信号無視のタクシー

今日信号を無視するタクシーを見た。

僕が原付に乗ってフードデリバリーの配達をしていたら、目の前のタクシーが赤信号なのに直進していき、横断歩道を渡っている歩行者を轢きそうになっていた。
結局ギリギリ事故にはならず、そのタクシーは車を止めることもなく走り去っていった。

その次の信号で僕はそのタクシーに追いついたので、
横に並んだ時に『信号無視しちゃだめでしょ』って言った。目があったけど、無視された。
僕は、ナンバープレートと車体をスマホで撮影した。
なんか腹たったから。
見るからに嫌なやつそうなジジイだった。


今日はずっと雨で、日曜日ということもありフードデリバリーの単価が相当に良かったので、たくさん配達をしていつもの1週間分ぐらいの稼ぎを得て、気分良く帰った。
帰ってご飯を食べてのんびりしてた時、ふと

『そーいえば、悪いやつがいたな…』

と思い出し、撮影したタクシーの画像を確認した。
ナンバープレートはハッキリと写っている。
だが調べたところ、ナンバープレートだけではタクシー会社を特定することはできないらしい。

『他に情報はないか』

また画像を見た。タクシーの上にある行灯(あんどん)から特定できるかもと思い検索したが、それらしいのは見当たらない…
画像がぼやけていて、側面に書いてある会社名も読めない。でも、頭文字がFだったのは覚えている。
でも東京のタクシー会社は無数にあり探しきれない…

コーヒーを飲み、タバコを吸った。

『あれ?この○○○というアルファベットはなんだ?』

画像を見返していたら、そのタクシーの正面や側面に○○○という3文字のアルファベットが書いてあるのに気づいた。

『○○○ タクシー』で検索してみた。
すると、○○○はタクシー会社をたくさん経営しているグループの名前だったのだ!!!
急に事件が解決に進み始めた!!

ナンバープレートから、大まかな場所はわかるできる。
次は『○○○ タクシー △△区』と検索してみた。
すると、あるタクシー会社が出てきたのだ!!!
絶対ここだ!!

場所は神田、時間は19時15分とハッキリ分かっていた。
なぜなら事件が起きた時に、Googleマップを開いているスマホの画面をスクリーンショットしていたのだ!!!!

僕『すいません、〜というナンバーのタクシーはそちらの会社の車でしょうか?
○○○というアルファベットのマークが付いていたのですが…』

担当者さん『あ~、そうかもしれません
どうかされましたか?』

僕『今日の19時15分頃に神田で、そのナンバーのタクシーが信号無視をして歩行者を轢きそうになっていたのを見たので連絡したのですが…』

担当者さん『あ、そうですか…
ご連絡ありがとうございます
車両のドライブレコーダーを確認して、そのような内容があった場合、厳重に注意させていただきます。』

僕『すいません、よろしくお願いします
失礼します』



僕は何をしているんだ



何のためにこんなことをしているんだ。
頭がおかしいのは僕じゃないか。
僕が轢かれそうになったならまだしも、それを見ただけなのに、写真を撮って・必死に調べて・会社に電話をする。
僕は化け物だ、法で取り締まれないタイプの。
自分が怖くなった。

よくいるクレーマーの人みたいに『お詫びになんかよこせ!』とかじゃないのがより怖い。
『なんかよこせ!』とか『そいつをクビにしろ!』とかのほうがヤバい人なりに目的はわかる。

僕のは意味がわからない。
気持ちが悪い。
別にあのジジイがどうなってもいいし、興味もない。
なんか『正義』という見えない力によって体が勝手に動いてしまったのだ。

探偵気分で何時間も調べ、推理した結果
犯人は、僕だった。
犯行に使われた凶器は『正義』

いつかちゃんと更生して、社会の役に立ちたい。







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