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砂絵 #53_70

⌘二十四 孫娘
 椎衣は喫茶店まで戻ると、恵を抱きかかえ店の扉を開ける。
「戻りました」その声に振り向く須恵。 
「須恵!」椎衣は恵を抱え須恵に近づく。須恵は腕に抱かれた恵を見つめる。
「この子、恵っていうの。朱雨の娘。須恵の孫娘よ」椎衣は恵の顔を須恵に向ける。
 須恵は両手を差し出し恵を抱き抱える。
「須恵、心配したんだよ」椎衣の言葉を聞いたか聞かずか、須恵は恵の寝顔を静かに見つめる。
「やあ、戻って来たね」久下がカウンターの奥から顔をだし、須恵に抱かれた恵の寝顔を見る。 
「その子は?」 
「朱雨の娘、恵です」
「これで三世代の顔見せってわけか。これから、どうするつもりかね?」