3年間かけたプログラミング教育の_準備が終わりました

3年間のプログラミング教育準備が終わりました

令和2年1月31日、港区立白金小学校で研究発表会がありました。プログラミング教育の推進校として2年間取り組んできた集大成。

来場者は同じ港区・東京都だけでなく静岡や京都、九州などから200人近くいたのではないかな。青木教育長も参加され、白金小学校の先生方を労っていました。

私も第一部の研修と講演を担当させていただきました  ※撮影:鍋谷先生

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2017年から約3年間、教育委員会から委託を受けプログラミング教育の推進事業者としていくつかの小学校と伴走してきました。

特に深くかかわらせていただいたのが、
港区立白金小学校、豊島区立仰高小学校、東村山市立回田小学校、大阪市立本田小学校
の4校です

この白金小の研究発表が私にとっても1つの節目。支援期間が終わりとなります。

なぜ公立小学校のプログラミング教育に関わったのか?

2017年に大阪市が市内小学校のプログラミング教育を支援する民間団体を募集しました。その募集要項を見ると、「いろいろやってもらいたいんだけど全部無償でよろしくね」という募集だったので、ネット上では当時炎上していましたw ”大阪市は横暴な募集してる!” と。

それを見た私は社員に応募するように依頼しました。

そのときの理由は2つあって、1つは「日本の公立小学校がどの程度・どんなスピード感で変わっていくのか知りたい」ということ

これは経営するヴィリングの事業戦略を立案するうえで重要なインプットとなるので会社のため。

2つ目は公教育に貢献したいということ。特に「もったいないプログラミング教育にはなってほしくない」という思い。

学校に関わる民間企業のねらいは、自社のロボットやパソコン、ソフトを売りたい、という理由です。ヴィリングはそういう売るものはないので商売はまったく期待していません。

2015年から公立小でプログラミング教育に取り組みはじめ、2017年度は私自身が小学校で理科教員として教壇に立ちながら
「教科のどこをプログラミングに置き換えることができるだろう」
と模索していました。

その経験から、

・「教科の一部をプログラミングに置き換えることはかなり無理がある」
・「プログラミングをよくわからない先生は、コンピュータを操作する程度の活動または数字や文字の穴埋めといったドリルのような活動をプログラミングとする可能性が高い」

と思っていました。

また、以前の総合学習が、必修化になったけど実態は探究的な活動ではなくて運動会・学芸会の準備の時間ばかり、になりかねないとも思っていました。

プログラミングは知識偏重・一斉講義型・教科再編できない日本の公教育を次のステージにアップデートするラストチャンスと思っています。これを逃すと次はliberalartsかな。。あと20年はないでしょう。

このような考えで、大阪への新幹線代が出ないとわかっていてもやろうと応募し、見事採択され、手弁当で何度も大阪に足を運びましたw はじめは特に先生向けの研修会でした

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※補足  2018年から関わらせていただいた大阪市立本田小学校は校長先生のご厚意で校内予算から毎回講師料いただきました!

東京都の小学校でも推進事業者としてスタート(2018)

そして大阪での実績を知った港区立白金小の先生が声をかけてくださり、東京都の小学校でも依頼をいただく機会が増え、約3年間、いろいろな研究主任の先生と「小学校でできるプログラミング教育」のはじめ方をつくってきました。

豊島区立仰高小学校では算数に限定し、授業案をいくつもつくられました。算数×プログラミングは先生たちが一番関心高いでしょう。

東村山市立回田小学校では子どもたちが楽しみながらコンピューターの特徴を体感できる”おもしろいプログラミング教育”の事例がいくつもできました。

Scrachで図形を書いて、それを拡大して校庭に書く。壮観でした。(算数:拡大図と縮図)

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そして白金小学校が提案した「どの先生でも無理なくはじめられるパッケージ」は、これこそ多くの学校・先生が求めているものだろうという内容が凝縮されています。

今積極的に研究や公開している事例は、得意な先生がやっていることが多くて難しいんですよね。いきなり3段飛ばししている感じ。

白金小の研究主任として2年間活動された白石先生はこの問題意識が強く、ファーストステップであることをコンセプトにしています。同校の先生方も前向きに取り組んでこられた成果ですね。

これからどんな授業案が都内各校にシェアされるのか

この2年間に東京都でプログラミング教育推進校として取り組んだのは75校です。

各校が複数の授業案を発表しています。正直言って玉石混交。

これから東京都教育委員会がどのようなフィルターをかけて約1300の小学校に共有していくのか。

その基準はあまり信頼できん(笑)

でも、この75校の中には、プログラミング教育とは手順を組み立てる活動だけじゃなく、「つくる楽しさ・子どもたちにとって新しい表現の手段・新しいヒーロー/ヒロインが生まれる」という体験をした先生がいます。

この先生方たちが今後日本のプログラミング教育をリードをして、
「つくる楽しさ」
「手順づくりの試行錯誤」
「人と違っていいという表現」
といった要素が組み込まれた授業をつくり、広めていってほしいなと願っています。

この3年間は会社を空ける日が多かったです。2019年は数えたら29回小学校に行きました。ヴィリングの社員たちもがんばってサービス運営してくれました。踏ん張ってくれてありがとう。

次年度について教育委員会から特に依頼はないので、これで私の「公教育との関わり」も一区切りになりそうです。

ヴィリングを通じて『放課後からの教育改革』に集中していきます。

研究対象校の研究主任の先生方、大変おつかれさまでした。特に白石先生、高倉先生、おつかれさまでした!! 大変でしたね~笑

ありがとうございます!