記憶

記憶は身体にゆっくりと染み込んでいく。染み込んだ記憶が心まで届くと、忘れ難い心の記憶となる。

身体に染み込んだ記憶は、ゆっくりと乾いていく。全て乾ききった時、もはやその記憶はどこにも存在しないように忘れられる。まるで心の記憶からも消え去ったかのように。

消え去ったはずの記憶は、些細なきっかけで瞬時に心の中に鮮明さを取り戻す。それが美しいものであっても、辛く苦しいものであっても。

戻ってきた心の記憶に向き合うことが、優しさを取り戻すこともあるだろう。耐え難い痛みを引き起こすこともあるだろう。

その時あなたは何を思うのだろうか。
その時わたしは何を思うのだろうか。


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