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東浩紀

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東浩紀の本の感想です
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2023年4月の記事一覧

ウクライナ戦争の動機を考えるー座談会「帝国と国民国家のはざまで」を読んでみた

前回までのあらすじ 戦争に巻き込まれるのはまっぴらごめんということで、ウクライナ戦争を題材にして回避策を見つけることができないかと考えたのでした。まずロシア軍事・安全保障の研究者、小泉悠の著作を二つほど読みましたが、回避策を考えるにも、そもそも2022年2月に開戦しなければならなかったロシアの動機がわからないということでした。小泉は「自分の代でルーシ民族の再統一を成し遂げるのだ」といった民族主義的野望のようなものが動機なのではないかと考えるのですが、しかし2022年2月に開戦

意識と無意識をつなぐ通路ー東浩紀「想像界と動物的通路」を読んでみた

MV『人は夢を二度見る』(乃木坂46)では絶望と希望をつなぐ通路がビジュアル化されていることを記事にしました。 これ↓ 絶望と希望をつなぐ抽象的通路。 抽象的通路といえば東浩紀「想像界と動物的通路ー形式化のデリダ的諸問題」(2000年)(『サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+』河出文庫に収録)でしょ、ということで、改めて読んでみました。今回はこの論文をご紹介します。 課題東の問題設定は以下のようなものです。 デリダは、ハイデガーがナチスへ加担したことは理論的に必然だっ