雑踏の足。その動きだけを見つめていると、僕には足の持ち主が冷淡な人物であるかのように映る。ピカピカの革靴、目をさすような色彩のスニーカー、サンダル。実際にはそうでなくとも。それはたぶん、意思を持って特定の方向へと突き進む、その顕現する意思こそが冷淡に見えるからなのでは、と思う。ならばその足をどうおだやかに見せよう。ふと頭に浮かんだ。これはとても難しい問題である。映画を作る僕のような人種からすると、自分の思い通りにいかなければこんな風にいつもすぐ解決法を見出そうとしてしまうのだ