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燃えよ を 聴いて(2)

「燃える」と聞いて、思い浮かべる英単語は「burn」なのだが、
「藤井風アプリ」の「燃えよ」の英訳は
「Ignite」だった

どのような使い分けをするのだろう

英和辞書を見てみると、どちらにも、「燃える」のほかに「点火する」という意味もある
「Ignite」という単語を私自身が使ったことがないので、さらに英和辞書を見てみると、
「・・・に火をつける」「・・・を発火させる」「感情を喚起する」「燃え上がらす」「燃焼させる」などの意味が掲載されていた

燃え上がらせるというのが大まかな意味だろうか

「しょげた顔」で「石ころを蹴っ飛ばして」いるようでは、心に火がつきようがない

明日にしようとしたり、クールなふりをしたり、
強がったり、汗をかくことや恥を恐れたりせず、
ひたすら心に火がつくように歌っている曲

でもどうしたらそんな勇気がでるのだろう
どうしたら心に火がつく?

「太陽が泣いてるよ」
「太陽に叫ぼうよ ほら見上げてみて」
青天を仰いでみれば良いのだと言う
そこに太陽がある

英語の方で読んでみると、
日本語よりもストレートにそれが書かれているように思う


ほんとは君の中で
くすぶる熱い光
太陽に叫ぼうよ
ほら 見上げてみて

ここは、次のように訳されている

I know there's a light
Smoldering in your heart
Now burst into flames and let the sun see it
Look up and know it's waiting

あなたの中にくすぶっている光が分かりますよ
今こそそれを炎と燃え上がらせ、
太陽に見てもらいましょう
見上げてみると、太陽があなたのことを待っているのが分かります

太陽はあなたと繋がっており、
あなたが心を燃やすのを心待ちにしている
だから、恐れずに立ち上がれば良いのだと呼びかけている

太陽が待ってくれているなんて、
なんと安心感のあるフレーズ。

何があってもずっと大好きでいてくれる、
「何なんw」のハイヤーセルフみたい
いや、きっとハイヤーセルフと太陽は同じもの

自然と交感し、そのメッセージを受け取れば、
心を燃え上がらせることができるのだ

さらに、ここもとても安心感あふれる歌詞である

簡単じゃないかもね
でも難しくはない
迷いながら探すの
それはみんな同じ

私は最初「迷いながら探す」という行為自体が同じなのだと思っていた。
たしかに、生きている限りそれはそうに違いないのだけど、

We're all in this together

私たちはみんな一緒にいます

一人ひとりが悩み苦しんでいることは同じ
そんな私たちがみんなひとりではなく一緒にいて繋がっているのだ

誰かの気配を感じることは安心である

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

あぁ マジで何も怖くない
この風のって進め前へ

私はこの歌詞を読んで
「もうええわ」を聴くと寄り添われているような気分になることを思い出したのだが、


このたび「燃えよ」を聴き、力強い歌声に
もはや完全に聴き手と一体化しようとする藤井風を感じられる歌詞だと思った

Ah we definitely ain't got nothing to fear
Ride the wind and let's soar
and fly higher and higher

ああ、私たちは全く何も恐れることはありません
風に乗って高く舞い上がり、高く高く飛んでいきましょう

「マジで何も怖くない」は、
日本語においてはもちろん「私は/僕は/俺は/わしは」と一人称で歌った方がいいのだろうと思う

それは日本文学の歴史から見ても正しいし、
日本のポップスの歴史から見てもそうだろうと思う

ただ、英訳は「We」なのであり、
私たちは怖がらなくて良いんだと歌ってくれているのである

すてきな曲だと思う

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