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【読書 #30】 イーロン・マスク 上

ウォルター・アイザックソンによる『イーロン・マスク 上』は、南アフリカでいじめられ、心に傷を負いながらも、「電気自動車、宇宙開発、AIの時代へ世界を導いた」イーロン・マスクの軌跡を描く壮大な伝記である。

アイザックソンは2年間にわたりマスクを追い、彼の打ち合わせに同席し、工場を一緒に歩き回り、家族や仕事仲間、敵対者からも話を聞いている。

結果、読者はマスクの内面と外面の双方に深く触れることができたようだ。

マスクの幼少期についての描写は非常に生々しくて、少年時代は物理的にも精神的にも苛烈であった。

父親との関係も複雑で、その影響は現在も続いていて逃れられないようだ。

マスクの性格形成にはこうした背景が深く関わっており、「たくましいのに傷つきやすく、子どものような言動をくり返す男」として描かれている。

2022年に世界一の金持ちとなったマスクだが、「騒動をつい引き起こしてしまう自身の性格をなんとかしたい」と悩みを吐露している。

この伝記は、イノベーションや進歩を実現するためには、マスクのような「悪魔に突き動かされなければならないのか」という疑問に対しても挑戦している。


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