なぜ剥製をアクセサリーにするのか
まず、最初に。
ここでは「アート作品」「生物標本」と比較しながら私の作品のコンセプトについて説明しています。
アートや標本を否定する意図はありません。
その点を、お断りしておきます。
「魔界ノ風鷹」では剥製アクセサリーを中心に製作しています。
私が作りたいものは、アート作品ではありません。
標本でもありません。
「普通の人が手に取れる価格で、なんらかの機能をもつもの」を意識して製作活動を続けています。
私の作品は、商品・機能品というようなカテゴリーになるかと思います。
そのあたりについて誤解を受けることがありますので、説明していきます。
私は昔からアート・芸術という言葉がとても苦手でした。
自分で「アーティスト」と名乗ったこともありません。
実は「作家」という肩書も居心地が悪いのですが、「ものを作る人」には違いないので妥協して「作家」を名乗っています。
「アートとは何か?」という問いには百人百様の答えがあって、非常に難しいのですが、「芸術のための芸術」ファインアートというようなものを想定しています。
例えば、作家が自分だけの世界観を表現するために、多大な時間・労力・費用をかけて作り上げるような作品のことです。
そういうものは、ひとにぎりの天才だけがやればいいことだと思います。
また、私は生物標本を作っているつもりもありません。
子供のころから生物標本は大好きで、自分でも透明標本や骨格標本等いろいろ持っています。
そうした好みは、私の現在の製作活動に大きな影響を与えていると思います。
ただ、自分できちんとした標本を作るということにはあまり興味がありません。
学術的な資料としての正確さを追求するよりも、生物の造形の魅力に、私は関心があります。
また、ただ部屋に置いておく以外に使い道のないものより、なんらかの機能を持ったものを作りたいと思っています。
剥製アクセサリーはお勉強のためのものではないですが、購入した方が生物への興味を深めるきっかけになれば良いなと思います。
これらは単純に私の好みの問題です。アートや生物標本を否定するものではありません。
私は、一般社会で生活する人が気軽に手に取って楽しめるものを作りたいと思っています。
「アート」ではなく「商品」ということになります。
(じゃあなぜ、剥製なんて一般受けしない素材を使うの?という疑問も出るでしょうが、私の好みとしか言えないですね。このへん詳しく説明するとすごく長くなるので、またの機会に)
そこで重要になるのは価格です。
私は、お客さまが満足できて、かつ適正な利益を出せる価格をどのように実現するかを常に考えながら製作しています。
ものを売る以上は当たり前のことなのですが、日本人の性質なのか、あまりお金のことはおおっぴらに言いにくい雰囲気もありますね。
「魔界ノ風鷹」の定番商品となっているけものアクセや翼イヤーフックは、同時進行で量産できるように、製作の工程を細かく分けて工夫しています。
価格が高くなりすぎないように抑えて、なおかつクオリティも維持するというのはなかなか難しく、試行錯誤の日々です。
私自身のセンスや技術もまだまだ未熟な点が多々あると思いますが、「商品」としてきちんとしたものを作りたいと考えています。
また、「剥製アクセサリー」と銘打っているように、私の作品の多くは身に着けることを想定しています。
アクセ以外にも、ボールペンやメモスタンド等の実用的な「機能」を持たせたものを製作しています(一部例外もあります)。
これも、アート作品や標本のように、ただ置いておくだけのものでなく、生活の中で実用性をもたせたいとの思いがあるためです。
ただ、日常的には使いづらいデザインのものが多いので、実際には部屋のインテリアのような扱いで使われている方も多いです。
また、私が想定した使い方にとどまらず、お客さまが自由な発想で使ってくれるのもとても嬉しいです。そういう体験を得るのは、生物標本ではなかなか難しいと思います。
生き物の死体を、消耗品のように扱い、壊れたらゴミにしてしまうのは良くないとのご意見も見たことがあります。
自然のものなので、繰り返し使っているうちに傷んでくるのは避けられないです。
通常の使用で自然と朽ちていくのは、それでいいことだと思います。
あまりまとまらずにつらつら書きましたが、私はこうした思いを持って剥製アクセサリーを製作しています。
2020-03-19
アメブロの記事から転載しています。
ヘッダー写真。
アヒルの頭骨・剥製ヘッドドレス。
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