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戦略論をFPSに応用する〜VALORANTを例に〜

この記事は、FUN Advent Calender part1 12/3の記事です。 昨日はみ🦊さんが「僕の人生を割と変えたゲーム」を、後日はバッシュが「FUN-BSの話」をするそうです。
(バッシュとは先週の金曜日に大阪で一緒にご飯食べたので、概要は知っていますが、記事が楽しみです。)
今日のpart2のほうでは、シルロナさんが「アクセス修飾子を意識するために」という記事を書いているのでぜひ!

はっきりと人生を変えたと思えるゲームがあるのはうらやましいですね。
自分の場合は、メイプルストーリーとかニコッとタウン、アメーバピグ当たりかな?
いろんなゲームで私の身体は作られています。

僕の人生を割と変えたゲームを読んで

プログラミングからはだんだんと遠ざかってきましたが、理解はしていたいですね。
カプセル化等は大きなプログラムやチームでの開発において必須能力になると思いますが、一方で、自分だけが分かるコードを書いて属人化させるっていうのも個人合理性がありそうで、戦略として成り立つかなとか思いながら読んでいました。
(自分は、変に凝ったコード書くぐらいなら、無駄のない範囲で長くてもわかりやすいコード書け!派閥です。)

アクセス修飾子を意識するためにを読んで

この記事を読んで僕ともっとお話ししたいと思った方、DMお待ちしてます。
X
https://twitter.com/kazu0_fun

くそ長いので目次置いておきます。


何者?

はじめに

昨年未来大の複雑系コースを卒業した、「かずお」です。
初めてアドベントカレンダーを書きます。
知らない人も多いと思うので、まずは自己紹介をしておきますね。

サークルは、FUNラジに所属していました。
(今でもお世話になっていてすみません。)

1年生の時には、高度ICT演習に参加し、貴重な経験を積ませてもらいましたが、後述する活動に夢中になっていき、途中でおさらばしちゃいました。その節は、関係者各位すみませんでした。

2年生からは、FUNラジの部長を務め、コロナ禍で好き勝手やらせていただきました。感謝します。

3年生では、サークルの部長を交代し、主に、プロジェクト学習とサークル運営協議会の活動を掛け持ちしていました。
みんなにネガティブに思われるサークル運営協議会を何とかしたいと思って、MIRAIVEだったり、補助金関連だったり、いろいろ取り組んできました。
大学事務局や先生、各サークルの人といろいろ話せたのは面白い経験でした。協力してくださった方々、マジでありがとうございました。
プロジェクト学習は、Interaction Elementsでプロジェクトリーダーを務めました。デザインコースの人と関わる機会がそれまでなかなかなかったので、最初は戸惑いましたが、メンバーのおかげでいろいろつかむことができました。楽しく活動できました。感謝します。

4年生では、他大学の院に進学したかったので、研究活動に取り組みながら、準備を進めていました。この時期が精神的にはいちばんきつかったですね。結局、希望通り、関西の某大学で経営学(MBA)を学んでいます。勝手にデュアルディグリーだと思って生きてます。

くそなが自己紹介になったので、もうここで何人か読むのやめちゃった気がしますが、たぶん結構長い記事になります。つらつらと書くのたのしい。

経歴

大学
未来大複雑系→関西の某大学MBA→?
大阪→北海道→大阪→?

ゲーム
ゲームボーイアドバンス(ものごころ)→CSO/メイプル/アーマードコア/ニコッとタウン/アメーバピグ/グランツーリスモ(小~中学校)→Apex/Valorant/SF/シミュレーション(大学)

何がしたいのか?

やりたいこと

経営学における戦略論の考え方を、FPSないしVALORANTに応用して、読み合いの理解を進めることをやってみたいのです。

経歴でも書いたんですが、現在は経営学を主に学び、マーケティング系の観点から顧客体験や消費者行動といった内容で、研究しています。ゆくゆくはeスポーツのマーケティングについて研究できればいいんですが・・・
もともと、経営学関連の内容は好きで、高校時代から色々見ていました。プログラミングに必要な構造化して考える能力とか活用できるので、経営学と情報学は結構親和度高いと思うんですけどね。両学問とも学際性があるところとか。

Q&A

Q:これを読めばVALORANTがうまくなりますか?
A:わかりません。どういう読み合いがあるかを理解する手助けにはなるかもしれません。最終的に重要なのは、とっさの判断と慣れだと思っています。理論を理解したからと言って、身につくわけではないと思っています。
参考書を買って満足しても意味はないのです。

Q:あなたのランクは何ですか?
A:あえて隠そうと思います。内容を見て、「これは違うな」「なるほど」とか自身で判断してほしいのです。ただ伝えておきたいのは、私は、VALORANTにも戦略論にも超専門家ではないということです。あくまで、素人の戯れです。

Q:私はどうしてもあなたの考えが理解できません。
A:VALORANTが楽しければなんでもokです。楽しみましょう。もし、興味をお持ちだったら、Xから連絡お待ちしてます。

Q:私はあなたの考え方が好きです。
A:一緒にVALORANTをやりましょう。ちなみに、私はエイムでごり押します。

戦略論とは

戦略論とは、何かのお話をしておきたいと思います。VALORANTにおいてどう考えるかを知りたいだけの人は読み飛ばしてもらって問題ないはずです。

戦略論とは、読んで字のごとく、
「勝つためにはどういう戦略で戦えばいいのか」
というやつです。
今回主に援用するのは、経営戦略論というやつです。ことの発端は、調べてもらえればいいんですが、戦争にどうやったら勝つか考えるものです。なので、軍事学の要素もあるんですね。

一方でVALORANTは何かというと「爆破ゲー」、いわゆる戦いなわけです。なので、戦略論という巨人の肩の上に立っても不思議ではないと思っています。

本当は、ある特定分野の考え方を持ってきて論じるのがいいんですが、そこまでやるのはさすがに面倒なので、好きなやつを恣意的に使います。
いつか本でも書くならその辺ちゃんとしないといけないんだろうな。

ちなみに、戦略と戦術は区別して扱われます。そのあたりはいい感じに説明してくれている方がいたので、興味がある方がいれば読んでみてください。

基本は、「選択と集中」です。
今回は「ランチェスター戦略」の考え方に近いかもしれませんね。(ところどころ違いますよ)

本題

前提

すでにお察しの通り、VALORANTについては基本的に説明しない方針です。ある程度のゲーム理解度があることを前提に話していますが、VALORANT以外にもすべてのFPSに通ずる考え方だと勝手に思っています。対して知識は必要ないかなと。

コンペティティブで使える話を主にします。競技シーンはこれが応用された結果なので、そこまで説明する気力があるどうか。
イメージ的には、自然状態である部落間の闘争を考えて、高度な戦略のある国間の戦争を考えるって感じです。
自分で書いててよくわかんないわ。

ものすごく単純化して考えていきます。そんなシーンないだろというツッコミはなしで。

あと、勝利するとはどういうことかというと、戦略でできることは、
「勝つ期待値を上げる」
(期待値は、得られる価値×確率で表せますね。例えば、得られる価値が100で成功する確率が50%なら、期待値は50ということです。)
ということしかできません。したがって、「不運」は存在します。不運はコントロールできないので、それ以外の戦略だったりの部分を磨くしかないのです。

攻める/守るとは

アタッカーの勝利条件は、「敵の殲滅」か、「スパイク設置→爆破」
ディフェンダーの勝利条件は、「敵の殲滅」か、「スパイク解除」、「時間経過」です。
これは常に頭に入れておいてください。

単純化のため、まずは本来5v5ですが、1v1でプレイすることを考えます。スキルはすべて忘れてください。
マップもすごく単純に下図のような感じで。

アタッカーの勝利条件

  • 敵の殲滅

  • スパイク設置→爆破

ディフェンダーの勝利条件

  • 敵の殲滅

  • スパイク解除

  • 時間経過

その他の条件

  • サイトで待っているほうが勝つ。(サイト内は隠れられる場所が多く、射線が無限に存在するため。)

  • ディフェンダーは先にサイト中で待っていられる

単純化の結果

  • マップは下記の通り

  • スキルは無し

  • 時間の概念はなし。(プラント設置後、即起爆)(ターン制)

  • A-B間の移動は、ディフェンダー(アタッカー)サイド経由はなし。


黒い線は経路を表しています。

1ラウンド目、あなたはアタッカー(ジェットだと思ってください)です。AかBのどちらを攻めますか?

まぁ、どっちでもいいですよね。

殲滅でも、プラントでもいずれにせよサイトに行くのが近道です。

アタッカーサイドから動かずに相手が来るのを待つという変な選択をしてもいいですが、ここでは考えません。

そもそも、ディフェンダー(キルジョイ)にとって、相手スポーンまで詰める理由はないのです。スポーンに行っている間にサイトに入られるかもしれないし、待っていてれば確実に50%以上の期待値で勝てる。これが最大の期待値なのです。

もし、スポーンで待ち伏せして敵が来たとしてもA側とB側のどちらから来るかわからないので2択です。(ディフェンダーの勝利条件(後述)に時間切れもあることを忘れないでください。)1ショットで倒せればいいですが、ばれたら逃げられるかもしれないですね。したがって、勝利確率は50%を切るでしょう。だったら、サイトに向かったほうが良いです。確実に勝率を50%にできるのですから。
ただ、きもい選択肢とだけは言っときます。
(時間の概念が導入された場合は後述)

表を使って考えてみましょう。

表1

わざわざ表にするまでもなかったかもしれませんが、要は50%の確率で勝つし、50%の確率で負けるわけですね。
これは、実際の戦いにおいては、ラッシュに近い考え方になります。
(実際には、設置後の動きやセットアップの影響もうけますが。)

プラント設置後、即起爆の単純化を行っていましたが、プラント後アタッカーが移動(+1ターン)したとしても、アタッカー側がサイト中にいるので勝ち、変わりはないです。

さらに、もう+1ターンでアタッカー(ディフェンダー)サイド経由での動きもありだとすると、時間経過でサイト中にいるアタッカーは全方位を警戒すべきだということになり、ディフェンダー側リテイクの成功率は上がるでしょう。
(アタッカー側にとっては、サイトに3方向のどちらか来るかわからない。ディフェンダー側にとっては、サイト中のどこにいるのかわからない。正解はないですが、解除音までアタッカーは隠れておくのが一番勝率が高いかもしれないですね。)

前提と得られた知見をまとめるとこうです。

前提

  • 1VS1

  • マップは単純化

  • スキルは無し

  • ディフェンダーは先にサイト中で待っていられる

得られた知見

  • 時間の概念がない場合、ディフェンダーはサイトで待ち構え、アタッカーはサイトへ向かうことが最適解。

  • 時間の概念がある場合、プラント後は解除音がするまで隠れておいたほうがいい。

  • プラントまでは時間を使うほど、アタッカーは有利になっていく。(ディフェンダーの警戒しなければならないことが増える。)

プラントできるのに、相手スポーンや逆サイトに行くという手はあるか?

複雑なケースですが、VALORANTの本質的な部分でもあります。
例えば、ディフェンダーがBサイトに行き、アタッカーはAサイトにいる場合、プラントは通せます。今までの考え方で行けば、プラント後にサイト中で解除音がするまで待つことが最善手ということになります。

ではここで、あえてプラントをせずBサイトに向かうことを考えてみましょう。前提として、サイトで待っているほうが必ず勝つという風にしていましたが、これは暗に「来る場所がわかっているから」ということを存分に含んでいます。要は、「相手が来る場所がわかっていれば撃ち負けない」という前提ですね。

ただ、今回は違います。ディフェンダーにとっては相手がどこから来るかわかりません。時間経過で、ディフェンダーはA-Bルートと自スポーン側を警戒しなければならないことに気付くでしょう。

これはすなわち、「時間経過によるエリア取得と消滅」を意味しています。
アタッカーがプラントをせず、時間経過させるだけでサイト中で待つディフェンダーに圧を与えられるのです。
これがいわゆる「ゆっくりな攻め」が持つ最大の効果です。少人数戦だとアタッカー側が有利な理由はここにあります。

じゃあ、この時ディフェンダー側はどうするべきか?
これは難題です。分が悪い戦いであることは確かです。

ここで初めて相手の人読みや現在のランク帯を意識することが必要になってくるでしょう。安パイな選択が好きな人であれば、基本通りプラントを通してくるでしょうし、奇襲が好きな人や攻撃的な人はサイト中に狩りに来るかもしれません。
アタッカーにとってもこういう攻撃を一度見せておくことは、今後の「時間経過によるエリア取得効果」を強くすることができるので、有益です。

逆に、これを行わなければその効果は薄くなっていきます。ディフェンダーは「ああ、相手は自スポーンから来たりはしないな」となれば警戒するスポットを3つから2つに、2つから1つに。となるのです。

ランク帯によっても異なるでしょう。低ランク帯であれば、上記のようなことは考えず、ランダムな動きを見せますし、中ランク帯であれば、基本に忠実にプラントする人が多いでしょう。
高ランク帯であれば、人読みが深くなり、状況に合わせた選択をするでしょう。

逆説的には、この「読み」ができるようになることがランクを上げる秘訣だと筆者は考えています。(「読み」を意識的だろうが無意識的だろうが、瞬時に判断できなければいけませんが。)

もし自分が、高ランク帯にいるべき人間だと思うなら、それぞれのランク帯に合わせて行動を選ぶことができるはずです。たまたま、高ランク帯にいたのに落ちちゃったとか、ランクが安定しない人は読みが偶然かみ合っていただけだと捉えるべきです。

「じゃあ、この時ディフェンダー側はどうするべきか?」
に対する答えはこうです、
「(相手によって)『ケースバイケース』である。」
これが、VALORANTが難しい理由です。
これの答えを出すには、前ラウンドの情報から相手を観察し、普段の戦いからプレイヤーのセグメントを行っておくことが役に立つでしょう。

「○○な動きが強い!!」は間違いではありませんが、誤解も多いです。原則として、その動きをしてくると分かっているのであれば基本的には対策されると思っていいでしょう。
ランク帯によってはそれを擦り続ければ勝てる、なんてこともあるでしょうし、それで気持ちよくなる人が多数なこともわかります。ただ、本稿で求める「強さ」ではないです。その方法ではランクの上限が知れています。
間違っても、あなたがVALORANTがうまくなったわけではありません。ただ、情報格差を利用しただけなのです。(戦略的には正しいですよ。情報戦に勝ったということです。)
基本戦術を理解していれば、情報格差がある場合にも対応できますし、その方法を本稿では述べているつもりです。

5vs5の場合(スキルなし)

途中段階をすっ飛ばした感はありますが、そろそろ5vs5の話をしないときりがないので行ってしまいます。まぁ、たぶん大丈夫。

単純化は下記の通り

  • マップは単純化

  • スキルは無し

つまりこういうことです

キャラはスキルがないのでなんでも一緒

サイトに5人いる場合

いわゆるスタック

アタッカーが全員でBサイトに行くとどうなるか?
そりゃもう、ディフェンダーが殲滅して勝ちです。1vs1でも勝っていましたし、それが5回になっただけです。
引き返して少数の犠牲だったとしても、下図のようになってggでしょうね。
(一縷の望みは、Aサイトを3人生存でサイトを取れれば・・・ですが、期待値はかなり低そうです。)

ディフェンダー人数有利

話を戻します。
あらかじめ、Bサイトに5人いることが分かってれば、当然アタッカー側はAサイトに全員で行けばいいわけです。ただ、実際にはわかりません。じゃあどうするか?スキルなしであれば、両サイトに1人ずつ分配することが考えられそうです。

これは捨て駒というのだろうか・・・?

結果としては、こうなります。

屍を超えていく

無事にAサイトを確保できました。
あとは、ディフェンダーが来る前にAサイトに全員で行ってプラント、サイトで相手を待ち構えれば4vs5でも十分な勝率でしょう。

「ディフェンダーはこうなった場合、どのように取り返す(リテイク)すべきか?」(リテイクのタイミングは?)について考えてみましょう。

例えば、ですが、下記の2パターンのうち、どっちが良いでしょうか?

左.様々な場所からリテイク
右.一方向からのリテイク

プラント後の時間経過の影響も考慮する必要があります。
時間経過のエリア取得により、アタッカーがサイト中で耐える場合、警戒箇所はだんだんと増えていきます。(1つ→3つ)
したがって、時間はギリギリまで使ったほうがいい(セオリー)ということがわかります。

アタッカーにとって、時間がたてば3方向を警戒しないといけないので、4人のうち1人で見る場所が2か所できそうです。ディフェンダーにとってはそこを狙いたいですね。相手の弱点を突くのが戦略の基本ですから。当たり前ですが。

さらに、1方向を倒せば、ほかの方向からの進行もサポートしてあげられそうです。
したがって、上図では1,2,2にしていますが、2,3人で2方向という手もありそうです。アタッカー側にとって「サイトに1方向から5人来た場合どうするか」に対する答えは、「一度逃げる」というものもありそうですね。

逃げろ~

仮にこのように、1,1,2人の配置でサイト内でアタッカーがいる場合、ディフェンダーサイド側とアタッカーサイド側にいるアタッカーが逃げ、犠牲になるアタッカ1人が1人だけ倒せたとすると、こうなります。

サイト、獲りかえしたど~

今、時間はアタッカーの味方をしています。ディフェンダーは1人スパイク解除に向かわなければなりません。一時的にこうなるのです。

スパイク解除中

アタッカーにとっては、チャンスの瞬間です。「A-アタッカーサイド」の経路の守りが1人になっています。アタッカーがここを倒せれば、Aサイトを挟んで制圧できるやもしれません。
若干、ディフェンダー側に分があるような感じでしょうか。

話を戻します。
「様々な場所からリテイク」か「一方向からのリテイク」どちらがいいのか?
これもまた、スキルなしの場合には「ケースバイケース」ということになりそうです。相手がどこを何人で警戒しているのか?これを読むしかありません。
「スキル」があると話が少し変わってきます。(後述)

かずお理論
人数やエリアによっても変わってきますが、リテイクにおいて、サイトの出入り口の数の半分から複数名での取返しがセオリーだと考えています。
例えば4つ出入りできるサイトでは2~3方向から複数人での取り返しが理想です。

違った守り方の場合を考えてみましょう。

2,3配置

普通に考えれば、こういう守り方をするでしょうね。
ちなみに、この場合に「捨て駒作戦」(両サイドへの1人ずつ派遣)をするとこうなります。

ああ・・・

はい。絶望的な状況になりました。
捨て駒が、ディフェンダーを1人倒せれば「すごい!」、2人倒せれば、「まじかよ!」ってぐらいの低い期待値ではあります。(1vs1トレードの期待値が低い)

1vs1トレード(読み方「いちいちとれーど」とかいろいろ)
カバーキルによって1人倒されても1人倒し返すこと。
これは、5vs5では基本となる考え方です。戦略ではないミクロな戦術の分野として扱われるかと思いますが、これは戦略を成り立たせるうえで欠かせません。1vs1トレードすることは前提で戦略になっていますし、その重要性は言うまでもありません。
戦略で行えるのは1vs1トレードを行いやすくする、行わせないようにする「期待値」を上げることです。
同じ1vs1トレードといっても、難易度の低い1vs1トレードから難易度の高いものまで千差万別です。
例えば、相手が挟まれている1vs1トレードは難易度が低いですし、自分が180度フリックが必要な1vs1トレードは難易度が高いですね。

この状況が分かっているなら、全員で同じサイトに行くしかなさそうです。
仮にきれいに1vs1トレードが行われたと考えると、下図いずれかになりますね。

1vs1トレードよく頑張った!!

この後どうなるかは、先述した人数が少ない場合にはアタッカーが有利な状況です。ディフェンダーは時間を使ったリテイクが最善手ですね。

分散しているときにはラッシュが効果的です。

分散vs分散はどうなる?

アタッカーもディフェンダーも分散しているときにはどうなるでしょうか?
2,3で分かれているときはこうなります。

うーん

ディフェンダーが有利ですね。右は、ディフェンダーが勝つでしょう。左の場合は、こうなる可能性が一番高そうです。

プラントはいけるけど・・・

これでも良いほうな気がしますね。

表にまとめるとこうなります。

こう見ると、ディフェンダーは分散するほうがよさそうで、これがセオリーになりそうです。

結局どう守り、どう攻めればいいのか?

均衡的には、ディフェンダーは分散したほうが期待値が高いので、アタッカーはそれを見越して、ラッシュを仕掛けらればよさそうです。
ただ、毎回それだとさすがに手を変えてくるでしょうし、結局「ケースバイケース」ということになりますね。
すなわち、「人読み」「場合読み」です。

5vs5の場合(スキルあり)

今までの議論を少しだけ拡張したのがスキルありの場合です。スキルがあると何が変わるかというと、下記だと考えています。()内は基本的な対応エージェント

  • エリアの防衛(センチネル)

  • エリアの獲得(索敵)(イニシエーター)

  • エリアの制限(コントローラー)

  • サイトの奪取(デュエリスト)

例えば、エリアの防衛は、キルジョイのタレットが代表的です。おいておくだけでそこに敵が来ていないことがわかります。
エリアの獲得は、ソーヴァのリコンが代表的です。身体で見に行かずとも、その先の情報が得られます。
エリアの制限は、あらゆるスモークで説明できます。スモークがあることで、射線を切り、確保したいエリアを制約できます。
サイトの奪取は、ジェットが代表的です。クラウドバーストとブリンクを使うことで、ディフェンダーが注意しなければならない射線を増やし、サイト確保をしやすくします。

そのため、センチネルがエリア獲得できれば最強ですし、イニシエーターがサイト奪取できれば最強です。(一長一短があるということです。)

イニシエーターは2種類あると個人的には考えています。ソーヴァとブリーチに代表されますが、ソーヴァは順当な情報獲得/索敵です。一方でブリーチは同じイニシエーターでありながら、索敵スキルはありません。エントリーの助けなど、戦いの助けになるものです。ブリーチが唯一無二で強い理由です。KAY/Oはなんでもできちゃいますけど!!!

スキルトレード
相手のスキルに対してスキルを返すこと。
例えば、ソーヴァのドローンが来たら、こちらもドローンを出して対抗すること。これは、エリアの取り合いを行っています。1vs1トレードより優先度は下がりますが、とても重要な概念です。

もう一度、さっき考えた5vs5の場合を見返します。

ディフェンダー側がスタックをしている場合です。
この時、スキルなしだと「捨て駒作戦」が良いだろうなりました。ただし、今回はスキルがあります。
(絵はジェットだけですが、ソーヴァ等色々いると思ってください。)

もうお気づきでしょうか?スキルがあることで、捨て駒をする必要はなくなったのです。ソーヴァのリコンやスカイのトレイルブレイザーでサイト中の情報を確保することで、行くべきサイトを見極められるのです。
もちろん、ディフェンダーもそのことは織り込み済みなので、スタックする際には人数がばれないよう最低限のスキルトレードや人数バレを防がなければいけません。

両サイドにスキルをちりばめ、サイト中の情報を得ることがアタッカーの至上命題になります。

この時重要となるエージェントは言うまでもなく、イニシエーターで、どこにどうスキルを使うのか、これによって勝率を大きく左右するでしょう。
コントローラーも相手に情報を取らせないようにスモークを使う必要があります。
サイトに入るときにはもちろんですが、それ以外の使い方も重要ですね。センチネルはエリアを確保し続けることは重要ですが、それだけだとアタッカーへの貢献にはつながりにくいです。(均衡状態を生み出すだけ、攻めの手には繋がらない。)

個人的なおすすめは積極的にエリア取得に動くこと。リスクは裏警戒がしにくくなることですが、それ以上にリターンのエリア確保が大きいです。1ピック取れれば万々歳です。
(もちろん、倒されないほうがいいことは言うまでもありません。)

デュエリストは攻撃サイトの最終決定者としての役割ですが、他エージェントもエントリーできないわけじゃないので、柔軟に対応すべきです。(デュエリストの釣り効果が高い。)

スキルの使いどころ

どこでスキルを使うのか?これが非常に重要です。例えば、ソーヴァのリコンをどこに使うのかでだいぶ違います。選択肢としては、「サイトへのエントリー時にデュエリストのサポート」「行くかどうかを見極めるためのサイトへのリコン」「サイトへ至る途中に敵がいないかのリコン(Aメインリコンなど)」「相手がサイトに入ってこれないようにするリコン」などさまざまです。

先述しましたが、「このリコンが強い!」からといってそればっかり使っても大したことないのです。使うべき局面において最適なリコンを選択することが重要です。交戦ポイントにキルに繋がるスキルを最優先に、その次にエリア確保のためにスキルを使うというイメージが良いでしょう。

一番やってはいけないことは、開幕に何も考えずにスキルを使うだったり、毎回同じものを使い続けるのは良くないです。「強く」なりたいのであれば、状況に応じたスキルを使う必要がありますし、それがVALORANTの醍醐味であり難しい点です。

一般的にラッシュの難易度は先述したスキルなしの場合より若干上がります。なぜなら、キルジョイのナノスワームなどスキルで止めやすいためです。足止めを食らえば食らうほど、逆のサイトから敵は寄ってきますし、裏から敵が来る可能性も上がります。ラッシュをすると決めたら突っ切る、これにつきます。折り返そうと思ってもエリア有利は圧倒的に相手にありますからね。サイト中に4,5人いるとかでない限り突っ切るべきです。

したがって、攻め方としては、スキルトレードをしてエリアの情報を取り、攻めるサイトを決定し、エントリーからプラント、プラント後には防衛という常識につながります。

これまで見てきたように、「スキルトレード」と一口に言っても多種多様ですし、場面によって正解は変わります。「エリアの情報を取る」といっても、時間やスキル量でエリアの価値が変わります。
エリアに全精力を割いたからと言ってプラントやキルにつながらなければ意味はありません。試合を有利に運ぶためのエリアなのです。

攻めるサイトも相手の情報が完璧に手に入った状態で攻められることは滅多にないでしょう。1vs1トレードを成立させ、間違った判断であろうが最後までやり抜く。これが勝率を上げる唯一の方法です。中途半端は何にもつながりません。

プラント後には上記の議論を踏まえ、解除音が鳴るまで待つのがセオリーですが、スキルにより必ずしも隠れていれば良いというわけではないこともご理解いただけるでしょう。(コントローラのスモークやコズミックディバイドなど)
今回はあまり言及していませんが、相手のULT状況を見ることは相手の戦略を読む「人読み」「場面読み」につながるためとても重要です。

VALORANTに絶対の正解は当然ないのです。

奇襲

ここまでくれば、奇襲の価値もご理解いただけるのではないでしょうか?セオリー通りに来る敵に対しての対応は一番読みやすいものです。
読ませないために、味変や奇襲をすることで相手が考えなければならない選択肢を増やすことが奇襲の果たす一番の役割です。

メタとは

メタとは、上記の読み合いが高度に行われた結果です。「こういう攻め方が多い」に対して「こういう守り方なら通らない」といったようになり、「だったら、こういう攻め方をする」という風に無限に続いていきます。
流行と捉えてよいでしょう。メタがなぜ存在しているかを理解することは、「強く」なることに役立つでしょう。

相手のスキルに太刀打ちできないとき

相手が使ってくるスキルに対してのカウンターがわからないときがあります。そんな時にどうすればいいかを考えてみましょう。もちろん、プロを目指すのであれば知識はあればあるほど良いでしょう。ですが、一般のプレイヤーはなかなかそうはいきませんし、知識も無限です。
元祖プロゲーマーのウメハラですらいろいろ知らないのですから。

じゃあ、出くわしたときにどうするか?
戦略論的には「真っ向から戦わない」というのが答えです。「答えになっていないじゃないか」だって?いいえ、そんなことはありません。基本的に一か所に秀でて強いものは、同時に弱点も兼ね備えています。
それに、そこまで強いものであれば、すぐに全員が知り、対処法も知れ渡ると思います。

例えば、1wayスモークは非常に強力ですが、それゆえに使うためには時間がかかったり、エリアのために使えるスモークが減ったりします。要はスモークが切れるまで生存し、全員で取り返す、エリアを広げる、などほかの選択肢を取って戦うということです。

言いたいのは、ここでむきになって正面から勝負しても負けるだけだということです。期待値を40%でもいいから上げにいくということです。正面から向かえば10%とかよりはいいですよね。

分からなければ真っ向から戦わない。これが答えです。

フィジカル

フィジカルは、すべてにおいて最強です。上記で議論した戦略をすべて破棄できます。圧倒的なフィジカルは圧倒的な勝率につながります。
ランクを上げたいだけなら、フィジカルを鍛えましょう。
ゲームをより楽しみたいなら、戦略を考えてみるのはどうでしょうか。

百豪の術みたいなもんです。
”忍法創造再生百豪の術を極めし医療忍者のみ上記の掟を破棄できる!”

NARUTOより

価値のあるキル

今回はあまり言及できないですが、「価値のあるキル」と「価値の薄いキル」は存在します。
サイトに入るときにサイト中の敵を倒すことは価値が高いし、ファーストブラッドも人数有利を生むために価値が高い。1vs5の局面でのキルは基本的には価値が低い。逆に1vs5を作り出したキルは価値が高い。基本的には人数イーブンの時のキルは価値が高い傾向にありそうです。
また、キルにつながりやすいスキルもあるし、味方へのサポートに特化したスキルもある。

K/Dやスタッツがすべてではないことは書き記しておきたいですね。

最も大事なこと

最後に明日からできる、大事なことをもう一度。

1vs1トレード(キルトレード)

  • 1vs1トレードを成立させる状況を作る。

  • 1vs1トレードの成功率を上げる。

  • 1vs1トレードを死んでもとる意識を常に持つ。

スキルトレード

  • 何のためにスキルを使うのか考える

  • そのスキルは意味がありますか?

  • スキルよりも撃ち合いは優先される。

読み合い

  • 相手は人間である。

  • セオリーだけに囚われるな

  • 自チームの強みと相手チームの弱みを利用すべし

  • ULT状況を見よ

  • 奇襲も戦略のうち

おまけ

一緒にVALORANTをする人お待ちしてます!
Premierに参加するようなチームも持ってるので良ければぜひ!!

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