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仮想遊園地 #75_91

「それは気の毒なことをした。てっきりおまえかと思ったよ。妹なんかいたんだな」 
「妹だけじゃない。太気、あんた何してるのか、わかってるの?」 
「国家事業に貢献できて嬉しい限りさ。病人や年寄り待ってても調達が追いつかない。だから、自分の手を汚してまでして燃料増産に一役かってるわけだ」
「何言ってるの?」
「知ってるよな。昔、戦争ってものがあったこと。ここんところ、大がかりな戦争ってできないんだ。燃料がないからさ。戦闘機も飛ばせないし、戦車も走らない。軍艦も動かない。ある国が戦争を仕掛けたがってるとする。だが、肝心の燃料がない。さて、どうする?」
「そんなこと、どうでもいい」
「聞けよ。この国から燃料を調達して、軍隊を動かすのさ。勿論、それ相当の対価は必要だ」