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砂絵 #54_7

「何とかなるよ・・・」須恵はおぼつかない声を発すると椎衣に頷く。 
「須恵・・・。聞こえるの?」椎衣は唖然として須恵の顔を見つめる。 
 店の扉が開く音。 
「いらっしゃい」入口に目を向ける久下。
 二人の少年が奥の席にどかっと腰を降ろす。須恵は顔を反らす。 
「出よう」須恵は椎衣の耳元に囁く。
「どうしたの?」 
「あとで」須恵は恵を抱きそそくさと店を出る。 
「どうかしたのかね?」久下は須恵の後ろ姿を目で追う。 
「いえ・・・」席を立つ椎衣。
「じいさん、アイス、ふたつ!」少年が声を張り上げる。 
「はいよ」久下はアイスピックで氷を砕く。