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「うちの子は違う、普通の子」…違和感から目を背けていませんか?保護者が障害を認めないケース

先日、私は職場の同僚から相談を受けました。
その同僚は、私と同じくらいの年齢で、小さい子供がおり、私の子供が発達支援施設に通っていることを知っています。

「20~30分時間をもらえないか?」

他の人に話を聞かれないよう、別室に通されました。
私は込み入った話なんだろうな、と察します。

「子供が3歳児検診でひっかかった。確かに日常生活でも、癇癪がひどかったり、こだわりが強い部分があって、自分もうちの子が発達障害の傾向があると感じている。ただ、嫁がそれを認めようとしないんだよね。」

私は、「そういった傾向があるなら、できるだけ早く発達支援施設で療育を受けさせる環境を作った方がいい」と伝えました。ただ、家庭内の問題には踏み込めない。

このように、保護者が子供の障害を認めないケースは多いそうです。

文部科学省が公開している調査結果では、「学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒数の割合」が小中学校で8.8%、著しい困難を示すとされる基準には達していないが基準近くに分布している児童生徒も一定数います。

通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について

この中の全員が病院に通ったり、療育を受けさせたり、専門家の指導を仰いだ教育を受けているわけではないでしょう。

発達障害の特性を持ち合わせる子が、適切な医療や支援を受けずに放置されているケースがあるということです。

本記事では、発達障害を認めない親御さんはどういった心理が働くのかや、どういったサポートが必要なのかについて取り上げます。


発達障害を認めない親が抱える心理とは


発達障害を認めない親は、しばしば社会的な偏見や自身の感情に影響されます。
また、冒頭の話のように、自分の子どもが「普通」と見なされることへの強い願望から、発達障害の存在を認めることができない場合があります​。

① 発達障害の誤解


親が発達障害に対して持つ誤解や偏見は、子どもの障害を認めない大きな原因になりえます。
障害があるとレッテルを貼られ、子どもの未来に悪影響を及ぼすと考える親御さんもいらっしゃるかもしれませんね。

② 認めたくない理由


親自身が発達障害の特性を持っていることがあり、そのため子どもの行動に違和感を感じないこともあります。
また、子どもには自分が経験した苦労をさせたくないという思いも影響するかもしれません​。

③ コミュニケーションの障壁


発達障害を認めない親御さんは、子どもや学校とのコミュニケーションにおいても問題を抱えがちです。
子どもの行動が他の子と異なる場合、それを他の要因のせいにしてしまうことがあります​​。

④ 社会的視点とのギャップ


社会的な期待と実際の子どもの状態との間にギャップを感じ、このギャップを認めることができないために、発達障害の受け入れが遅れることがあります​。

⑤ 心理的プレッシャー


親は子どもの発達障害を公にすることによる社会的なプレッシャーや評価を恐れるため、障害を認めないことがあります。これは親自身のストレスや不安を増大させることにも繋がります。

このように、発達障害を認めない親は多くの内面的な葛藤と外部からのプレッシャーに直面しています。

母親が抱える不安と対策


発達障害を持つ子どもを育てる母親は、様々な不安と直面します。こうした不安を管理し、対策を講じることが心の安定につながります。

① 不安の瞬間と原因


母親が感じる不安の瞬間は多岐にわたりますが、子どもの将来、社会の偏見、子どもの学校生活や友人関係などが主な原因です。

これらの不安は、子どもが日常生活で直面する困難から生じることが多く、母親自身の期待と現実とのギャップによるものです。

② 対人関係の構築支援


発達障害を持つ子どもの母親は、対人関係構築において特に支援が必要です。
地域の支援グループや発達支援施設など、同じような境遇や経験を持つ他の親とのネットワークを築くことができると、情報交換や共感を得ることができます。

困ったときにも相談しやすい環境ができ、孤立してストレスをため込んでしまうケースを回避できます。


うちの嫁も、専業主婦で育児をしていた時はストレスをため込んで、ちょっと鬱っぽくなっていました。今思えばカサンドラ症候群の傾向があったように思います。

嫁は家族以外の人間とのやり取りが少なかったので、仕事をさせて家以外の居場所を作った方がいいと思って、「家計のために働いて」とお願いしました(実際に家計も苦しかったので…)。

嫁は、発達支援施設で働き始め、職場での人間関係ができ始めてから、専業主婦で育児をしていた時の抑うつ傾向がなくなり、前向きで行動的な姿勢を取り戻しました。

周りも同じように発達障害を抱える親、専門家、発達支援施設のスタッフ…と、悩みや困ったことを相談できる相手がたくさんいることもプラスに働いたと思っています。


③ 経済的自立へ向けて


経済的自立は不安を大幅に軽減します。経済的に余裕があるとそれだけで心理的に余裕ができます。

少し脱線しますが、うちの親はお金の問題でよくケンカしていました。家庭環境が悪くなると、子供は家に居場所がなくなり、家にいたがらなくなります。
そうすると、家の外で時間を潰すために、同じような境遇の悪い友達とつるみはじめ、だんだん非行に走っていきます。

私の場合は、途中まで非行に走るコースを突き進んでいましたが、幸運にも塾の先生が私に目をかけてくれて、不良にならずに済みました。
家は居心地が悪いので部屋にこもり、塾の先生の期待に応えるために勉強を頑張り、地元の学力コンクールで1300位台から半年で300位を切るところまで順位を上げました。

お金の問題は、子供の教育や進路の観点でも、とても大事ですよ。

④ 自己肯定感の向上方法


自己肯定感を高めるためには、自分自身の小さな成功を認め、達成したことを日記に記録することが有効です。

また、自己受容を促進する瞑想やヨガなどのマインドフルネス活動も推奨されます。

セルフケアの取り組みも、親である私たちにはとても重要です。
私も仕事や、家族、育児のストレスをさばききれずに荒れかけることもよくありました。

それを解消すべく、筋トレ、ヨガの習慣づけ、マインドフルネス活動を積極的に取り入れました。

親としての自己成長と発達障害の子供との向き合い方


親として成長することは、発達障害を持つ子供との関係をより良いものにするために不可欠です。

① 自己受容の重要性


自己受容は、親としての挑戦を乗り越えるうえで基盤となる要素です。自分自身の限界と強みを認識し、自分を責めることなく、できる範囲で最善を尽くすことが重要です。

② 子供の独自性理解


子供一人一人が異なる独自性を持っていることを理解し、その特性を受け入れ支援することが大切です。子供の興味や強みに焦点を当て、個性を伸ばす努力をすることが求められます。

③ 家族の絆を深める努力


家族の絆を深めるために定期的に外食したり、遠出したり、家族としての一体感を育てます。

子供が小さい今しかできないこともあります。
私は将来への投資もしつつ、節約しながら家族と一緒に過ごせるお金と時間を作っています。

④ 悩みの共有の価値


悩みを共有することで、孤立感を減らし、支援を求めやすくなります。
信頼できる友人や家族、専門家との定期的なコミュニケーションを通じて、心の負担を軽減することができます。

⑤ 長期的視点の重要性


発達障害を持つ子供の育成は長期的な視点を持つことが重要です。短期的な考えよりも、子供が自立し、社会に適応できるよう長期的な目標を設定することが望ましいです。

親としての成長は、発達障害の子供が社会に適応するための支援を強化することにも繋がります。

まとめ

大人になってから、発達障害を自覚したり、そもそも自分の発達障害の特性を自覚していない人も数多くいます。

私の職場でも、発達障害の診断を受けた部下を抱えていますし、発達障害の特性を持っているグレーゾーンの方も(私から見たら…ですが)います。

そういう方々は人間関係に問題を抱える方が多く、仕事上も特性の凹凸の部分で足を引っ張ってしまっているケースが良くあります(ミスが多い、段取りを組むのが苦手、説明が苦手、臨機応変な対応が苦手、優先順位をつけるのが苦手…など)。

早い段階で療育を受けていたら、本人としてもまた違ったアプローチができていたのではないか…と思うと、発達障害の傾向が少しでもみられるなら、できるだけ早い段階で療育を受ける環境づくりをした方がいいと私は考えています。
当然、他人の家庭内の問題には首を突っ込めないですし(何か問題が生じても責任もとれませんし)、それぞれの価値観もあります。

でも、私は身近に発達障害の特性で生きづらさを感じている人を多く目にしてきました。
そういった苦労が少しでも軽減できるなら、自分の子で効果を実感している療育は早くからやっておいた方がいいと思いますし、意見を求めてきた人に対してはそう伝えようと思っています。



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