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砂絵 #60_76-77

「今逝けば、特別手当の配給券が貰えるらしい。随分、足りないんだとさ。燃料が」久下はチラシを破り七輪の上にくべる。 
「なんでこんな勧誘を?」 
「やつらには権利があるからな」
「権利?」
「こんな何もなくなった世の中に生まれて、どうにか生きて行かなくちゃならないってことさ。あいつら、親に捨てられたんだ」
「それが人を殺す権利?」 
「人を殺す?どういうことだ?」
「夕べ須恵が見たらしいんです。あの二人が女の人を。朱雨のことと、何か関係があるような気がして」
「そんなことをする奴らだとは思えんが・・・」 
「彼等は、どこに?」
「どうするつもりだ?」
「はっきりさせたいだけです。朱雨のためにも」 
「石油精製所の跡地が奴らのねぐらだが」 
「どこにあるんです?」