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第二章 自然と我々(2)

※この原稿は、100年前に書かれたものを現代語訳しています。
 事例は古いものですが、人間の本質、自己治癒力の
 本質は100年前も今も変わりません。


○療養を尽くして治らす慢性の胃腸病、婦人病がこうして根治した。
某婦人が
慢性の胃腸病及び婦人病で
長年医療は勿論、妙薬、療機その他の療法で手を尽くして
効果なくついには神信心に夢中になってしまった。

その神のご利益(?)でか精神に異常を来してしまった。

そして寒中裸で歩ききまわったり
着物のままで川の水を浴びて
凍った着物で歩きまわったり
或いは夏の炎天下を裸で素足で素頭で
歩きまわったり
またあるいは掃き溜めで
腐ったものを拾いし食いたりして
夜もなく昼もなくお経や題目を唱えたり
くだらぬことを言ったりしながら
押し歩くようになってしまったのである。

彼女が本会に治療を申し込んできたときには、
彼女が精神異常となってから十六年目であった。

会長が彼女に施術すること十数回にして
完全に普通の精神状態にたった、すなわり全治したのである。

その後彼女は結婚して子供まで生み、
もはや十六、七年たつが、
一度も再発せず平和な家庭の主婦となっているのである。

彼女が普通の精神状態になったときに、
会長が彼女の胃腸病や婦人病についてただしてみたところが、
その時はすでに胃腸病も婦人病も
完全に治ってしまっていたのである。

この慢性の胃腸病及び婦人病が全治した事実は
自然療能のいかに威力があるものかを立証するものである。

すなわち彼女は胃腸病、婦人病で種々の療法を講じ、
百方手を尽くしていたのである。
然るにそうしている中は一向に病が治らず、
悩みに悩んで神信心してついには
精神異常になってしまったのである。

そして婦人病なる彼女が寒中水に入って
凍ったままの着物でいたり
また裸でいたりしたのである。

「婦人病は冷えから起こる」
とさえ言われている病であるから
何人にも彼女の婦人病は
増々悪化するのが当然と思われたのである。

それなのにその婦人病が根治してしまったのである。

婦人病で薬を絶やさず用い、
湯や懐炉で温めていても治らないで悩んでいる同病者は
右の実例によって
自然療能の如何に霊妙なる威力あるかに
目覚めねばならぬのである。

また胃腸病なる彼女が
掃き溜めの中から拾いしものを食べたり、
道に捨ててある腐敗したものを手当たり次第に
拾い食いしていたのであるから
彼女の胃腸病は増々悪化する筈である
と思われたのである。

それなのにこの胃腸病は根治した、
いやかえって強健となってしまったのである。

胃腸病で絶えず薬を呑み
外出にも旅行にもその薬だけは忘れずに
懐中に入れていくほどに薬大明神になっている者や、
または、あれは硬い、これは怖い、それは毒だと
いちいち飲食物に神経を尖らせている病人などは
この実例によって
自然治癒の威力をよくよく含味してこれを悟り、
そして一時も早くこの自然療能を
猛烈に作用させる方法を講ずるべきである。

要するに彼女は
胃腸病、婦人病のために
医薬、療機、その他種々の療法を施し、
節制に注意している内はその病気は治らず
薬も療機も捨て
不摂生も甚だしい生活を続けていたら
その病が根治したのである

これすなわち自然療能作用によって
治ったことは説明するまでもないことである。

つまり彼女は種々なる療法を施しつつ
毎日毎日悩み続けていた
=その心の悩みは自然療能の大妨害となった
=故に自然療能が作用しなかったのである
=病を治す主力となり原動力となる自然療能が作用しない病人に
=その補助力となるに過ぎない薬物や療機は効果はない
のである
=ちょうどゼンマイが駄目になっている時計に油をくれるようなものである。
=時計を回す原動力となっているゼンマイが駄目になっている時計に、その補助力となる油をくれてもその時計は回るはずはないのである。

斯くの如くにして
彼女は毎日毎日効果のない油をくれていた、
否効果のない薬を服み療機を用いつつ
悩みに悩みついには神信心に夢中になり
精神異常になってしまったのである
=精神異常になったのでなんの悩みも何の心配もなくなった
=即ち自然療能の妨害をしていた悩みや心配がなくなった
=自然療能は妨害物がなくなったために自由自在に活動ができる状態になった
=病を癒やす原動力となる自然療能が遺憾なく作用を起こしたから
=右の如くに有害物や有毒物を食ったり呑んだりまた凍った着物でいたりしても、
=長年の慢性の胃腸病も婦人病も根治してしまったのである。

実に自然療能の威力は
大したものであることを
痛切に感せざるをえないではないか。

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