見出し画像

週刊金融日記 第481号 西洋のポリコレと科挙文化が合体した日本や中国は長期的には衰退する運命、中国が学習塾禁止で中国株大暴落中、東京五輪プレスセンターの食堂が酷い件と食い物の恨みは怖い、香港でも五輪は盛り上がっています、他

// 週刊金融日記
// 2021年7月27日 第481号
// 西洋のポリコレと科挙文化が合体した日本や中国は長期的には衰退する運命
// 中国が学習塾禁止で中国株大暴落中
// 東京五輪プレスセンターの食堂が酷い件と食い物の恨みは怖い
// 香港でも五輪は盛り上がっています
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 やはり菅首相の思惑通り、オリンピックははじまってみれば、国民は大盛りあがりですね。
 今回はパンデミックの中でのオリンピックということで、史上初の無観客開催ですし、東京は緊急事態宣言でレストランも夜間は閉まっているため、始まってみれば、オリンピック観戦はステイホームで自宅から鑑賞するのにもってこいのコンテンツになったようです。

●開会式視聴率は56.4% 64年東京五輪に迫る
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE261M70W1A720C2000000/

●東京オリンピック 大会4日目 日本は金メダル8個でトップに
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210727/k10013162121000.html

●日本人史上最年少! 西矢が堂々の金メダル獲得 女子スケートボード女子ストリート決勝 西矢椛 ハイライト
https://gorin.jp/video/6265227520001

●卓球「じゅんみま」ペア 金メダルまでの軌跡
https://gorin.jp/video/6265296729001

 ステイホームにぴったりの五輪で、むしろ感染症対策にはいいかと思うのですが、やはりデルタ変異株は強力で、東京の感染拡大が止まりません。なんとか持ちこたえてほしいですね。

●東京都 新型コロナ 新たに1429人感染確認 月曜日では過去最多
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210726/k10013160781000.html

 日本は台風が来ているのですが、サーフィンは逆にいい波ができて白熱しています。僕は香港では毎週ウエイクサーフィンをしていて、こちらはモーターボートが作った綺麗な波に乗るから簡単なのですが、オリンピックを見ていると、本物のサーファーというのは凄まじいです。自分でちょっとやってると、スポーツ鑑賞もより楽しくなります。
 いまウエイクサーフィンは世界的に流行ってきているので、これも近いうちにオリンピック種目になりそうですね。

●五十嵐カノア 銀メダル以上確定 サーフィン男子準決勝
https://gorin.jp/video/6265363952001/

★コロナで海外に行けないので、香港ではウエイクサーフィンが流行っています。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- アンチウイルスソフトなんか入れてるやつは情弱とのことですが
- 自分がいなくても回るようになった会社の売却を考えているのですがバリュエーションの目安を教えてください
- FRBのリバースレポ急増について
- 子供も大人も楽しめる動画コンテンツを教えてください
- 香港で東京オリンピックの盛り上がりはどうですか

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.西洋のポリコレと科挙文化が合体した日本や中国は長期的には衰退する運命

 また、中国から何やらただならぬニュースが流れてきた。加熱する受験戦争が教育費の高騰などで育児の負担になっているため、いきなり受験のための塾をほぼ禁止するというのだ。日本でもこんなことを思いつきで言う政治家はたくさんいるが、そんなことが一夜にして決まって、実際に明日から受験産業が本当に壊滅していく、というのが中国である。つい最近もボロ儲けしていた自国の仮想通貨マイニング産業を一夜にしてぜんぶつぶしてしまった。
 このニュースを受け、米国や香港にも上場されている中国の教育関連企業の株価が一夜にして半額以下に暴落した。この原稿を書いている最中も、そこからさらに株価が下げている。こうした教育関連企業の株は二束三文になりそうだ。

●中国、宿題や塾を規制 詰め込み是正、負担軽減
https://nordot.app/791650395914158080

●中国、宿題や塾を規制 詰め込み是正、児童の負担軽減
https://www.sankei.com/article/20210725-OOBJT37QH5OQ3JU3W5A4HVOF2Q/

 人類史上最大のIPOとなるはずだったアリババグループの金融部門アント社の香港での上場を土壇場で中国政府がいきなり止めた辺りから、何やらただならぬことが中国国内で進行しているように思える。しかし、ほとんど内容がない情緒的な中国脅威論の記事をあれほどたくさん日本の経済評論家が書いていたのに、こうした本当に大きな変化が内部で起こっていても、まともな解説記事がほとんど見当たらない。中国政治や経済の本物の評論家が日本にいないからだろう。

週刊金融日記 第477号 これを読めばデジタル人民元のすべてがわかる
週刊金融日記 第479号 人間は組織の利益は考えないということと中国巨大IT企業の行く末
週刊金融日記 第480号 民主化デモも国家安全法もすべてはある香港人男性の非モテから始まった

 最近の中国巨大テックに対する締め付けは、習近平総書記を頂点とする中国共産党が、国内で自分たちより力をつけ目立っている経済界の連中を叩くためにいろいろやっている、つまり、これほどまでに繁栄してきた中国経済において、独裁政治の悪い部分が出始め、とうとう中国経済躍進の終わりがはじまった、との見方がある。一方で、何らかの大きなビジョンを持って、さらなる繁栄のための国家戦略であるのかもしれない。あるいは、その両方なのだろう。

 日本・中国・韓国の教育システムは、かつてペーパーテストで官僚を選抜した中国の科挙を基本としており、西洋の教育やエリート選抜方式とは非常に異なった形態となっている。平等に同じペーパーテストが科されるので、当然だがそうしたテストへの対策競争となる。公的な学校教育の周辺に、受験産業が出来上がるのは当然なのである。

週刊金融日記 第203号 なぜ欧米には塾がないのか

 こうしたある種の受験戦争で勝ち上がった人材が極めて優秀で、科学やビジネスの世界で活躍してくれるならいいのだが、必ずしもそうではない。与えられた正解のある問題を繰り返し解く教育は、その弊害も多くの識者に指摘されてきた。また、受験戦争が育児の大きな負担になっており、超少子化の一因と言われている。中国政府はこれを強引に規制で止めることが国益になると考えたのかもしれない。こうした教育論は今週号のテーマではないので、また別の機会に考察を書きたいと思う。

 さて、今日は群淘汰はたまたまの偶然だ、という話の続きと、それゆえに科挙文化という意味では同じ文化圏の日本も中国も長期的には困ったことになる、ということを書きたいと思う。群淘汰は偶然の産物、ということがわかれば、世界がなぜこうなっているのかがすっきり理解できる、と僕は考えている。西洋のポリティカルコレクトネスという宗教が、日本や中国にもやってきた結果、どうなるか考えたい。まずは一夫一妻という宗教を見てみよう。
 猿などの多くの哺乳類がそうであるように、放っておくと、人間は緩やかな一夫多妻になると思われる。実際に、この辺はかなり調査して拙著にまとめたのだが、人間社会をアマゾンの集落のようなものをひとつと数える社会の「数」で見れば、いまでも人間は一夫多妻である。一方で、数でいえば少数派の先進国はすべて一夫一妻である。経済で見たら一夫一妻の社会が圧勝したのだ。

『損する結婚 儲かる離婚』 https://amzn.to/2ISJuAp

ここから先は

13,866字

¥ 220

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?