給される。そして、需要は限られている。だから、凡百のサッカー選手は食えない。しかし、クリスティアーノ・ロナウドはひとりしかいない。彼のサラリーは100億円ほどだが、それは彼がクリスティアーノ・ロナウドを独占しているからだ。誰もクリスティアーノ・ロナウドのコピーを作れない。だから、彼には競争相手がいない。クリスティアーノ・ロナウドの独占企業として、彼は唸るような金を稼ぎ出す。
 
●世界で「最も稼ぐサッカー選手」20名
http://forbesjapan.com/articles/detail/6858

●クリスティアーノ・ロナウドの歴代彼女30人
http://newsdesu.com/postname-post_id-76-2302

* "ZERO to ONE" http://amzn.to/1NSJOac

 外資系証券会社のセールスやトレーダーの給料が高いのも同じ理由だ。顧客に信頼されているセールスが転職すれば、手数料は転職先の別の証券会社に払われることになる。経験が豊富で確かなスキルを持っているトレーダーは、別の銀行の椅子に座れば、また、同じように金を稼ぎだす。収益の源泉が個人に属しており、そうしたスキルがポータブルなため、一部のセールスやトレーダーは、一流のサッカー選手のようなサラリーを受け取ることができる。どこの会社でも使える収益を生む無形資産を、彼らが独占しているからだ。。
 僕が経験した、あるいは身近な人がやっているからよく知っている職業について、コストパフォーマンスを分析すると次のようになる。株式投資でも、RoIC(Return on Invested Capital, 投下資本利益率)が重要なように、職業別に平均的なRoICを計算した。ただし、投下資本は、ここでは「努力×才能」で、利益は税引き後の年収である。

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■職種別RoIC

(1) 平凡な人(公立中高を卒業し、すこしだけ勉強したら入れる大学や、高卒、専門学校卒。仕事は中小企業、あるいは大企業の派遣社員。娯楽はテレビとスマホ)

 税引き後年収 /(努力×才能)= 1.0

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