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レギュレーションオタクがみるキングオブコント2023

少し前まで茹だるような暑さが続いていたかと思えば、季節はすっかり秋めいて、キングオブコント2023の決勝が目前に迫っている。



過去にもお笑いの賞レースについて触れているので、本大会についても言及しておこうと思う。

※以下記事には個人の感想や偏見を多分に含みますので、ご注意を。

◆レギュレーションから見るキングオブコント2023

キングオブコントは2008年にスタートしたコント日本一を決める賞レースで、今年で16回目を迎える。
優勝賞金はM-1グランプリと同じく1000万円の大規模大会だ。

審査方式(レギュレーション)は、回を追うごとにブラッシュアップされ、現在は大まかに下記の形で落ち着いている。

・2名以上のグループによるコントを演じる(1名での出場は不可)
・プロアマ、芸歴、事務所等の縛りは無く、即席ユニットでの出場もOK
・決勝のネタ時間は5分
・決勝ファーストステージは審査員5名(松本人志+歴代優勝芸人4名)が各100点の合計500点満点でネタを評価し、上位3組がファイナルステージに進出
・ファイナルステージでも同様に500点満点でネタを披露し、ファーストステージとの合計点数(1000点満点)で優勝者を決定

他の大規模賞レースとの一番の違いはファーストステージの点数がファイナルに持ち越される点だろうか。
1本目のネタで大幅な点差がつくと必然的にファイナルステージでの逆転が難しくなるため、ファーストステージのネタ比重が重くなる。実際に過去のデータをみても、ファーストステージで頭ひとつ抜けた点数を獲得した組が、そのまま優勝というパターンは非常に多い。
個人的には、このルールによるファーストステージの点数発表時のヒリヒリ感と、2位以下の組がその点差をファイナルステージでいかにして捲るかが注目のポイントだと思う。

◆審査員の傾向について

現在のメンバーとなって以降の審査員の配点傾向としては、委員長の松本人志が比較的ニッチで尖った、所謂「アホやなぁー」系のネタにやや傾倒するイメージはあるが、全体的には手堅く「会場のウケ」や「構成・展開の完成度」が重視される傾向にある。5分間にまんべんなく笑いを散りばめるよりも、爆発力のある大きな裏切りのあるネタが高得点になりやすい点も賞レースとしては一般的だろうか。
審査員が5名と比較的少なく、大きく点差をつけると大局に影響しバランスブレイカーとなりやすい点を考慮してか、89点~90点台後半くらいの枠のなかで評価をする審査員が多く、相対評価のために序盤の出準の組に高得点が出にくい点もM-1との類似がみられる。

ここからは、これらの点も加味しながら、今年の決勝進出メンバーについて言及していこう。

◆2023年のファイナリスト

先日発表されたファイナリスト10組は以下の通り。( )内は今回大会を含む決勝進出回数

ゼンモンキー   (初)
隣人       (初)
ファイヤーサンダー(初)
カゲヤマ     (初)
サルゴリラ    (初)
ラブレターズ   (4)
蛙亭       (2)
ジグザグジギー  (3)
や団       (2)
ニッポンの社長  (4)

芸歴では2019年結成の「ゼンモンキー」が最も短く、ゼロ年代初頭にルーツのある「や団」「サルゴリラ」あたりがベテラン枠だろう。
残る7組が中堅ということになるが、「カゲヤマ」「ラブレターズ」「ジグザグジギー」はゼロ年代後半結成でやや先輩。「ニッポンの社長」「隣人」「蛙亭」「ファイヤーサンダー」は2010年代前半結成で、ニッポンの社長を除く3組は養成所時代の同期でもある。

事務所分布は よしもとが5組で最多、次いでワタナベ2組、マセキ、SMA、ASH&Dがそれぞれ1組と、所属芸人の母数から考えればバランスの良いラインナップ。

関西にルーツをもつ組も多いが、現在は東京を拠点とする芸人がほとんどで、今でも関西で活動しているのは「隣人」のみとなっている。

決勝経験組と初進出組が半々になっている点も興味深いだろうか。

◆個人的注目の芸人


ここからは、筆者の注目の芸人について記載をしていく。

・蛙亭

まずトップに挙げるのは、2年ぶり2度目の決勝進出となる「蛙亭」だ。
初進出となった2021年大会では、インパクト・完成度共に素晴らしいネタで挑み、圧倒的不利と言われるトップバッターにも関わらず461点の高得点を記録。
クセの強いキャラクターと、良い意味で芝居っぽさのない独特の掛け合いが特徴的で、夏の単独ライブでも爆発力のある賞レース向きなネタを複数披露しているので期待ができる。
個人的にめちゃめちゃ応援しているコンビなので、優勝に期待したい。

・ニッポンの社長

続いては「ニッポンの社長」。
4年連続決勝進出の実力は折り紙付き。昨年は披露したネタが審査員にハマらず最下位に甘んじることになったが、豊富な決勝経験をもとに今年こそは悲願の優勝に期待したい。
ここ数年は静的でシュールなネタを決勝にもってきているが、個人的には破天荒でクレイジーなネタが好きなコンビなので、ここ一番で目を疑うようなヤバいネタが出てくると嬉しいなーと思ったり。

・隣人

破天荒でクレイジーといえば「隣人」も気になるところ。関西の劇場に足を運ぶ機会が無く、ネタは漫才の賞レースでしか見たことが無いのだが、舞台上を動き回ったり奇抜な掛け合いが繰り返されるトリッキーなスタイルの漫才だったので、本業のコントでどんな姿を見ることができるのか楽しみ。

・サルゴリラ

ベテラン組からは「サルゴリラ」に注目。前身のトリオ時代はよく観ていたが、2人になってからはネタをみる機会が無かったので、現在どんなコントをしているのかが気になるところ。赤羽さんの演じる子どものキャラがなんとも言えない中毒的な魅力を持っていたことを記憶しているが、果たして。

◆終わりに

決勝の放送までもう2週間を切っている。

どんな結果になっても楽しめることは間違いないだろう。
実力派コント師たちの熱戦が楽しみだ。

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