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『チョコレートの神様』#シロクマ文芸部


チョコレートを食べるのが
ボクの夢なんだ。
どんな味がするんだろう・・・?

☆☆☆☆☆


ボクの名前は正太。

父さんや母さんの顔はしらない。
お爺ちゃんとふたりで暮してるんだ。

お爺ちゃんは腕のいい大工さんなんだけど
腰を痛めてしまって、ほとんど寝たきりになって
可哀想なんだ。

でも・・・ボクがアルバイトしようとしても
こどもだからって 働かせてもらえない。

それでも、マキを運ぶお手伝いをさせてもらえる
こともあるから、そんな時にはお駄賃をもらえて
お爺ちゃんに しっぷ薬を買ってあげられる。

お米は買い置きのがあるから大丈夫。
野菜だって農家のおばさんからもらえてるから大丈夫。
ボクがご飯を炊いたり、味噌汁だって作るんだよ。

お爺ちゃんは「すまないな・・・」なんていうけど大丈夫。
ボクがもうすこし大きくなったら、ちゃんとアルバイトして
もっとおいしいもの、いっぱい食べさせてあげるからね!

☆☆☆☆☆

外で、たのまれたマキ運びをしてたら
雪がふってきた・・・☆

きょうは『バレンタインデー』なんだって。
女の人がすきな男の人に
チョコレートをプレゼントするんだって。
いいな・・・☆

チョコレートって
どんな味がするんだろう・・・?
やっぱり、甘いんだろうな・・・☆

いつか・・・たべてみたいな!!

☆☆☆


・・・えっ?

もってたマキの重さが・・・かわった?
それに・・・ 
なんだか甘いにおいがする・・・

これって・・・もしかして?

ちょっとナメてみた。
・・・つめたくて よくわからない・・・

ちょっとだけ・・・かじってみた。

・・・・・・・・・?!

あまい?! ・・・あまいね!!
これって、もしかして
・・・・・・

チョコレート?!


☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 


薪運びを終わらせた正太は
チョコレートになった ご褒美の大きな薪を小脇に抱えて
幸せそうな笑顔で
一目散にお爺ちゃんの待つ家へ走って行きました。


チョコレートの神様?
粋な バレンタイン・プレゼント・・・

ありがとう!!



【了】

(787字)


こちらに参加させて頂きました。
チョコレート」から始まる小説・詩歌・エッセイ
締切は2/12(月)23:59。

#シロクマ文芸部


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