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美味しそうな看板


今回は、データ納品が常の私にしたら、ちょっと珍しいお仕事をしたよというお話。

仙台市太白区は東中田にあるとっても美味しいドーナツのお店、
handmade doughnut nijineco(ハンドメイド ドーナツ にじねこ)さんのメニュー看板の制作をさせていただきました。

オーダー内容は、木の板に直接手描きしたドーナツのイラストを並べたメニュー看板を、とのご依頼。
私のこれまでやらせていただいたお仕事の中でも、こういった内容のものは初めてで、内心結構緊張しながら、サイズや材質など、事細かに詰めつつ、デザインも決めていきました。

木材も色々とある中から検討結果、板は、杉。加工のしやすさと、nijinecoさんの持ち運びを考え、軽さが決め手。基本的な設置場所は屋外(入り口の横)したいとのこと、湿気や乾燥による材の反りや痩せなどの変形はかなり懸念ポイントですが、自然素材を使う以上、変形は避けられません。
できる限りの対策を講じつつ手頃で扱い易いものを、の、結論が杉でした。

絵の具はアクリル。何種類もあるドーナツの違いを細かく描き分けます。
絵についての最大の懸念点である紫外線の影響による褪色問題と、急な雨で濡れちゃうかも問題は、画材屋さんと絵の具メーカー(今回はリキテックスさん)へご相談し、基本の着色剤としては、リキテックス の中でも最も色褪せに強いとされるシリーズ(プライム)を使用し、通常のバーニッシュ (仕上げ材)の上に、さらにUV対策用のバーニッシュを重ねて塗布することにしました。
とはいえ、これでどんな日差しにも天候にも絶対に耐えるというわけではありません。あくまで現時点での最善策と思われる方法として、どの程度の効果が得られるかは、実際に設置してみなくちゃわからない、という点をご理解いただいてのスタートとなりました。

ホムセンで購入した杉板を4枚連結して1枚の画面を作成し、ベースの板を拵えました。

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(nijinecoさんのご家族と、私の家族も協力してくれて完成したベースの板)

その上に、紙出力したデザインを貼り、ペラペラめくりながら確認しつつ文字やイラストの位置決めのアタリをつけ、

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一旦はがしてから、文字やイラストのラインを丁寧に切り抜き…
再度所定の位置に貼り付けて、白鉛筆で切り抜いた箇所をなぞるように下描き。(ホルベインの芯の柔らかい白が今回も大活躍)

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さらにイラスト以外の所に色が着かないよう、テープでマスキングして、下地盛り。

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杉板の凸凹を平坦に均し、連結部分の隙間もしっかりと埋めていきます。
白ジェッソとマットメディウム(保管に失敗し、粘土みたいに硬くなったやつが残ってたw)を混ぜたらめっちゃ丁度良い下地材になりましたw ラッキー。

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下地の乾燥後、マスキングを剥がして、竹串などを使って細部を整え…
次は専用インクで、ドーナツの周囲を再度マスキング。(マスキングインクは乾燥したらブルーの透明なゴムになります)

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いよいよ、ドーナツの着色。描き分けを意識しつつまずはベースを。
そして着色と乾燥、この合間に、通常のイラスト制作とは異なる工程。
パーツ作りです。
ドーナツごとに違うトッピングを、立体パーツとして作成して、それぞれに乗っけていく計画。これもちょうど粘土状になってしまったマットメディウムを基材として応用し、絵の具を練り込み色粘土のように加工したものを使いしました。

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カラースプレーチョコにアーモンド、ミントの葉や(これは樹脂粘土を使用)、オ●オ的なビスケットとか…(これも樹脂粘土)、

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イチジクのタネとか(粘土板上でグリグリと、固く小さな粒の面取りしたら指の腹の皮膚が死にかけますw)、謎のペーストとか(ジェルメディウムとマットメディウムを混合)、イチジクのタネと謎のペーストを混ぜてみたりとか(これは乾燥すると半透明の濃い赤茶の塊になり、スライスしたらイチジクコンポートのトッピングが完成)

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にじねこ看板についてブログ用 - 2

種シリーズも、いろいろ。イチジクの他にイチゴジャムの中の種と、グブルーベリーコンポートの中の種とかね。

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お店に来た小さい子供さんが思わず触って壊しちゃった;という事態も想定し、後々の修繕ができるだけ容易になるよう、予備含めパーツ全般多めに作成しました。

粘土捏ね捏ね、夜な夜なちまちま作って、出来上がったパーツたちを所定の位置に接着し、上から各種メディウム類を適宜色々やりまして、できるだけ美味しそうに見えるよう、クリームふわとろ、ブリュレはテカテカ、ジャムはジュルりと。シズル感でお化粧。食品サンプルが張り付いた看板という様相に。

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ここまできたらゴールは間近。
マスキングインクをベローンと剥がして、慎重にそーっとバリ取り。

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細かなアラを修正し、きれいに拭いて埃を除去後、いよいよ仕上げ材塗布。(3〜5回、重ね塗り)UV耐用仕上げ材も、艶出しレベルをドーナツごとに使い分けました。

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乾燥後、やっと完成。。。。したのに、まともに写真を撮らなかった私😅。あほー。(細かい手作業の連続で、完成後はちょっと腑抜けたw )

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納品の日。nijinecoさんにて。(「いいかい、よく働いて、たくさんお客さんを呼び込む看板になるんだよ」と言い聞かせる😁)

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こういう手描き看板は初のお仕事で、色々なことが初でしたが、これまで通りにいかないことばかりのコロナの日々を忘れるぐらい集中してじっくりと取り組ませていただき、良い経験になりました。ありがとうございました。

現在、nijinecoさんはリニューアル真っ最中。
リフレッシュしたお店で、これからも毎日素晴らしく美味しいドーナツがたくさんの人たちを笑顔にすることでしょう。
みなさま、お近くに行かれた際は是非お立ち寄りになってくださいませ。handmade doughnut nijineco HP → https://nijineco.com/

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