厚生年金基金の保険料納付額について


ねんきんネットに載っている数字って?

全国民に対して年に一回は、年金の積立額が送られてくる。その中にある”これまでの保険料納付額”という数字に多くの人が興味を持つはずである。会社員にとっては、ここの数字は給料から天引きされた厚生年金基金という数字の過去の合計と一致しており、自分が将来の年金に対してつみたてた数字になっている。つまり、将来の自分のつみたて金額に応じて将来の年金が支給されることになっているからである。

企業の負担分の数字は?

しかし、よく見てほしい。”これまでの保険料納付額”という項目では、”被保険者負担分のみを計算しています”との文言がある。つまり、会社の負担分がこちらには記述されていないのだ。つまり、多くの人は自分の負担分だけを考えて、将来もらえる金額を想定する。
例えば、40年かけて2000万円納付し、将来年間で250万円もらえると仮定すると、8年で回収できる。つまり、65歳から受給した場合には73歳以上生き残れば余裕で回収できるはず。現在の老人はみんな元気だから余裕で73まで生きれるはず。あー、厚生年金って素晴らしいなー、なんて考えては行けない。
個人で2000万円を払っていたら、企業も2000万円を払っている。それは本来我々がもらうべき給料に追加で支給されて、かつ厚生年金に支払っているはずなのだ。そのため、エコノミー的にはどちらでも構わない。ただし、自分たちが支払っている負担感は今の方が減ると思われる。
そのため、我々は4000万円を厚生年金として支払っているのだ。だから、上記の計算であれば、16年以上生きなければ回収できない計算になる。65歳から支給されて16年生きる場合は81歳だ。それ以上生きると得することになる。そうなると、当初の8年生きればいいやと思っていたお得感はなくなるだろう。
ただ、現在の平均寿命を考えてみても、十分にオトクな制度だと思うが。

実際の数字で計算をすると?

以下のリンクによると、平均標準報酬月額30万円の場合、年金受給額は157万円になる。一方で、厚生年金の保険料の総額は1317万円になる。https://money-bu-jpx.com/news/article036830/

ただし、上記の通り会社の負担分を考えると2634万円の保険料を納付している(上記リンクではその記述はなし)。その場合、16.7年以上もらい続ければ払い損にならない。

結局どう考えるのか?

現在の厚生年金は40年かけてつみたてた保険料を、16年を損益分岐点として支給していることになる。つまり、年金の受給をしてから16年に達せずに死んでしまった場合には受給者の損、それ以上長生きすれば受給者の得になる契約だ。
受給者が得になった場合には、国が負担することになる。つまり、一般会計から支給してもらうか、若い人からの保険料の徴収額を増やすか、GPIFの運用益から負担してもらうしかない。ただし、これだけ長くのつみたてをして、きちんと運用をしていたら元金はもっと増えるはず。なのに、年金の危機と言っているのはどうしてなのか?。これについては、もう少し考えてみたい。



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