『一陣の風のように 』#青ブラ文学部 like a gust of wind ・・・
記事のタイトルあるいは本文中に「一陣の風のように」という言葉を使用。
一応の締め切りは、2024年4月7日(日)。
*いつも一読者として楽しまさせて頂いておりましたが、今回のテーマが『風』ということもあって「kaze」である自分も無視はできないと・・・
(違!笑)勇気をもって参加させて頂く決意をしました。
初参加です。宜しくお願いいたします。
(つい最近【桜回線】のテーマで#毎週ショートショートnoteさんに投稿させて頂いた作に、その先の部分を足したもので失礼します。😅)
*『悠久の時の声』
「幾層にも分岐した時空の片隅に咲く桜を知っているか?」
「桜? それはまた随分古典的な植物がでてきたな?」
「時空探索は俺の趣味だからな。今まで言ったことはなかったが
ついに滅びた惑星に生きる《桜》を見つけた!」
「滅びた惑星に桜だと?あり得ない話だと思うが・・・まさか
見てくるなんて言わないだろうな?」
「まさかのコードネームは『桜回線』だ。もし、俺が消えそうに
なった時にはこの回線から引き戻してくれるか?」
「まぁ、そうするしかないだろうな。
変態の友人を持った宿命として受け入れるよ。」
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
無数に分岐した地球のほぼ全てに共通した
《死の香り》に抗うように
ここだけは異質の生気に満ちていた。
謎を知るために俺は過去の分岐点から
その星の運命を見届ける・・・
わりと命がけだったが ついに到着した。
天を目指すかのようなその桜の巨木は
何万年もの命を誇るかのように・・・
桜色に染まった大地に威厳を放って屹立していた。
俺はただ、悠久の声を聴く・・・・☆
【桜回線】
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
*桜回線を経て
自分を囲む空間が 一陣の風のように舞い 天空が揺れた。
刹那、巨木の上空が桜色に染まって天を覆い始めた・・・!!
俺が立つ大地も揺れている・・・
この地に遺る声を聴いていた俺に
危険を知らせる声が聞こえた気がした?
この層の この巨木を目指して来る無数の意識を感じる・・・
幾層もの枝分かれした宇宙から チャンスとばかりに
時空を無視するようなその流れは後を絶たない・・・
あらゆる声が押し寄せる。
もちろん人間などほんの一部だ。
植物や動物や かつて生きていたあらゆる生き物たちが
声にもならない巨大な圧力となって集まってくる・・・・・・?!!
無数の花吹雪となった桜の花びらは巨木の周りを踊り
地平線を目指すかのように巨木の幹が膨張を続けている・・・・・・??
・・・おいおい、何が始まるんだ・・・
イベントにしたって規模が大き過ぎるぜ?
ひとつの声を聴くことなど不可能だ。
このままでは俺まで飲み込まれてしまう?!
ここまで・・・か。
☆☆☆
俺の回収を待つ暇な友人にSOSを発した☆
ちゃんと覚えてるだろうな・・・?
☆☆☆☆☆
その地を去る時の一瞬の映像を覚えている。
かつて地球と呼ばれていた死の星は桜色に包まれて輝き
巨大化した桜の巨木はさらに巨大となって大地を離脱した。
その姿は、かつて洪水から逃れてあらゆる生命を乗せたという
地球神話の《ノアの方舟》にも似て・・・
暗黒の宇宙に船出した巨船を思わせた。
何を乗せて 何処へ向かう気だ?
よし、俺が船名の名付け親になってやる!
『 桜丸 』ってのはどうだ?!
もちろん冗談だから気にしないでくれ・・・(笑)
自分の世界への帰還を目指して
俺の意識は遠のいていった・・・・・・