あれってなんだったの? 山下達郎④
【★節Bの解釈と感想】
さてその次の★節Bですが、ここらへんから山下発言の「ヘン」が始まります。とても不思議な文脈が始まる。
まずこの★節Bは、ジャニー喜多川に対する山下の感想から始まります。
「中学生だった1960年代に初代ジャニーズの楽曲と出会って、ジャニー喜多川さんという存在を知」ったのが山下本人で、
「何年か後に初代ジャニーズの海外レコーディング作品を聞いて、私はとても感動し」たと。
もちろん、これもまた状況説明ですので、「へえ、山下と喜多川の間にはそういう経緯があったんだな」というそれだけです。「そういう関係が過去にあり、そういう感想が山下にはあったんだな」と。
なので★節Aと同じように、それらが事実かどうかも分からないまま「まあこれはこれで事実と認めておくべきなんだろう」としか思えませんが、だとしても、です。
松尾言及、契約解消騒動から始まった今回の話題に、この「山下と喜多川の関係、その経緯。山下なりの感想」て必要でしょうか?
しかもその内容は、今回俎上に上がっている、喜多川の性的な問題とはまったく関係ない内容です。
「何年か後に初代ジャニーズの海外レコーディング作品を聞いて、私はとても感動して、この『サンデー・ソングブック』でも特集したことがあります。」
これって、BBCが配信し、松尾が問題視し言及した話題と、まったく関係ないですよね?
「1970年代の末に、私の音楽を偶然に聞いたジャニーさんに褒めていただいて、そのご縁で、数年後に私のビジネスパートナーが近藤真彦さんのディレクターとなったことから、「ハイティーン・ブギ」という作品が生まれました。その後もジャニーズに楽曲を提供する中で、多くの優れた才能と出会い、私自身も作品の幅を大きく広げることのでき、成長させていただきました」
「たくさんのジャニーズのライブに接することができたおかげで、KinKi Kidsとの出会いがあって、そこから「硝子の少年」という作品を書くことができて、昨年の「Amazing Love」まで、彼らとの絆はずっと続いております」
これも。俎上にあるはずの喜多川の性問題とはまったく関係ない。
いったいぜんたい、山下は何を話そうとしているのでしょう?
*
この★節Bで述べられているのは、喜多川に対する山下の尊敬と感謝です。その尊敬と感謝に念を押す具体的なエピソードですね。
つまり音楽マネージャー、プロデューサー、ディレクターとして、喜多川を山下は尊敬してきた。ある縁から自分も関わることになったが、喜多川の事務所のタレントたちとの仕事は自分にとって、非常に有意義なものであったと。具体例を示しながら(初代ジャニーズ、近藤真彦、KinKi Kids等)語っているのがここでの山下です。
まあそれはそうなのかも知れませんが、でもこの文脈は、今回の話題とはまったく関係ありません。あるいは少なくとも、まったく関係ないと思われているものだし、そう思われても仕方ないものです。
なぜ山下はこんなことを話すのでしょう?
論点をずらして煙に巻こうとしているのでしょうか。そうかも知れません。
仮に喜多川に性的な問題があったとしても、別の面では良いところもあったと、擁護しようとしているのでしょうか。それもありえます。
あるいは、そもそも喜多川の性的な問題などを話題にすることじたいがおかしいと、遠回しに言っているのでしょうか。そうも受けとめられる文になっていますが、これは違いますね。「性加害は許しがたいこと」「擁護するつもりはない」と山下は言っているからです(★節A、★節B)。
だとしても、やはり言うべきことを言わずにいる「言い逃れ」感は十分に感じられる飛躍が、この★節Bにはあります。
BBCが提起し、松尾が言及し、騒動になっている今現在の議題に対そうとせず、不思議な文脈に飛び始めたのが、この★節Bの山下です。
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