週刊金融日記 第261号 なぜ人は同じことをまったく反対に解釈するのか ~人はみんな合理的、金正恩は大陸間弾道核ミサイル開発を加速させる、広尾のオサレなビストロ、セブ留学で韓国語を覚えました、他
// 週刊金融日記
// 2017年4月13日 第261号
// なぜ人は同じことをまったく反対に解釈するのか ~人はみんな合理的
// 金正恩は大陸間弾道核ミサイル開発を加速させる
// 広尾のオサレなビストロ
// セブ留学で韓国語を覚えました
// 他
こんにちは。藤沢数希です。
東京は桜が咲き乱れておりますね。東北・北海道はまだこれからで、時間ができたらまた、弘前公園や函館の五稜郭なんかに行きたいですね。
★桜が見頃です。
●さくら開花予想 2017
http://sakura.weathermap.jp/
先日、井戸さんと対談というかトークをしてきました。男女の出会いについて、出会い系アプリから街コン、バー、クラブ、そして、バス停(笑)について話してきました。そして、井戸さんの会社がはじめた出会い系スタンディングバーのステマです(笑)。
●井戸実×藤沢数希、恋愛トーク「男女の出会いはそこら中にあふれている」
http://www.mag2.com/p/news/245829
ちなみに、トークの中で出てくる、東京に比較的近い他県では若い女子がじつは東京に吸い寄せられているというリサーチの詳細は以下のバックナンバーにくわしく書いてあります。
『週刊金融日記 第252号 地方ナンパと恋愛市場の地理的効率性について』
ネットでは米航空会社ユナイテッドが、オーバーブッキングの不手際ですでに搭乗していた乗客を無理やり引きずり出した様子がスマホで撮影されTwitterで世界中に拡散され、大炎上しておりますね。
●米ユナイテッド航空はなぜ乗客を引きずりおろしたのか
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39562378
しかし、これは世間が騒いで裁判が有利に運べば、アメリカだと懲罰的損害賠償という考えがありますので、とんでもない金額を取れるチャンスのわけで、そうなったらけっこうオイシイですね(笑)。
★じつは被害者はかなりの腕のポーカープレイヤーだったそうです。
★こちらも真偽の程はわかりませんが、医師免許停止をされていた過去も……。
今週も面白い投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。
―37歳の既婚プレイヤーですが新規の20代女子との戦い方がわからなくなってしまいました
―アラフォー金融マンですがSクラス・20代前半女子がキャバクラの体入に行くとほざいています
―いったんは別れた女子大生の愛人にまた非モテコミット
―男が苦労して稼いだ金をぶちこんでも女性の心には全く響かないことを再認識
―セブでのフィリピン語学留学で韓国人女子大生にゴールしました
―不動産投資と法人を使った財産分与・コンピ負担低減スキーム
―サラリーマンがリスクを取って敗れた後はどのような行動をするべきか
―『サピエンス全史』を何時間で読めますか
(速読というのはインチキだという話)
―31歳女性ですがセックスレスの彼がキャバクラや風俗に通っているようです
―オ・モ・テ・ナ・シにより国際Aマッチに勝利しました
―そこそこいい暮らしで女の子たちと楽しく過ごすのもいいけどそんなことでは燃えないんだ
それでは今週もよろしくお願いします。
1.なぜ人は同じことをまったく反対に解釈するのか ~人はみんな合理的
離婚裁判の資料を見ていてとても面白かったことのひとつは、同じ出来事を夫と妻がまったく正反対に解釈しており、それぞれがそのまったく同じ出来事を相手の否を証明することに使っていることだ。たとえば、ある日、専業主婦が掃除や洗濯をしなかった。そのことが夫の準備書面にも妻の準備書面にも書いてある。夫はとうぜん家事放棄について指摘するし、妻はそんな些細な出来事で怒る夫の人格の異常性や言葉の暴力についてとうとうと書いてある。他には、ある買い物のことで口論になったとしよう。夫の書面には妻がいかに金銭感覚がない人物か書いてあり、妻の書面には夫は自分に金を渡さない異常に金に執着心を持った人物かが書かれている。立場が違えば、こうも見方が違うのだ。
これは小さな夫婦の問題だが、国家間の問題でも同様である。先日、シリアが化学兵器を使った疑いで、アメリカは突如、50発以上のトマホークミサイルをシリア政府の空軍基地に撃ち込んだ。一線を超えた場合(=化学兵器の使用や核開発)、アメリカのトランプ大統領は容赦しない、というメッセージを送ることになった。これは核ミサイルの開発を急いでいる北朝鮮に釘を刺す狙いがある。アメリカ政府や多くの識者の見方では確かにそうなのだが、北朝鮮の金正恩はまったく逆に受け止めているはずだ。「一刻も早くアメリカ本土を攻撃できる大陸間弾道核ミサイルの開発に成功し、そのことを示さなければ、俺はアメリカに消されてしまう」
また、ちょっと別の話ではあるのだけれど、福島県で起きた原発事故をめぐっては反原発派とそうでない者たちの間に非常に大きな隔たりが生まれた。一部、というかかなりの人たちが放射能の危険性を煽った。実際に日本の放射能から逃れるために海外に移住する人もいたのだ。そして、驚くことに、事故とはぜんぜん関係ない日本中の原発が止まってしまったのだ。それがあまりにも不経済だし、科学的な態度とは思えなかったから、僕は本まで書いたのだけれど。
『反原発の不都合な真実』 http://amzn.to/2oyibRi
こうやって同じことをまったく違うように見ている人々は、お互いに相手のことを合理性がない頭のおかしい人だと思っている。たとえば、原発問題などで顕著なのだけど、いわゆる放射脳の人たち(=放射能を極端に怖がり日本にいると奇形児がたくさん生まれるとか言っている人たち)は、そうでない人から「科学の素養がない」「論理的思考力がない」などと罵倒される。
僕は原発問題に関して、本まで書いたぐらいだから、こういう人たちがなぜそう考えるのか、かなり研究した。その結果、わかったことは、科学的素養も論理的思考力もこの問題を考える上で、じつはあまり関係ないということだった。これは意外な発見であった。
まずは、よく言われる科学的素養というものを流行りの水素水を題材に考えてみよう。
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結論からいうと、どれだけ科学を勉強しても、水素水が身体にいい、という命題を否定することはできないのだ。老化には酸化が関係していると言われていて、水素は強力な還元作用(酸化を元に戻す)を持っている。ひょっとしたら、水素は老化を食い止める働きをするかもしれない。ところが、水素と人間の生体組織の反応はひどく複雑で、化学や生物学をいくら勉強しても、簡単に解ける問題しか出ない入試問題と違って、答えなどまったく出ないのだ。
それでも僕は水素水が健康にいい、ということを信じていないわけだが、その理由は、信頼のおける研究グループが、市販されている程度の濃度の水素が老化を食い止めるという研究結果をいまだに発表していない、というだけのことなのだ。
つまり、科学の素養というより、社会の常識の問題なのである。
放射能と健康に関する問題も同様で、いくら物理学や生物学を学んでも何の助けにもならない。放射線により、一部の損傷した細胞が癌化するメカニズムは複雑でよくわかっていない。しかし、広島と長崎に落とされた原爆により、膨大な数の人間に異なった量の放射線が照射されてしまい、被曝量は爆心地からの距離から高い精度で推定できたため、偶然にも理想的な実験結果を人類は得ることになる。日米の研究者たちが地道に追跡調査し、癌になる確率がどれほど増加するのか対照群と比較して明らかにしたのだ。その後も、多くの研究が重ねられ、放射線と健康被害の関係は、疫学的には極めてよく理解されるようになった。
僕は文献にまとめられたこうした過去の研究結果を信じているから、福島の原発事故による放射線量など取るに足りないという結論を下した。これも物理や生物の「素養」とはあまり関係がなく、結局は、何を信じるかという問題だ。そういうちゃんとした研究の信頼度が100だとすると、マスコミにたびたび登場するその辺のジャーナリストやキワモノ研究者たちの信頼度をほぼゼロとして、僕の心の中で情報ソースに重み付けされているだけのことなのだ。
一方で、放射脳の人たちが、あのように行動しているのは、非合理的だからではない。それでは、放射脳の人たちと、僕たち(おそらくこのメルマガの読者は僕と似たような考え方の人が多いと仮定している)の違いは何か? これは単純に、それぞれの情報に対する信頼度の重み付けが違うだけなのだ。つまり、彼らは、微弱な放射線量で癌になる人が続出し、また、奇形児がたくさん生まれてくる、と本当に信じているのだ。実際に、そのようなことをいうジャーナリストやキワモノ研究者はネットにはいくらでもいたし、ときにマスメディアにも登場していた。彼らの信じる情報に基づき、彼らは合理的に行動しているのである。
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