ケンジトシ

2020年にいろんなものがストップした時、
中村倫也さんは家から配信をしていた。
おしゃべりしたり、料理したり、おすすめのDVDを紹介したり、机やTシャツを作ったり。
ピアノを弾いたりもしていた。

当時やっていたドラマの繋がりで、宇多田ヒカルさんのインスタライブに出たりした。
菅田将暉さんと一緒に、宇宙からの映像を見る企画もあった。

自分の仕事がストップしたり、パンデミックのニュースに滅入ったりしていたけど、
中村倫也さんの発信するものを追いかけていると、なんだかずっと楽しかった。

コロナが少し落ち着いて来た頃、インタビューで演劇の話をし始めた。
演劇界は、音楽よりももっと制限がきつそうに思っていたので私はずっと心配していた。
でも、そんな中で彼は敢えて何かしようとしているような気がした。

それから、劇団☆新感線『狐晴明九尾狩』、河原雅彦演出『ルードヴィヒ』と、主役で立て続けに出た。
『ケンジトシ』は、中止されていた公演だけど今回上演が決まった。
3つとも、泣きすぎるぐらい泣いている中村さん(特に『ルードヴィヒ』)。
体力気力、大丈夫でしょうか。
中村倫也の全力お芝居、とても良いです。

ケンジトシは、トシが途中でいなくなってしまうので支柱を失ったケンジがヨレヨレで、無邪気にイーハトーブ計画を立てていた時との落差に、観ているこちらも凹みます。

『銀河鉄道の父』が、宮沢賢治のお父さんを描いた作品ならば、
『ケンジトシ』は、宮沢賢治の妹トシ子さんを描いた作品です。

宮沢賢治という人は、生前に売れたわけでもなく、大量の童話もほとんど発表せず、病気になっては実家に連れ戻され、あげくの果てに若くして死んでしまい。信仰の違う父親に法華経を配ってほしいと遺言して死ぬ、どうしようもない人ですが、
この演劇では、そのどうしようもなさと、彼の紡ぎ出す宝石の言葉が全部出ていて独特で、この表現が合っているか分からないけど、面白い。
この人に、トシさんがいて良かった。
トシさんはもっと生きるべきでした。

トシさんがいなくなったから、
「永訣の朝」も『銀河鉄道の夜』も生まれたのですが。


🔴5月27日にWOWOWで放送決定。


🔴河原雅彦とブレイク直前の中村倫也の対談

🔴『ルードヴィヒ』、おふたりとも受賞!
おめでとうございます!!
ミュージカル作品部門も受賞されました!

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