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【日記・京都下鴨便り】今夜もアンティで、①

① 京都人の粋とは

 出町商店街の近くの銀行さんに行って、預金通帳に印字し、その帰りに 枡形商店街のエビススーパーさんに立ち寄って、さらにつきあたりの果物屋さんで、店頭のおじさんにごあいさつ、お買い得品を一つ買って帰る。

  葵橋西詰から賀茂川葵橋を渡り、下鴨本通りを、"上る"。
 京都はまーるい盆地とはいえ、平たい平地ではなく、南から北にかなりの高低差がある。八条の京都タワーの展望台の高さが、北大路の標高とおんなじと言われているから、余程の高低差があるのは、チャリやタクで四条から北に"上がる"と、そのしんどさで、よくわかる。

 橋を渡って裁判所の前を上がれば、すぐに、糺(ただす)の森となり  河合神社入り口、下鴨神社の参道となる。
 チャリをこいで、息の切れる”坂”を感じながら、道なりに上がれば、いきなり真っ直ぐな道となり、その先に見慣れた看板が見えてくる。
 喉の渇きが、ちょうど気になり始める頃、ぴったしのタイミングで、毎度のスコッチバー、アンティシェンエの軒下へ。
 かつては市電が走っていた、バス通りの歩道、左側は高塀の住宅とマンションとなると、逃げ場なく、追い込まれた野のウサギか、鴨川のハヤ。 
 バーサインの扉を開ければ、待ってましたとばかりにカウンターには空席がポッカリ、その向こう側には満面の笑みを浮かべた、バーマスターのホーりーさんが、待ち構えている。
 この笑顔と、いらっしゃい!の一言で、どれだけ気持ちがやわらぎ、癒された気分に、なってしまうことか?
 ハリーポッターならぬ、ホーリーマジック?いや、黒マジックかしらん。

「なんにしましょ?」そう聞かれて、一応考えたふり、とはいえ、マスターの手はすでに、生ビールサーバーに向かっている、「やっぱり、いつもの、、」という間も無く、目の前には、ギネススタウトのパイントが、置かれている、 いつしかこのタイミングで出される黒ビール以外は、いただくことがなくなってしまったけれど、こんなに美味しくいただける生ビールのカウンターには、今まで出会ったことがない。

# 発売当初の"響"505、超秘蔵品。

「オーバーツーリズムや何や言うけどな、わしら京都市民も国も国民の税金払ってるんやん、市バスも地下鉄もな、どかんと料金上げてな、納税者だけだけ割引にしたらええやん、、!」
と、口やかましい酔客に応えて、ホーリーさんは、
「ワシな、能登になあ、知り合いやら友だちやら、いっぱいいるけどなあ、今更な、現金やら寄付なんてようできひんで、そんなことしたら、次から行く時にな、へんに気遣ってむらって居心地わるーてなあ、よう行かへんようになってしまうやんけ、、、
 そんでな、この前、料理なしの宿屋予約をネットからしてな、前日キャンセルしたん、そしたらな、全額キャンセル料かかるやん、前日やったらな、料理も無駄にならへんしバイトも増やさんでええやろ、?」
「これがな、京都人の粋、ゆうねん、ちゃいます?」

何も言わず、空になったグラスをホーリーさんに渡して、ニッコリ。


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