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週刊金融日記 第548号 業界No2クリプト取引所FTX破綻でこれから連鎖倒産がはじまる、米CPI下振れで株高ドル安、老舗広東料理のお店で蛇スープ、『コスパで考える学歴攻略法』は家族で読める教育本、他

// 週刊金融日記
// 2022年11月13日 第548号
// 業界No2クリプト取引所FTX破綻でこれから連鎖倒産がはじまる
// 米CPI下振れで株高ドル安
// 老舗広東料理のお店で蛇スープ
// 『コスパで考える学歴攻略法』は家族で読める教育本
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 この1週間のマーケットは大忙しでした。まずは米国のCPIが下ぶれて、一気に株式市場の雰囲気が変わりました。僕はちょっと前に暴落していた世界の半導体株の落ちるナイフをつかみにいって、手が切れて、出血が止まらず困っていたのですが、それらが爆上げしました。良かった、良かった。

★良くも悪くも、現在の世界経済を一番動かしているのがアメリカの1ヶ月前の物価指標です。

★CPI下振れで青島ビールが美味い。

 アメリカの中間選挙もありました。この中間選挙では、連邦議会の上院(任期6年、定数100)の約3分の1に当たる34議席と下院(任期2年、定数435)の全議席が争われます。また、全米50州のうち36州の知事を選ぶ知事選も行われます。
 株式市場では、アメリカ政府がやることはだいたいバカなので(アメリカがバカなわけではなく大きい民主主義国の政府はたいていがバカです)、バイデン大統領が民主党である以上、選挙では共和党に勝ってもらって、政府が何もできなくなるほうがいいと思われていました。実際、苦しいインフレを引き起こしたバイデンの民主党は苦戦するだろう、というのが下馬評でした。しかし、思ったより民主党が善戦しているようです。アメリカは開票して票を数える作業がとても非効率的なので、火曜日の選挙でも、まだ完全に結果は出ていませんが、上院は民主党が過半数を維持したことが、つい先程判明しました。下院は、現段階ではどちらが過半数を取るのか判明していません。
 例年、民主・共和で接戦をしているフロリダ州では、コロナ禍の中でマスクを外せといい、中絶を立派な犯罪とし、学校で性自認について教えることを禁止した共和党のデサンティス知事が大きな得票差での圧勝で再戦しました。デサンティス氏は将来の大統領候補として呼び声も高く、2024年大統領選に向けた動きが注目されています。

●米中間選挙、民主が上院多数派を維持 ネバダ州制す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN119II0R11C22A1000000/

●民主党が上院で多数党維持 ネヴァダ州の現職再選で
https://www.bbc.com/japanese/63613013

●共和党デサンティス知事はいかにしてフロリダ州で圧勝したのか 大統領選への影響は
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63609327

 今週はいよいよ拙著『コスパで考える学歴攻略法』が発売されます。いろいろと紹介記事を書こうと思っていたのですが、ちょっと今週は大ニュースがありすぎて、あまり紙面がなくなってしまいました。
 かなり面白い教育についての本になっているので、買って損はないはずです。僕はネット民なので、他の作家と違い、Amazonなどのネット経由で売れる割合が多く、Amazonは最初の入荷分はすぐ売り切れてしまうので、予約しておくことをオススメします。

『コスパで考える 学歴攻略法』
https://amzn.to/3fXY2kl
https://a.r10.to/hUHpZS

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-「健康工学」についてですが常識的な健康法で十分です
-「身内の葬儀を安く済ます方法」のご回答へのお礼
- コスパで考える学歴攻略法は妻と輪読してもいい本でしょうか
- 年収1000万円時代・2000万円時代・3000万円時代…で所長の年収別の生活を教えてください
- 海外駐在する際に証券口座等はどのように移すべきでしょうか
- 日本の金融緩和政策はプラスの効果があったのでは
- THE世界大学ランキング日本版でなぜ東北大学が3年連続1位なのでしょうか

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.業界No2クリプト取引所FTX破綻でこれから連鎖倒産がはじまる

 11日金曜日にクリプト市場に激震が走りました。業界2位のFTX社が破産申請しました(業界1位はもちろんBinance社です)。金融史に照らし合わせれば、1999年のLTCM破綻劇に近いでしょう(※)。そして、これから起こることは2008年のリーマン・ブラザーズ破綻後の世界ですが、いくつかの違いがあります。リーマン・ブラザーズ破綻では、金融機関の連鎖破綻を防ぐために、公的資金(=税金)が資本注入され、各国中央銀行が流動性(=現金)を市場に供給し、政府と中央銀行によるさまざまな救済が行われましたが、クリプトではそのようなことは絶対にないので、これからクリプト関連企業の連鎖倒産がそのままはじまる、ということです。
 今週号ではこのFTXショックの背景をくわしく解説しましょう。

●FTX、破産法適用を申請 対象はFTX Japan含む130社超
https://coinpost.jp/?p=406827

●ロングターム・キャピタル・マネジメント
https://w.wiki/4AM6

★一時は4兆円ほどの資産を持ち20代ではおそらく世界一の金持ちだったSBFことサム・バックマン・フリードは一夜にして破綻しました。

★SBFは地球温暖化問題や動物の権利向上に熱心に取り込む慈善家でビーガンでした。

●Sam Bankman-Fried
https://en.wikipedia.org/wiki/Sam_Bankman-Fried

●The Most Generous Billionaire

※ この原稿を書き始めたのが昨日の土曜日だったのですが、メルマガを書き終わる頃には、さらにいろいろ新たな情報が出てきて、相場で大損こいただけのLTCMと違い、犯罪性のある資金流用やポンジスキームなどの疑惑が出ており、その場合はLTCMというより当事のレートで約7兆円という史上最大のネズミ講詐欺事件となったマドフにずっと近いものになりそうです。

●バーナード・L・マドフ
https://w.wiki/5xJg

 YouTube動画を見てもらいたいのですが、SBFは2017年の第一次クリプトバブルで、裁定取引により一財産を築きました。僕もこの時期に裁定取引をやって小金を稼いでいました。当時の様子は、以下のバックナンバーでまとめて解説されています。なお、この号でPLをドヤってから、かなり損して(たしか通算利益の3分の1ぐらいがやられたと記憶しています)、だんだんクリプト市場も注目されなくなり、コンテンツ価値もなくなったので、僕は綺麗さっぱりポジションを解消して、クリプト口座を空っぽにしました。そして、税金をたんまり払いました。それから、また、僕がクリプトに戻ってきたのは、1BTC=600ドルを超えた空前のバブルだった昨年です。これはまたバブル崩壊に賭けられる、と思いました。また、世間がクリプトに注目していたので、コンテンツ価値も高まっていました。

週刊金融日記 第311号 五公五民トレーディング戦略PL公開!今年のビットコイン市場を振り返る
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