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二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第四話 ミレーネ(3-4)
翌日初夏の花々が咲き乱れる王宮の庭園で、ミレーネは母のフロリアと午後のお茶を楽しんでいた。
ミレーネの白い肌に溶け込むような淡いピンクのドレス姿に、王妃フロリアは目を細めて言った。
「ミレーネはもう十五歳になるのね。美しくなったわ」
「あら、お母さま、私がお母さま似なのを承知で褒めていらっしゃるの?」
「まぁ、ミレーネったら、お口もずいぶん成長したのね」
母の笑い声につられて、ミレーネも
献本が届きました。
以前お世話になった担当者さんからセレクションに選ばれたと電話を頂き、推敲を重ねた原稿が8月に出版されます。
予約可能な日にちや発売日はまた呟きます。
一年に一冊でも紙本を読まれる読者様。
「翼を狩る者と運命の乙女」を購入候補に入れていただけたら最高に嬉しいです
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145463527/picture_pc_3381d87e7ca6887a833de4706d66a078.jpg?fit=bounds&quality=85&width=1280)
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第四話 ミレーネ(2-4)
ミレーネが勇気を出して医師や侍女たちにしかけようとしたとき、メルシアが出かけたくしゃみを抑えようとして、手で口元を隠した。
メルシアが炎から視線を外した途端に、術が解けてしまった。
細工が分かっていた魔術師ハリアーは、やれやれと首を振って肩を竦め、他の者たちは気まずそうな表情を浮かべる。
メルシアは一人おろおろしながら、ミレーネに役立てなかったことを謝ったが、ミレーネにしてみれば、さきほど
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第四話 ミレーネ(1-4)
王宮の端にある飾り気の無い一室で、ミレーネとメルシアは魔術師から白魔術の講習を受けていた。
講師はハリアーという名前で、もじゃもじゃの白眉毛と顎髭を蓄えた顔は、童話に出てくる魔法使いそのものだ。
「ミレーネ殿下、ろうそくに火を灯せますかな?」
十五歳になるというのに、ミレーネに出される課題は幼児と同じレベルだ。
それなのに、ミレーネがいくら頭の中で炎を思い浮かべてろうそくに導こうとして
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第三話 メルシア(4-4)
絶対に私はお父様とお母さまの子供だ。
目の前の男に尋ねれば、ひどい陰口だと噂を一蹴してくれるはず。それでも、メルシアは魔術師のフードに隠れた顔を見ることができず、足元に視線を落としたまま告げた。
「お父さまは私の目が邪眼の目だっておっしゃったわ。赤い瞳が恐ろしいって」
魔術師が身じろぐ気配が伝わり、歯ぎしりが聞こえた。
メルシアはハッとして魔術師の顔を見上げたが、館の方を睨み据えた魔術
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第三話 メルシア(3-4)
パシッと乾いた音がして、頬を抑えたメルシアが床に倒れた。
その瞬間、カップの中の紅茶がぶくぶくと泡立ちながら沸騰し、悲鳴とともに婦人たちの手から落ちたカップが床で割れる音が重なった。
「お前はなぜそんな禍々しい魔法ばかりを使うんだ。メルシア、白魔術は人に役立てるものだ。怒りや復讐などに使ってはならん」
メルシアは、炎が燃えているような赤い瞳でヘンリーを睨んだ。
カリーナが慌てて駆け寄り、
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第三話 メルシア(2-4)
「メルシア、よくお聞きなさい。たとえ王と王妃にお世継ぎのミレーネさまがいらしたとしても、まだ他に子供はいないのだから、あなたは上位継承権をもっているに変わりはありません。もし、ミレーネさまに何かあったら……」
「やっぱり、あの侍女たちの言ったことは本当だったのね。クイーンになるのはミレーネで、私はお父様と同じでスペアってこと?」
「そこまでだ!」
男の低い怒り声が瀟洒な部屋にこだました。
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第三話 メルシア(1-4)
王宮からほど近い侯爵家に停まった馬車の扉を召使が開けると、その手も借りずにメルシアは外に飛び出した。
普段は取り澄ました貴婦人のように、ツンと顎をあげ、立ち振る舞いも指先にまで神経を行きわたらせているのに、今は年相応の癇癪を起した少女でしかない。
慌ててドアを開いた召使いの横をすり抜けて屋敷の中に駆け込んでいく。
ドレスの裾を両手でたくし上げたメルシアは、大理石の床にヒールの音が響くのも構
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第二話 二人のプリンセス(2-2)
メルシアが蜘蛛の巣に手を翳して大きくなれと呪文を唱え、昆虫ごと蜘蛛の巣を網のように巨大化させると、侍女たちを捕らえるように命令する。
固まってひそひそ話をしていた侍女たちは、まさしく一網打尽にされてしまい、悲鳴をあげながら大きな昆虫やクモと一緒に網の下でもがいた。
「お許しください。メルシアさま」
「ひ~っ。大きな蜘蛛が襲いに来るわ。助けて!」
メルシアがいい気味だと言いながら、高笑いす
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第二話 二人のプリンセス (1-2)
東西に広がる大陸を二つに分断するように南北に走る山脈の南側には、いくつかの王国がある。
イゾラデ王国はその中でも最も南にあり、気候も温暖で農耕に適し、コバルトブルーの海からも海の幸を得られる恵まれた土地だ。
一年中咲き乱れる花々から作られる香水はこの国の特産品であり、その他にも美術品やデザイン性の高い服飾などが有名で、他国から商品を買い付けにくる商人たちで賑わっていた。
そんなに恵まれたイ
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第一話 プロローグ
あらすじ
イゾルデ王国の王族は、精霊の加護を受け白魔術を使える者が多い。
国王の娘ミレーネと王弟の娘メルシアも術者だが、メルシアは妖精の取り替えっ子との噂がある。何かとミレーネと比較されるうちに心が捻じ曲がって黒魔術を操る魔女の仲間になり、黒魔女狩りにあう。
一方王女としての品格を身に着けたミレーネは、隣国の皇太子ルキウスの婚約者を決める舞踏会に招かれ、ルキウスに見初められる。ところがミレーネだけ
ドライフラワーのセットを購入したので、アレンジしてみました。
花の入れ替えのため60本で、すごくお値打ちだったのも嬉いし、色々な形の葉が入っていたから、アレンジしやすかったです😆
車輪に絡めたナッツもかわいいでしょ?
飾ったら空間が華やぎました🤩🎶
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/99989278/picture_pc_5966b5d2c5914df875255ed70c2ee91f.jpg?fit=bounds&quality=85&width=1280)
デジャヴュを感じた街
#どこでも住めるとしたら
「デジャヴュを感じた街」ー タイトルを見た方は、だいたい三通りの意見に分かれると思います。
1・大袈裟! どっかで写真でも見て、行ったことがあるって思い込んだんじゃないの?
2・私も感じたことがある。でも誰かに言うと頭が変なんじゃないかと思われるから言わない。
3・現実離れしすぎ。盛ってるね。この人(笑)
現実主義の私としては、自分が体験しなかったら1番の意見に賛成