『サピエンス全史』の認知革命による共存について


現実と虚像

人間は、現実と虚構がうまく合わさって生きている。
「虚構が大事なのは、そのお陰で協力できるから。人がお金や会社の勝ちや存在を信じなかったら、国際的な貿易ネットワークは崩壊する」とのこと。確かに自分たちの食卓に届く食事は、誰か知らない人が作った原材料を、どこかの知らない人が調理をして、誰か知らない人がお店まで運んで、家族が買っているから届くのだ。これは、虚構による貿易ネットワークが機能しているからだ。

「国家の価値や存在を信じていなかったら、誰も税金を収めないし、全国的な教育や医療制度も成立しない」のも事実だろう。自分が徴収された税金は、誰かの役にたっているに違いないし、いつかは自分もそのサービスを受けられると信じているから納税するのだ。

虚構はただの道具

ただし、「虚構はただの道具であり、人が使って便利なように考え出されたもの。そのため、道具の奴隷になってはいけない。それを忘れて会社の利益とか国の威信のために戦争を始めるは、とんでもないこと」になる。

協力しあえる道具として発展してきた「虚構」は、互いに納得のいくものでなくてはならない。だから、納得のいかない「虚構」を、それぞれ強くぶつかったときには、戦争になってしまうとのことだ。

確かに異なる宗教の人は、共存するのは難しいかもしれないし、戦争をするのは異なる考えを持つ国が中心なきがする。これを戦争の道具やきっかけにしては行けないのは納得が行く。

認知革命のお陰で行動を短期間に修正できる

「短期間に行動を修正してニーズの変化に合わせられる様になった。その御蔭で文化的進化は、遺伝的進化よりも高速に進むことができる」。そのため「行動をパット切り替えることができて、遺伝子や環境の変化がなくても次の世代に新しい行動を伝えることができるようになった」のだ。

「エリートたちは自ら繁殖を放棄しているが、これは遺伝を伝えるかわりに自分の虚構や物語を伝えることができるから」らしい。そのため、これに拠ると虚構や物語を伝えるエリートと、遺伝子を伝える人たちがいて、共存しているのが、ホモ・サピエンスなのだ。

ホモ・サピエンスと他の動物は大きく異なっている

どうだろうか?。ここまで読んで我々ホモ・サピエンスは大きく他の動物と異なっていることがわかるだろう。そのために、他の動物とは異なる考えを持っているのもうなずける。
昔は、どうして人間は犬とか猫とかみたいに、満足して生きていけないのだろうと思ったことがある。犬は、いつも全力で動いているし、満足げだ。猫も猫でお腹が膨れれば、そのまま寝てしまい、満足そうな生活をしている。人間だけが、勉強だの運動だの、厄介な人間関係を構築しなくては行けないだの面倒くさいことをしなくてはいけない。これは虚構革命のためなのだ。でも、そのおかげで信頼ネットワークを構築することができ、家にいながら遠くの人が作ってくれた食べ物を安心して食べることができるようになったのだ。

サピエンス全史は読むたびに、自分の考えを更新してくれる素晴らしい読み物。皆様も是非読んでみてください。


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