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週刊金融日記 第509号 自己啓発本紹介で大前研一さんの本を読み返していたら瀧本哲史さんが蘇った、ロシア軍はウクライナに武力侵攻か、東京の住宅街はとても混んでいた話と焼肉と焼鳥チェーン店について、コロナに感染してしまいました、他

// 週刊金融日記
// 2022年2月18日 第509号
// 自己啓発本紹介で大前研一さんの本を読み返していたら瀧本哲史さんが蘇った
// ロシア軍はウクライナに武力侵攻か
// 東京の住宅街はとても混んでいた話と焼肉と焼鳥チェーン店について
// コロナに感染してしまいました
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 まあ、これは時間の問題ではあったのですが、ついに身内がコロナに感染してしまい、今週は大変にバタバタしており、メルマガ配信が遅れてしまいました。
 まだ、軽い風邪症状で微熱が出ている程度なんですが、コロナガチャで軽症枠に当選ならいいのですが……。

★コロナ感染者が出ると、もう濃厚接触者とかいろいろてんやわんやで、いまいろんなところが大変なことになっています。

 北京オリンピックです。平野歩夢選手のスノーボードのトリックを見ていましたが、金メダリストの技は凄まじいですね。また、女子フィギュアではワリエワ選手のドーピング疑惑が話題となりました。

●【3回ノーカット】平野歩夢 高難度の技 次々に決め逆転の金

★女子フィギュアスケートでは、圧倒的な力の差で他の選手たちの希望を奪うということで「絶望」と呼ばれているワリエワ選手にドーピング疑惑です。お爺さんの心臓病の薬を間違って口にしてしまったそうです。

●ワリエワ騒動の論点「なぜロシアの選手ばかりドーピング違反が続くのか?」 過去には使用・隠ぺいで“10年間出場停止”の事例も
https://number.bunshun.jp/articles/-/852057

●「なぜあきらめた?」 悲嘆のワリエワにコーチが詰問
https://www.afpbb.com/articles/-/3390672

★先週は、スタンフォード大学に入学予定の中国籍の女子高生が金メダル取ったことを書きましたが、今度は、中国系移民二世のチェンさんです。彼はイエール大学で統計学を専攻しているのですが、サクッと男子フィギュアスケートで金メダル取りました。

 円がずっと弱くなっており、これは円安こそ国益、と考える黒田日銀総裁なんかの意図通りに円安政策が上手く行ったのかもしれませんが、ウクライナ情勢が緊迫していたりエネルギー価格が上がっていく中で、エネルギーも食料も外国から輸入しないといけない日本はなかなか大変なことですね。日本はうまい棒が42年ぶりに値上がりするなど、アメリカだけでなく、日本もついにインフレなのかもしれません。少なくとも電気代やガソリン代はガンガンと上がるでしょう。僕はまだ日銀コインをかなり持っていますので、もう一回円高になってもらって、逃げ場を作ってもらいたいです。ポジショントーク(これは和製英語)なんですけどね。

●円の実力50年ぶり低さ 実質実効値、円安進み購買力低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB208IY0Q2A120C2000000/

★ウクライナ情勢ですがなかなか緊迫しており、いつロシアが武力侵攻するのか、マーケットは固唾を呑んで見守っております。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- 最近ようやく流行りのコロナに罹りました
- 医学部で放学の危機にある友人をどうやって救えばいいでしょうか
- 所長がメーカーでの営業をするなら何が大切だと思いますか
- 東京の外資系証券会社のトレーダーはロンドンやニューヨーク時間の業務までやって激務ではないんですか
- 性風俗店で性病をもらってしまったのですが妻に正直に伝えるべきでしょうか
- 人類がインスタのようなリアルの世界の自慢からメタバースでの自慢に移行するのは何年後ですか

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.自己啓発本紹介で大前研一さんの本を読み返していたら瀧本哲史さんが蘇った

 今週は約束どおりに、オススメの本を紹介しよう。

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- 所長がこれまで読んでよかったと思える本を教えてください

藤沢先生、お世話になっております。
いつもメルマガを楽しく読ませていただいています。
私は現在、大学3年生で、最近本を読むことに楽しさを覚えてきました。
そこで、藤沢先生がこれまで読んだ本で(小説や自己啓発本などなんでも)、心に残っている本や、読んでよかった、と思えた本があれば教えて欲しいです。
藤沢先生の著書は3冊ほど読みました!
よろしくお願いいたします。
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 ところで、これまで読んで一番ためになった本を教えてくれとか、面白かった映画ベスト5を教えてくれ、みたいなことを言われるのだが、先に言っておくと、そんなものはない。日本人はドラゴンボールの戦闘力だとか大学入試の模試の偏差値だとかいう概念に毒されているので、物事が単純なスカラー量(単に大きさだけを表す1次元の数)で表されると勘違いしている。それぞれの本には、それぞれ役に立つことがあり、面白いことがある。映画も同じだ。その日の気分によって何が面白いか変わる。自身がそのときに置かれている状況でどんな映画が心に沁みるのかまったく違うではないか。単に一次元の数字(スカラー量)で、つまらない⇔面白い、と強弱で表せるものでもないのである。
 だから、先週号で、面白いベストの本のリストを発表する、と書いたが、結論から言うとそんなものは作れない、ということだ。

 しかし、大学生の読者に聞かれたら、何か答えないわけにはいかない。過去に何度か書いたように、僕は大学に入るまでは漫画オタクの友だちがいたこともあり、無料で漫画が読めたので漫画はめちゃくちゃ読んでいたのだが、活字の本はまったくと言っていいほど読んでいなかった。それが、大学一年生のときに一人暮らしで時間がたくさんあったのか、何が起こったのかよく覚えていないのだが、ある日突然、活字の本を読むようになり、猛烈な勢いでいろいろな本を読んだ。人間はある日突然変わるものなのだ。
 僕は特に経済やビジネスなどに興味があったわけではなかったが、当時、世界的な経営コンサルタントであった大前研一氏の本を好きになり、彼の本をたくさん読むようになった。大前研一氏を「私淑」したのである。こうして僕は何事も「戦略思考」で考える癖がついていくことになる。僕が留学したいと思ったのも、私淑していた大前研一氏がMITで原子力工学の分野でPhDを取っていたからである。いま思うと、どう考えてもキャリア計画としては遠回りでおかしいのだが、僕は大前研一さんの本に毒されていたので、まずは奨学金をもらいながら海外でPhDを取って、その後はビジネスの世界に行こう、などと無邪気に考えていて、実際にそれが実現したのだ。
 さて、その大前研一氏の膨大な本の中で、何がオススメか、と言われたらこれまた困る。作家は処女作を越えられないなどとよく言われるが(個人的にはそういう人が多いというだけでそんなことはないと思うが)、そういう意味では、まずは彼のデビュー作である『企業参謀』なのだろう。1985年出版の本で、いまでも古典として海外のMBAコースなんかでも英訳が読まれている。

『新装版 企業参謀 戦略的思考とは何か』大前研一
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 大前さんは、MITでPhD取ったあとは日立で原子力プラント設計のエンジニアとして働いていたのだが、いろいろあってマッキンゼーに転職して、最初のうちはまったく何もわからず苦労したのだ。しかし、経営学の本やマッキンゼー社内にあったいろいろな資料を毎日仕事が終わったあとに夜遅くまでひとりで読みまくって勉強したのである。こうして下っ端コンサルタントとして日々の激務をこなし、自分がマッキンゼーにあった資料や実際の仕事から学んだことをまとめて(たぶん正式な許可なんか取ってなかった思うのだが)出版した。それが経営学の分野において教科書として世界中のビジネススクールで読まれるような本になったわけである。
 僕も金融のことなんかさっぱりわからず、会社から首にされないように、誰もいないオフィスに夜まで残って必死こいて金融や経済の本や社内のリサーチレポートなどを読みまくって、勉強していた。それをブログに書いていたら、最初の本が出版されたのだ。世界の大前さんと比べるのはあまりにもおこがましいのだが、こうして振り返ると、見事に私淑したな、という気がする。

『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』藤沢数希
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