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週刊金融日記 第336号 サラリーマンは副業にコミットするべきか、日米首脳会談前に安倍首相が自民党総裁選で圧勝の連続3選、香港から電車で深センに行ったら金盾にハマった話、非モテ(=これからモテるようになる人たち)に私の勝ちパターンを紹介、他

// 週刊金融日記
// 2018年9月26日 第336号
// サラリーマンは副業にコミットするべきか
// 日米首脳会談前に安倍首相が自民党総裁選で圧勝の連続3選
// 香港から電車で深センに行ったら金盾にハマった話
// 非モテ(=これからモテるようになる人たち)に私の勝ちパターンを紹介
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 何十年に一度クラスの台風が香港を襲った2日後ぐらいに、香港に行ったのですが、街中はすっかり何事もなく僕が見た感じすべてのお店が開いていました。しかし、外を見ると、道路や公園に植えられている木が、ボコボコとなぎ倒されています。倒されている木が何本かある、なんてレベルではなく、ふつうに生えている木の5本に1本ぐらいは地面が根っこを支えきれずに倒れてしまっていました。ほとんどの高層ビルは大丈夫だったのですが、ガラス張りでガラスの強度が足りなかったビルがいくつかあり、ガラスが粉々に割れてしまったそうです。香港のあとは深センに行ったのですが、ここも状況は同じで、木が倒れていましたが、お店や電車などはすべて平常運転でした。日本に来るものも含めて、年々台風の威力が増している気がするのですが、気のせいでしょうか。

●台風22号、中国に上陸 フィリピンで約60人死亡
https://www.bbc.com/japanese/45544014

 福島の原発事故の風評などでしばらく漁業が止まっていたのですが、やはり予想通りめちゃくちゃ水産資源が回復しているようです。数年間だけでも人間が魚を獲らないと、ここまで高級魚たちが増えるというのはなかなかすごいですね。先週紹介した『ホモデウス』にも書いてあったように、地球の生命たちにとってホモサピエンスが最大の脅威なわけです。

「去年1年間の平均の資源量は、震災前の5年間の平均と比べてヒラメがおよそ8倍、ナメタガレイがおよそ7倍と大幅に増えていたことがわかりました。
 大きさもヒラメの場合、震災前は体長40センチ前後がもっとも多かったのに対し、おととしのデータでは50センチから60センチが多く、大型化しているということです。」
●福島沖の漁業資源大幅増
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180924/k10011642191000.html

『反原発の不都合な真実』 http://amzn.to/2wFYTLr

 最近、飛行機に乗る機会が多く、移動時間にKindleで本をよく読んでいるのですが、子供の教育については、ぜんぜんいい本がないという印象です。というのも、教育で遺伝的な資質を語るのがある種のタブーになっており、多くの評論家や教育学者は、それはタブーであるからあえて知的不誠実な態度で本を書いているか、実際に建前の世界で長く暮らす内に、本当に建前が真実だと思いこんでしまっていて、嘘をついている自覚さえなくなってしまっているからです。逆に、遺伝的な資質について書いてある本も、非主流派だからなのか、ちょっと極端だったり、エビデンスに基づくと言いつつ、エビデンスが弱かったり、実践的でないなど、あまりいい本がありませんでした。
 日本の受験テクニックや受験勉強のための参考書は出揃っているのですが、教育論や学習理論などは、ちょうど恋愛工学以前の恋愛論のような状況だと思います。アカデミックではいろいろな研究が進んでいるのかもしれませんが、少なくとも書店に売られているような一般書に関しては、そういう状況です。しかし、最近になってようやく、いろいろとまともな本が出てきました。とりあえず、新しい本を2冊と、あとは個人的にとても面白かったやや古い本を1冊紹介しましょう。

『なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える』安藤寿康
https://amzn.to/2DrTMGh

『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』高橋孝雄
https://amzn.to/2MRJPkR

『バイリンガル教育の方法』中島和子
https://amzn.to/2Dsbr0q

 1冊目は行動遺伝学や教育心理学が専門で一卵性双生児の研究をしておられる著者による、遺伝と環境が人間の能力にどう影響しているかについての近年の研究結果の紹介や、そもそもなぜ人間は学ぶという強い欲求を持っているかについて書いてある新書で大変面白いです。2冊目は慶應大学医学部小児科教授の方が、いかに遺伝は強力かを踏まえた上での子育て論です。こちらは一般読者向け、あるいは子育て中のお母さん向けなので、学術的な話は抑えめに書かれていますが、世の中の子育て本が精神論や、あれやれこれやれと急き立てるものが多い中で、いいガイドラインになるかもしれません。3冊目は、バイリンガル研究をしている言語学者でトロント大名誉教授の方が書いた本で、人間が言語を習得するとはどういうことかについて、学術的な研究でわかっていることや、実際に自身の子供が多言語を身につけた過程について書かれていて、これまたかなり面白いです。こちらはかなり学術的な本ですが。

 今週も興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-進化生物学を俯瞰できるオススメの書籍
-投資信託・確定拠出年金について教えてください
-視覚障害者がやるべき仕事は
-非モテ(=これからモテるようになる人たち)に私の勝ちパターンを紹介

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.サラリーマンは副業にコミットするべきか

 10年前に僕がブログを書いていたときは、もちろんブロガーという職業はまだできたばかりだったし、サラリーマンが副業するということもあまり一般的ではなかった。しかし、いよいよ終身雇用でひとつの会社に勤め上げるという人生モデルが怪しくなってきたのか、最近はTwitterなどを見ていても副業に関する話題が多くなったように思う。また、企業側も副業解禁に乗り出すところも多くなってきた。これは若い頃はアンダーペイで働いても年功賃金で後で報われる、という暗黙の約束を反故にするための布石なのかもしれないが。
 終身雇用やひとつの会社に勤め上げるなんていうのは、日本の伝統的な大企業や公務員などのごく一部の日本人だけの話であるのだが、日本のいい大学を出て、脇道に逸れずに人生を生きてきた人たちの多くがそのレールに乗るため、こうした生き方が日本の本流であり、その意味するところは頭数以上に大きな意味を持つ。暗黙の社会規範に対して大きな影響を与えてきたのだ。

 この有料メルマガを購入してくれている読者はよくわかっているように、僕自身はサラリーマンの副業で成功したと言っていい。外資系金融機関に務めながらブログを書いていた。ブログはお金を稼ぐことが第一の目的ではなかったが、Amazon AssociateやGoogle AdSesnseでふつうのサラリーマン以上に稼いでいた。また、ブログで書いていたことに加筆して本を出版した。これらの本もベストセラーになり、会社務めをしながら、いつ会社を辞めても生活に困らない収入を得られる目処が立った。そして、この有料メルマガもおかげさまで多くの読者を得ることができた。僕はサラリーマンを辞めてから、自分のビジネスの収入がサラリーマン時代の給料を下回ったことがない。会社を辞めた最初の一月目からこれまでずっとである。絵に描いたような副業の成功モデルだ。
 しかし、である。だからこそ、最近の副業を煽るような言説がネットに溢れかえっていることに違和感がある。今日は副業のリスクについて書いておこうと思う。

『外資系金融の終わり』 https://amzn.to/2O4dA36

【多くのサラリーマンが副業する理由】

 じつのところ、もっと多くの金を稼ぎたいから副業する人はそんなに多くない。もっと後ろ向きの感情からである。専業サラリーマンは収入源がひとつしかないのだ。これは一社とだけしか取引できない下請け業者のようなものである。この会社がつぶれたら、あるいは首になったら、理不尽な理由で左遷されたら……。これまで一度もレールを外れたことがない、ちょっといい会社に務めている優等生サラリーマンにとって、これは得体の知れない恐怖だ。僕自身も優等生サラリーマンだったので、そのような恐怖を感じていた。ついさっき、執筆活動をしていたのは金のためではないと書いたばかりだが、やはりブログなどで早く生活には困らない程度に稼げるようになりたかった。

【有名企業は副業しながら出世できるほど甘くない】

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