「ザ・ベストテン」まるごと再放送 若者にも昭和歌謡ブーム 「マツコ」で手応え 5月29日、スポニチアネックス

1978年1月から、約11年半続き最高視聴率41.9%(関東地区、ビデオリサーチ調べ。以下同)を記録したTBSの音楽番組「ザ・ベストテン」の再放送が、本日6月20日19時から同局のCS放送「TBSチャンネル2」でスタート。
初回は、五輪真弓の「恋人よ」が1位だった1980年12月25日放送分。近藤真彦、田原俊彦、松田聖子と80年代のスーパーアイドルがそろって出場した華やかな回。
以後、不定期ではあるが、スタッフが特に話題を集めた回を厳選して放送される。

ベストテンは、TBSにとって「8時だヨ!全員集合」と並ぶキラーコンテンツで再放送を望む声が多数寄せられてきた。
当時の「ベストテン世代」に加えて、近年若者の間では昭和歌謡がブーム。今年4月28日、昭和歌謡を特集した同局の「マツコの知らない世界」が、番組史上最高の視聴率15.4%を獲得し満を持しての再放送となる。

「毎週、一番売れている10曲を並べる」というコンセプトでスタートし伝説の番組といわれた魅力はどこにあるのか。私なりの視点となりますが、その魅力に迫ってみたいと思います。

① 嘘のないランキング。「ザ・ベストテン」の順位は、3つの音楽情報誌のデータにより決定するレコード総合売上、全国有線音楽放送協会のデータによる有線放送リクエスト、全国のTBSラジオのネット局20局の歌謡曲ベストテン番組のチャートを集計したラジオ総合リクエスト、組織票が該当させないようチェックが入るはがきリクエストの4要素から厳密に集計されたランキングになっており演出は一切なく、4要素の上位10曲は、番組冒頭で発表される。
極端な話だが、4要素共1位であれば番組冒頭の発表と同時に総合1位が分かってしまう構成だが、正確性を示す意味で公表している。
尚、4要素全ての1位は、79年4月5日,12日に西城秀樹さん(以下敬称略)が2週連続で記録した満点の9999点だった。約12年の歴史の中で満点はただ一人。

② 当時は歌謡界の全盛期。70年代後半から80年代のヒット曲は勿論、ポップス・ロック・演歌・ニューミュージック・ドラマの主題歌を歌った俳優・そして新御三家・山口百恵・桜田淳子・田原俊彦・近藤真彦・松田聖子・中森明菜・小泉今日子・ピンクレディー・キャンディーズ・おニャン子クラブを含めた多数のアイドル、当時テレビには決して出なかった松任谷由実・松山千春・長渕剛・甲斐バンド他、様々なジャンルの歌手が登場している。

③ 今では考えられない生中継と豪華セット。ベストテンは全編生放送。しかも出演者は、その週ランキングに入った10曲に限定されるため、歌手が地方や海外(ニューヨーク・ロンドン・パリ他多数)に行っていてスタジオに来られない場合、現地からの歌唱を中継披露するのが恒例だったため、今では決してみられない放送が目白押し。松田聖子が羽田空港に到着後タラップを降りて滑走路から歌唱したのを筆頭にコンサート会場からの中継の恒例。新幹線の車中や飛行機ボーイングの機内から歌唱。一般道路を走っているオープンカーの中で立って歌ったり、新幹線の停車時間に下車してホームからの歌唱し歌の途中で出発する電車に戻ったり、地方からの中継は見物する人が多すぎて常に混乱している模様が生放送される。
今よりも制作費が高かった当時に、番組は高視聴率だったにも関わらず番組制作費は年間約1億赤字だったという逸話があるほど、こだわった豪華なセットも見どころの一つである。

④ 放送約1時間の中で、上位10曲の歌に加えて、出演者とのトーク・4要素のランキングと11位から20位の発表・注目曲を紹介する「スポットライト」のコーナー等音楽情報が凝縮されており、当時の音楽事情が全て分かる。

⑤ 名コンビといわれた初代司会の黒柳徹子と久米宏は、共に名司会者だが特に当時は絶頂期といわれ、幾度となく話題となった息もつかせぬ絶妙な司会も魅力の一つです。

80年代まで「民放の雄」「ドラマのTBS」「報道のTBS」といわれ、テレビをリードしていたTBSは「ドラマのTBS」の伝統を引き継ぎ、現在過去の名作を続々と放送して話題となっている。
CSだけでなく、BS・地上波でも限定的に放送することができればTBSの歴史の深さが更に伝わるのではないかと思います。
「ザ・ベストテン」は、その魅力が詰まった番組です。


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