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強敵から学ぶマインドセット

公式戦当日。どうやら監督が落ち着かない様子だった。今日の試合で負けてしまうと、自力で決勝トーナメントに残ることができない、ということは聞かされていたので、私はそのことかと思っていたが、実は他にも理由があったようだ。
それは、相手のピッチャーがサウスポー(いわゆる左利き)で、2年生の時から6年生の試合でも投げる、そんな好投手だということで、それまでの練習でいろんな対策をしながらも、その投手にどう食い下がるのか、ということに憂慮していたのだ。

選手もなんだか不安そうな顔で浮足立っている。できれば、やりたくないようで、違う投手の方がいい、と口に出す選手もいた。
結論からいうと、試合では違う投手が先発した。右投手で球速はある。ただ、コントロールにばらつきがあり、試合は拮抗した。そして、2点リードを許しての最終回で、3人目の投手として、そのサウスポーの彼がマウンドに上がった。

確かに、4年生とは思えないようなコントロールと球速でコーナーにビタビタに決まる。球速自体はむしろ、先発投手や2番目の投手の方があったかもしれない。それでも、彼がマウンドに上がると、選手たちは顔面蒼白となってしまい、明らかに顔に「不安」という文字が書いてあった。

この瞬間、「なるほど。選手たちのマインドが硬直マインドセットになってるな」と感じた。つまり、うちのチームの子どもたちは、自分が有能だと思われたいので、できれば新しいチャレンジはしたくないと思っていて、他人の成功を脅威に感じてしまう。

このマインドを、しなやかマインドセットにすることができれば、またチームの雰囲気も変えることができ、子どもたちの将来にもいい影響を与えることができると確信した。つまり、ひたすら向上し続けたいと思っていて、新しいチャレンジにも積極的に挑戦し、壁にぶつかっても耐える。そして、他人の成功から学びや気付きを得ることができる、そんなマインドセットだ。

実際、うちのチームの練習は、私から見ても、子どもにとって厳しい練習だと感じた。そんな厳しい練習をせっかくしているのだから、こんな好投手と対戦するときに、「ようやく練習の成果を発揮できるときだ」と思う選手がいるかと思ったが、普段元気なキャプテンですら、暗い顔になったのは先述の通りだ。

これは、このマインドセットの改革こそが、真っ先に取り組むべきチームの課題であり、そこさえできれば、技術的なことは付いてくると個人的に確信した。

以前、徳川家康が武田信玄に大敗したお話をした。その家康をモデリングして、「悔しさを力に変える」考え方と行動をご紹介した。具体的には、野球ノートをおススメしたが、次回は、家康のもう一つのモデリングとして、ライバルから学ぶ、ということについてお話ししていく。
家康についての以前の記事はこちら↓


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