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【読書 #42】 かがみの孤城

辻村深月の『かがみの孤城』は、心を閉ざした中学生「こころ」が、鏡を通じて不思議な城に導かれる物語です。

学校で居場所を失い、孤独を感じていたこころは、同じ境遇の7人と出会い、共に時間を過ごす中で次第に心を開いていきます。

まず、こころが鏡を通り抜けるシーンは物語の象徴的な瞬間です。「輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物」。この場所は、現実の苦しみから逃れるための安全な避難所として描かれています。

次に、こころと他の6人が自分たちの過去と向き合うシーンが心に残ります。「なぜこの7人が、なぜこの場所に――」という謎が解けるにつれて、彼らの過去の傷が浮かび上がり、読者は彼らの痛みと成長を感じ取ることができます。

生きづらさを抱えるすべての人に希望を与えてくれる、そんな物語です。

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