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砂絵 #33_49

「実際に見たのか、感じたのかわからないですね。遊園地の中を、ふっと漂っていたような」 
「何か、つまらなそうだった。遊園地にいるのに、遊びたいけど遊べないっていう感じ」 
「ぞっとしましたね。気がついたら目の前に浮かんで見えたから。まるで、幽霊みたいに」

十八 迎え船
 海岸道。須恵は気がかりそうに、何度も後ろを振り返る。暫く行くと、須恵は立止まる。懐かしそうに海の方を振り向く。両手で耳を覆い、潮騒の音を聞く素振り。砂に足を取られながら、須恵は砂浜に降りていく。