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仮想遊園地 #74_90
少年が頭からタンクの中へ墜ちて行く。タンクの中で鈍い音が響く。少年の呻き声が穴の中から洩れてくる。
「おまえが替わりだ。暫く、そこにいな」太気は鉄蓋を閉める。
「あぶらかたぶら つぎのあぶらは どちらのおかた ぶらぶらしてるやつ あぶらにするぞ あぶらかたぶら・・・」太気は鉄蓋の上を交互に飛び跳ねていく。何かの童謡を呪文のように唄いながら。
「太気!」椎衣が叫ぶ。
「どうした。こんなところで」声に反応して、太気がゆっくり振り向く。
「あんただったんだね」
「何?」
「人殺しまでさせて。あんな子供に」
「あいつらも、かわいそうな奴らなんだ。親には捨てられ、喰うや喰わずで仕事はない。仕事をやったまでさ」
「仕事?妹もあいつらの手に・・・」