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強みにフォーカスせよ

不得意なことの改善にあまり時間を使ってはならない。
自らの強みに集中すべきである。
無能を並みの水準にするには、一流を超一流にするよりも
はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする

ピーター・F・ドラッカー

これは、マネジメントの父と言われる、ピーター・ドラッカーの飛躍的な結果を生み出す一言である。ご存知の通り、野球というのは失敗のスポーツである。人間なので、エラーも起きるし、ヒットよりも圧倒的に凡打のほうが多い。そこで今回は、自分の強みにフォーカスする思考法についてお話ししていく。

野球というスポーツは役割が広く奥深い。投げる、打つ、走る、守るというジャンルがあり、守備主導で始まる珍しいスポーツである。打順についても、全員が4番バッターを集めたから強いというわけではなく、「打線」と言われるように、それぞれの役割を全うすることで、線となり、チャンスを広げることができる。

つまり、部分最適の最大化ではなく、全体最適を見ていくスポーツとなるわけだが、ここで言いたいのは、こんな難しいことではなく、それぞれの役割があるので、どんなタイプの選手でも活躍できるチャンスがあるということだ。パワーがある人、ない人、足が速い人、遅い人、投げるのが速い人、遅い人、太っている人、痩せている人、などどこにでも適切なポジションがみつかる。

たとえば、ジャイアンツで活躍されていた鈴木尚広選手は、「代走のスペシャリスト」として、その地位を確立し、代走での通算盗塁数の日本記録保持者となっている。
また、ジャイアンツでコーチを務める川相昌弘さんも、現役時代、守備の名手として、ゴールデングラブ賞を6回も受賞している。未だに、プロの守備の名手たちが、「川相さんの守備が一番上手い」といわしめるほど、その守備力というのには定評がある。
そして、川相さんには、もう一つすごい記録がある。犠牲バントが通算533本で世界記録となっていることだ。

ここからである。実は川相さんは、高校時代エースで4番を打っている。つまり、普通にバッターとしてもホームランが打てる選手であった。
ただし、当時ジャイアンツにはホームランバッターが多く、ホームランで競っても、自分の独自性が発揮できる機会が減ってしまうと考えた川相さんは、自分のポジションを獲得するため試行錯誤を繰り返し、行き着いた答えが、得意の守備を徹底的に磨き上げることと、誰にも負けないバントの技術を身に付け、ホームランバッターでなく、つなぎ役に徹することで、ジャイアンツの2番打者という確固たる地位を確立したのであった。

ちなみにこれは余談だが、川相さんのバントは、誰しもバントだと分かっている状況でさえ、送りバントを決めてしまうほどの技術で、当時のジャイアンツの監督の長嶋監督が、審判にバントのジェスチャーをしながら、「代打川相」と言っていた。(つまり、サインがバントだよ、と相手にわかってしまっていたが、それでも決めてしまうくらいバントが上手かった)

あなたは、自分の強みを知っているだろうか。そもそも自分の強みを見つけようとしたことがあるだろうか。
私たちは、どうしても自分の「弱み」に意識を向けすぎる傾向がある。
そこで、是非意識してみよう。
自分の弱みをカバーすることに一生懸命になって、平均点を取ることを目指すのか、それとも自分の強みに磨きをかけ、オリジナリティを確立するのか。時間という資源は有限である。その限りある中で、自分ができることをもう一度考えてみよう。


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