企業研究 vol.2〜P&G〜

①概要
泣く子も黙る消費財メーカー世界最大手。 企業名を冠したブランドが無いので何の会社か知らない人もいるが、パンパース、アリエール、レノア、ウィスパー、ブラウン、ジレット、パンテーン、ファブリーズ、ジョイ、SK-II等、P&Gの製品を1つも使っていない人はほぼいないんじゃないかと思う程我々の生活に密接に関わっている。
AGラフリー退任後、リーマンショックも影響して一時経営は低迷したが、彼の復帰後の大リストラを経て近年は安定して利益率18%前後で推移。売上高も過去最高に迫る820億ドル(約13兆円)に到達。今後も安定成長が見込まれる。


②過去5年間の業績推移


2019年はGilletteののれん償却で12.1%p利益率が落ちているが、基本的に安定して18%前後の高い純利益率を出している。売上高も1桁台半ばの成長率を維持していて、景気にあまり左右されない消費財メーカーらしく安定した業績。
但し、日本の消費財メーカー最大手の花王(※厳密にはコングロマリットだが売上高の約8割が消費財)の純利益率が10%を超えたのは過去10年で1度だけ、業界世界2位のUnileverも11%前後で推移していることを考えるとその凄さが良く分かる。

③直近5年間の株価推移

株価は良くも悪くも安定している。P&G規模の会社になると新製品が爆発的に売れたところで会社全体の業績に及ぼす影響は軽微になりがちなので、良くも悪くも高いリターンは期待できない投資先。PERもS&P500の平均に近い約27%とそれを反映している。

④強さの秘密

イノベーションの余地がさほど残されていなさそうな日用品で、これだけの高い利益率を維持できるのはなぜなのか?

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