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千利休から学んだ「空白」を…。


こんにちは、葬祭の道化師 原作の風林です。
本日は、「主人公」というキャラクターに着目してお話をしていこうかと思います。

また、この度のお話は皆様が日々ご活動されているあらゆる分野においても応用していけるようなお話かと思いますので、ぜひ最後までお付き合い下さい🙇‍♀️


さて、連載漫画「葬祭の道化師」は既にご一読されましたでしょうか。まだ読んでないよという方でもお伝えできるお話ですが「主人公」のステータスについて下記の2点だけ抑えてから進めさせてください。

  • 氏名:名取 望良(なとり のら)

  • 職業:道化師(家族には明かしていない)

世界観もルーツも知る必要は無く、この2点だけ抑えていただきたいです。

それでは、本題に入ります。

本作 長編連載 少年バトル漫画「葬祭の道化師」で私が取り入れた最大の特徴。ズバリですね、

『自己紹介の撤廃』。

もっというと、説明を省いたんですね。

よくあると言えば失礼なんですけど、
例えば異世界転生系漫画であれば冒頭で…
「俺は普通の高校生○○ ○○だ。不慮な事故で死んだと思ったのだが、目が覚めると記憶はそのまま魔王の息子として転生したのだったッ」
みたいな様子で、ざっくり自己紹介したり状況を説明してしまう漫画って少なくないんですね。

ところが、本作においてはそれらが無いんです。つまり、急に男性が現れるし、読者に向けたような自己紹介もせず、「僕は道化師であることを家族に隠してます」なんて諸事情も吐かないんですね。

ここまでで本作の特徴を掴んでいただけたかと思います。要するに、「読者に不親切な漫画なんだな」ってわかって頂けたらOKです。

さてここからが、タイトル回収。
茶人で知られる、千利休から学んだ「空白」について話を進めていきます。
今の所なんの結び付きが無いように感じるかと思いますが最後には落とし所を作って行けるかと思いますのでお付き合い下さい。


皆さんにとっての千利休と言えば、先述の通り「お茶」のイメージが強いかと思います。
しかし、歴史的な人物は往々にして多趣味であったとも言われてもいますね。
諸説ありますが実は、千利休は「華道」も嗜(たしな)んでいたといいます。
彼のもつ広大な庭園にはアサガオが満遍なく咲いていたようです。❀✿❀✿
その噂を聞きつけた当時の殿、豊臣秀吉は「見せてもらおうではないか」と言うや、千利休のアサガオ庭園へ来訪する約束を取り付けました。
「殿が来るってよ」「失礼のないようにせな」
「手入れはいつも以上に」様々な声があがる中、千利休は思いもよらぬ行動に出ました。

庭園のアサガオを全部抜き取ってしまった

のです。
そして、一輪のアサガオを瓶に生け。❁
殿をお迎えすることとなりました。

ここまで、読んで皆さんはこの怪奇的な行動に理解が及ばずブラウザバックへ指を進めているかと思います。大丈夫です。いよいよ綺麗に着地します。

話は戻りますが、一般的な考えに則ると…
雑草を抜いたり、水をあげたり、パーフェクトな状態で殿を迎えたいと思いますよね。

そして、いよいよ殿(豊臣秀吉)が来訪されました。が、当然、「噂と違くね?」と言わんばかりの反応です。

ところが、綺麗なアサガオが一輪あるじゃないですか。瓶に生けたとても綺麗なアサガオが。

それを見た殿は何を感じたと思いますか。。

きっと…
「この綺麗なアサガオが庭一面に…ッ」
「ここには兄妹のような仲睦まじいアサガオが並んでいて…」
「ここには孤独を好むたくましいアサガオがあって…」
「あ、でもここには小さな民衆に慕われる大きな私のようなアサガオが居たかもしれない」

のように想像したんだと思います。
ようやく話の落とし所が見えてきましたね。

そうです。これがコミュニケーションです。
千利休がわざと空白を作ったことによって、
来訪した豊臣秀吉は想像の機会を与えられたのです。

これは私の考えですがもし、千利休が一般的法則に沿って雑草を抜き水をあげ、アサガオ満開の庭園を見せていたとしたら豊臣秀吉は何を感じたでしょうか。
「うむ、噂通りの綺麗な庭だ」(帰宅)笑

これってコミュニケーションではなくて千利休の一方的なお披露目会ですよね。ただのマスターベーションですよね。

ここがすごく重要で
空白は意地悪ではなく、会話です。

空白があるから想像する余地がある。
見えないから見ようとする。
5はあげたよ。残りの5はあなたの想像の中にあるよ。
これがコミュニケーションです。

千利休はきっとコミュニケーションを大事にしていたのだと思います。見る人によって見えるものがちがう千差万別の庭園がそこにあったのです。


と、まぁ昔話はここまでになります。
今の寓話で、ある程度本作「葬祭の道化師」の魂胆が見えてきかと思います。

さて、終着点としましょう。
私は千利休から学んだ「空白」というものを採用し本作に取り入れました。

「もしかしたら、この主人公道化師だってこと隠してるのかな?」
「そうか、言えないでいるんだ」

読者に想像して欲しい。そういった全部を語らないスタイルで挑んだので掴みどころの無い主人公だと感じた方も多いかと思います笑

きっと、今皆さんがご活躍されているあらゆるジャンルにおいても空白はお客さんとのコミュニケーションに繋がると思います。

語りたいのは分かります、語らないで。
説明したいのも分かります、抑えて。
あなたの5割を注力さえすれば、あとの残りは想像が埋めてくれます。


本日も長々とお付き合い下さりありがとうございました☺️
次回も「葬祭の道化師」を例にした皆さんが日常で使っていけるような武器を提供しようかなと考えてますので、お楽しみに✋

P.S.
千利休の寓話は下記の「13歳からのアート思考」という末永幸歩さん著の書籍にあった一説を参考にさせて頂いております。
ぜひ、皆様もご一読いかがでしょうか👋



©カザバヤシ/葬祭の道化師


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