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12月11日(2004年) 欲しかったもの

自宅のある沿線の終電は、最寄り駅の一個手前までしか運行しない。
埼スタで、夜7時半キックオフの試合がPK戦までいった場合、決着がついたらすぐにスタジアムを出ないとひと駅歩くはめになる。
優勝が決まり、最後まで見届けてのひと駅なら短く感じるかもしれない。
けれど負けてしまったら、やり切れなさいっぱいの辛いひと駅になる。

第一戦を終えて、
「冷静に、したたかに」そうMDPに投稿したのは、相手がそう見えたからだろうか。
目をつぶれば三都主選手のFKがゴールに吸い込まれていった時の、スタジアムの情景と自分の感情を思い起こすことが出来る。
けれど、細かいことはあまり覚えていない。
悔しいというより、欲しいものが目の前に見えていたのに掴めなかった喪失感のほうが強かった。
心にぽっかり穴があいてしまって、しばらく北ゴール裏の上の方に座って試合後のピッチを眺めていた。
終電のことは頭にあったけれど、しばらく立つことが出来なかった。

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