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砂絵 #55_72
「早く」須恵は落ち着きのなく言う。
「どうしたの?」
「どうやって来た?ここまで」椎衣は店先に停めた自転車を指差す。
須恵は自転車の荷篭に恵を乗せる。恵は目をこすってむずがる仕草をするが、まだ目が覚めていない。
「行こう」須恵は左手で自転車のハンドルを握り、右手で荷篭を支えながら自転車を押す。
「どういうこと?」椎衣は須恵の横顔に問う。
「黙って」
暫くして、須恵は公園に入り自転車を停める。荷篭の上で恵が背伸びをする。
「かあちゃん!」椎衣は恵を抱きかかえ荷篭から降ろす。
「おばあちゃんだよ」
「ばあちゃん?」恵は須恵の顔を見上げる。