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「ビジネススタンス」とは果たして何なのか?そして、ビジネススタンスが高いことは良いことなのか?という話

とある学生との出会い

私は、Matcherというサービスを使って、学生の就活相談に乗っています。

そこでとある学生に会ったのですが、その学生が「とても魅力的だな!」と感じる学生でした。
何が魅力的なのかなと考える中で「これがビジネススタンスが高いということなのか」と感じた話です。

ビジネススタンスが高いとはどういうことなのか?

ビジネススタンスという言葉は、若手に対する評価として「彼・彼女はビジネススタンスができている」とか「彼・彼女は残念だがビジネススタンスが低い」とか使われたりします。
私は、そういったのを聞くと「ふんふん」くらいでこれまでは流してきたなと思います。
なんとなく、ビジネススタンスが低い人は、途中で投げ出すやり切らないあきらめる他責といった人に対して言うイメージです。
逆に、ビジネススタンスが高いは(まぁ、なんか真面目でしっかりしているんだろう)くらいな感じでとらえていました。

Matcherで話したその子の印象は、まだまだ粗削りで、思慮深さは感じられず、自分の発言・意見に対して自信が持てていないためか3S(シンプル、ショート、ストレート)なコミュニケーションではなく、頑張って聞いてあげないと理解しづらい、そんな感じでした。
また、事前のチャットでのやりとりもすごく無理して、非常に固いビジネスメール風でかなりの違和感を感じていました。
(このあたりは知らないだけだと思いますが)

ただ、
・言語化はできていないが、なぜか仕事とは真剣に・本気で取り組むべきものと心から思っている
学生時代に、部活やサークルで、理由はわからないけど、他の人に真剣に取り組もうとする人っていましたよね。
・周りからの承認よりも自分の納得感が上位、なので周りからストイックだねと言われても自分ではまだまだだと思ってしまう
だからこそ、成長意欲も高く、できていない自分の振り返りをして改善点を考えられる。
というのがすごく伝わってきて、この子のような人が、いわゆるビジネススタンスが高い人なのかなと思いました。

そして、自分も同じようなタイプだから、ビジネススタンス高いのかな?と。

私は元来が負けず嫌いで、やる以上はなんでも勝ちたいタイプです。
仕事でも、やる以上は、誰よりもうまくやりたいし、成果を出したいと自然と意識せずとも思います。
そして、周りからどんなに「すごいね」と言われても、自分の中ではまだまだできるはず、私よりあの人のほうがすごい、といった高い理想があるので、納得できない。

そういう人が、ビジネススタンスが高い人なのかなと思いました。

ビジネススタンスが高い人は優れているのか?

ただ、私の経験的に、こういうタイプが優れているかというとそうでもない気がします。

こういうタイプは、得てして、理想が高いために、そこに到達できない無力感に常にさいなまされて、精神的に浮き沈みがあったり、無理をして身体や精神に問題が生じてしまうタイプでもあると思います。

ビジネススタンスが高い人に必要なもの

私もそういうタイプなので偉そうなことは言えませんが、このタイプに必要なものは自己承認だと思います。
ただし、自分はまだまだだと思ってしまうタイプなので、簡単には自己承認しませんし、できません。
必要なのは、客観的な軸を提示しての自己承認だと思います。

私自身のエピソードを1つ。
私は、30歳前後の頃は、社会的な評価の尺度として「給料」を仕事をする上で重要なものに掲げていました。
これは、お金持ちになりたいとかではなく、私は中高と進学校の落ちこぼれをしていたのですが、その頃の同級生は医者を目指す子が多く、30歳前後ともなれば、医者として活躍している人もいるように聞いていました。
かたや私は、新卒で入った会社が3年でなくなり、その後、合併先の会社で2年半無気力に働き、28歳目前で現在の会社に入社してきました。
中高の落ちこぼれ状態と30歳になった今でもなんら変わらないことに危機感を覚え、医者という社会的な価値になんとか近づくためにも、給料を上げよう、そのために成果を出そうと強く思って仕事をしていました。
特に、いくらが目標というのもなく、ただがむしゃらに働いていました。

立ち上げた新規事業で成果を出し、評価され、高いお給料もいただけるようになったある日、同僚と私の給料の話になり、その時に同僚がネットで調べて「KZさんの年齢でその金額をもらっている人は日本で●%ですね」と私に言いました。

それが自分にとってはかなり大きなターニングポイントでした。
同僚にそう言われたことではなく、その「●%」ということに対して、初めて(あっ、自分って結構すごいのかも)と自己承認できた瞬間でした。
マズローの欲求5段階説でいう承認→自己実現に段階が変わったタイミングであったかもしれません。
それ以降、自分自身に自信が持てるようになり、自己実現に向けて、広い視野で仕事に向き合えるようになりましたし、自分自身の人生のミッションも作りました。

以上は、人生のターニングポイント的なマクロレベルでの自己承認の話でしたが、もっとミクロレベルでの自己承認もあると思います。

例えば、予算達成に強くこだわる人もこういうタイプの人かなと思います。
予算に満たないと「自分なんてダメだ」と思ってしまうので、自己承認のために予算達成を目指す。
予算が達成できたら「うん、まぁまぁ悪くないかな」とほっと心をなでおろす。
そんな感じだと思うので、周りからすると何であんなに数字にこだわるんだろうと思うかもしれませんが、本人としては達成できなかった時にすごく落ち込んでしまうからでしょうね。

私は、マーケティング、事業責任者、経営者といったキャリアで進んできていますので、ずっと数字(予算)がついて回り、それが達成できたら、ほっと一息つくそんな感じの日々だったかなと思います。
ただ、新規事業の時は、予算達成できていても、赤字の間は危機感がずっとありました。
利益が出始め、安定し、累積赤字が解消したときに、やっと「それなりに頑張れたかな、よかったかな」と思えました。

ただ、私がそういった数字で判断できるキャリアだったことは比較的、恵まれていたかもしれません。
こういうタイプの人が、デザイナーやエンジニアのような直接数字で評価されることのない職能だった場合、なかなか自己承認する機会が得られず、もっと大変なのかなと、思います。

そういうタイプの人をマネジメントする立場の人に向けた勝手なアドバイスですが、こういうタイプの人は、どれだけ「すごいね!」「よく頑張っているね!」と言っても、「いえ、自分はまだまだですから」と一切届いておりません。
むしろ、気を使わせてすいません、とすら思っているかもしれません。

そのため、そういう人には「●●ができてすごいね」「●●という結果になってすごいね」と内容、成果物、スキル、数字、比較対象などをベースにできるだけ具体的にフィードバックしてあげてください。

もちろん、何がその人の琴線に触れるかはわかりませんが、もし、「あっ、もしかしたら、自分ってすごいのかも…」と本人が思えるようなフィードバックができれば、きっとその人のモチベーションも上がり、次にむけて新たな一歩が踏み出せると思います。
そんなフィードバックをしてあげて欲しいなと、同タイプな人間として思います。

自己効力感の構成要素

ちなみに、これは自己効力感を高めるための要素の1つである言語的説得です。

自己効力感の構成要素(A.バンデューラ)自己効力感を持つためには、次の4つの要素が必要
 制御体験:自分自身が何かを達成したり、成功したりした経験
 代理体験:他社が何かを達成したり、成功するのを観察すること
 言語的説得:自分に能力があると言語的に説明されること(言語的な励まし)
 生理的状態:良好な生理状態(更には気分の高揚)


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