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一音一会/東亮汰さんリサイタル 感想その1

*最初にお断りしておきますが、私はクラシックの専門家ではありませんので(吹奏楽部の出身ではあるけれど)、演奏や曲について解釈は、あくまでも音楽好き素人の個人的な感想の域を出ません。その前提でお読みいただければと思います。

さて、すでに「X」にポストしておりますが、1月31日、東京・西麻布の霞町音楽堂で行われた東亮汰さんと尼子裕貴さんのデュオ・リサイタルを聴きに行きました。東さんは、アニメ「青のオーケストラ」で主人公・青野一くんのヴァイオリン演奏を担当した新進気鋭のヴァイオリニストで……、という説明は今さら不要ですよね?
この1年、私は東さんのヴァイオリンの音を何度も聴いてきて、それこそ「これまでの人生で聴いてきたソロ・ヴァイオリニストの演奏」の数は、もうトップ3に入るくらい。なので、東さんのヴァイオリン演奏が、私の中の「メール原器」になっているんですよ。「青のオーケストラ」の原作の中で、青野くんの音は「技術力は申し分ない」「謹厳実直な演奏スタイル」と評されていたけれど、そういった印象をどことなく東さんにも感じていたりします。まぁ、原作のイメージに近い演奏家、ということで東さんが青野くんに選ばれた経緯もあるから、当然と言えば当然なんだけど。
これが、秋音律子役の山田友里恵さんの演奏だと、もっとじゃじゃ馬というか、荒々しい迫力が感じられる(失礼! 個人の感想です!!)んですよね。同じヴァイオリンの音なのに、弾き手の個性は明らかに表に出ていて……。

そんなことを思いながら、これまで聴いてきた、東さんの演奏。実は去年の12月1日にも、東さんのリサイタルに参加していました。もっと早く書いておけぇ、というセルフ突っ込みは置いておいて、この演奏会の感想も残しておきたいと思います。いや、こっちもね、すっごく楽しみにしていたんですよ。東さんのメジャーデビューアルバム『Piacere』でも共演していた、髙木竜馬さんとのリサイタル。それが東さんの地元・横浜で開催された「毎日ゾリステン」です。主催は、毎日新聞社ほか。この演奏会って、吉原すみれさんとか、漆原啓子さんとか、内田光子さんとか、清水和音さんとか、日本が世界に誇るトップ奏者たちが参加してきた歴史あるシリーズなんですよね。東さんと髙木さんのジョイント演奏は、こちらでも聴いたけれども、やっぱりホールで聴きたかったし、ぜひ行ってみたいな、と。
でも仕事の予定がなかなか見えなくて、チケット確保をためらっていたら、開催1週間前にはソールドアウト。ま、まじで!? 何とか行けそうだと思ったのにさぁ……、と悲嘆に暮れていたら、なんと当日券が出るというお知らせが! ああ、これはもう行くしかないでしょう!

会場は、横浜みなとみらいホールの小ホール。写真に収めると、こんな感じです。音の響きがよさそうですね。割と広めのステージに、ピアノと譜面台だけが置かれていました。

みなとみらいホールの小ホール。キャパは440人くらい。

今回のプログラムは、フランクの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調」と、R.シュトラウスの「ヴァイオリンソナタ 変ホ長調」の2曲のみ。どちらも、高崎芸術劇場で録音された東さんのアルバム『IN CONCERT』(このアルバムって、インディーズ扱いになるのだろうか?)に収めている楽曲です。このアルバムでは、尼子裕貴さんとのジョイント。それが、髙木さんとの共演で、どう変化してくるのか? たぶん、クラシック音楽を聴き込んている人だったら、そんな楽しみ方もできたと思います。でも、私はそのレベルには至っていないので、端正な音楽づくりを持ち味とする(と、私には思える)東さんが、R.シュトラウスの流麗で劇的な音楽を東さんはライブでどんなふうに表現してくれるかな?くらいの、軽い気持ちで席に着きました。

シンプルそのもののステージ。ピアノはスタインウェイ。

で、前・後半を通して、まず感じたのは「あれ、東さんって、こんなに『歌う』人だった?」ということ。情熱的で、燃焼度の高い演奏に、ちょっと驚くほど。特に後半のR.シュトラウスはそれが顕著で、すっごい盛り上がりを感じて。最上級の誉め言葉で言えば、ハマったときのカルロス・クライバーの「ばらの騎士」みたいな(R.シュトラウス繋がり。笑)感じ? そんなことも思ったんですよ。かつて演奏経験のある地元のホールで音の響きも素晴らしく、同時に、それまで苦闘していた大学院の修士論文(本人曰く、研究レポート)を提出した直後で、気持ち的に解放感を満喫しつつの演奏会だったから、なのかもしれないですね。
そんなふうに、演奏が奏者の精神状態までも映し出すものだとしたら、東さんには、大きな演奏会の前には毎回、課題提出に苦しむような思いをしてほしい(おい!)。そこから解き放たれた高揚感を持ちつつ演奏会に臨めば、燃焼度の高い演奏が毎回聴けるのでは?と、むちゃくちゃなことも考えてしまいました(笑)。
ただ、改めて思ったのは、東さんが「青のオーケストラ」と関わり始めてから、青野くんとしての演奏経験、様々な関連イベントでのN響メンバーとの共演、本来のJNOでの活動やいろんなオーケストラのゲスト・コンマスとしての演奏、この1年ちょっとの間に、他の人がなかなか経験できないような濃密な時間を過ごしてきて、それが確かな形として実を結びつつあるのではないか、ということ。もちろん、それを可能にするご本人の長年の研鑽があってこそなのだけれど。

あれ、アンコール曲は、何だっけ? R.シュトラウスに圧倒されたままだったから、記憶に残ってないや(だから、すぐに書いておけ、と)。「パガニーニの主題による狂詩曲 第18変奏」と「ニュー・シネマ・パラダイス~愛のテーマ」だったかな……。違っていたかもしれません(間違っていたら後で修正するので、覚えている人がいたら教えてください)。

「ピアノの森」雨宮修平くんのCDも置いてありました。

さて、リサイタル終了後は、東さんと高木さんのサイン会。ここでCDなどを購入すれば、サインをいただけたのですが、すみません、私もう東さんのも「青オケ」のも、CD全部持っているんですよ(泣)。アイドル・ファンなら、サインのために(というか、サインの間に相手とお話しするために)複数枚購入する例も多々ありますが、個人的にはその枚数を競うことが「推し」への愛情表現という風潮には疑問も感じていたりするので、サイン会を見守るだけにしました。いや、申し訳ない。
そのサイン会の間は、ファンのみなさんがバシバシと写真を撮っていて。CD売り場の人も、東さんの横で列を進めていた人も何も言ってなかったから、撮影してもいいのかな?と思って、シャッターを切りました。

もしも写真アップがNGなら、関係者の方、急ぎお知らせください。すぐに削除いたしますので!
ということで、以上が横浜でのリサイタルについて。この2か月後に、霞町音楽堂でのリサイタルが行われて……。って、ここまでに、えらい文字数を費やしているぞ。
ということで、続きは「リサイタル 感想その2」に!

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